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最果てのホライズン  作者: 椎名乃奈
第御章 ばんがい
53/60

【053】

「こんな時期に転校生がやって来るらしい」

「なんでも、グロリアス王国憲兵団の推薦らしい」


 グロリアス王立学園内でそんな噂話が広がっていた。時期外れの転校生でその上、王国管轄の学園へ憲兵団からの推薦と言うこともあり、どこかの王族の子供であるか、富裕層であるか、それらのどちらかしか考えられなかったのだ。


 カレンは、グロリアス学園の門前で唖然としていた。


 サンタフェリアと言う片田舎しか知らないカレンにとって、都会と言う場所は最早異世界と言っても何ら変わりないのだ。


 巨大な鉄門に、城の様な学校。国紋の施された正真正銘の優等生しか入学を許されないグロリアス学園。そんな所へこれから自分が行くことは、楽しみであるということ以上に、ただ不安でしかなかった。


 その時、カレンの背中をポンとクロイツが叩いた。何も言わず、一つだけ頷いた。ただ、カレンにはクロイツが何と言ったのか分かっていた。大丈夫だよ――そう言っているのだと。


 そして、カレンは一歩を踏み出した。

 自分の夢を叶える為の第一歩を。


 教室の扉の前。

 カレンは、そこでその時を待っていた。教室からは、先生の話が漏れ聞こえて来る。


「今日は、新しいお友達が来ています。皆さん、拍手でお迎えしましょう。では、どうぞ」


 そして、その時は来た。カレンは、高鳴る鼓動を落ち着かせようと、自分の胸に手を置き、目を閉じた。ゆっくりと息を吸って、そして吐く。それを二度三度と繰り返して、眼をそっと開くと、なんだか落ち着くことが出来た。


 ガチャリと扉を開くと、そこには自分と歳の変わらない人がたくさんいた。カレンにはそれがまず驚きだった。カレンの育ったサンタフェリアには同い年の子供はいなかった。年上のお兄ちゃんやお姉ちゃん。弟や妹の様な年下の子供しかいなかった。


 カレンはこの時初めて、世界という図ることの出来ないモノの大きさを、広さを知ったのだった。


「は、初めまして」


 カレンは、一つ深々とお辞儀をする。


「では、カレンさん。自己紹介をお願いします」

「あ、はい。僕の名前はカレンと言います。皆さんと一緒に仲良く出来たら良いなと思います。宜しくお願いします」


 そして、もう一つ深々とお辞儀をした。

 この時、教室にいた皆はこの子が王族の子供や富豪の子とはどこか違う。そんな違和感を感じ取っていた、王族や富豪の子は、生まれながらの傲慢さを持っているものだ。


 しかし、それをカレンからは一切感じられなかったのだ。

 それは同時に、クラスメートの目が変わった瞬間だったのかもしれない。




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