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第101話 十七号
立入検査は、空振りに近かった。
実験の器具は運び去られ、帳簿は焼かれ、残っていたのは空の房と、洗い落とし切れなかった灰の痕跡だけだった。技官ムベの姿は、砦から消えていた。
置き去りの檻を見つけたのは、ハギだった。
布を外すと、中に、仔竜がいた。
生後五月ほどの、灰色がかった仔竜だった。痩せて、目は濁りかけ、首に木札が針金で留められていた。
〈十七号〉
名前ではなかった。番号だった。一号から十六号が、どうなったのかを示す数字でもあった。
カヤは、診た。
目。立ち方──立てなかった。喉。
喉に手を当てて、カヤは息を呑んだ。熱が、二重だった。細く澄んだ熱と、その下で暴れる、焼けつく熱。仔竜の焔嚢の中で、二つの株が、殺し合っていた。
「……王家の株と、軍火」カヤは言った。「両方、植えられてる」
純粋な株は、何にでも染められる──ムベの目論見の、生きた途中経過が、そこにいた。王家の株を土台に、軍火を重ねて、強く従順な火を作る。仔竜の小さな嚢は、その実験台だった。
「治せますか」ハギの声が、震えた。
「分かりません」カヤは、正直に言った。それから、檻の錠を外した。「でも、番号のまま死なせは、しません」




