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最果てのホライズン  作者: 椎名乃奈
第四章 やくそく
40/60

【040】

 数日後。


「ありがとう、スゥちゃん」


 皆の病気が完治し、クロードの店の前には、スゥに感謝の一言を言いたい人で溢れ返っていた。その感謝は計り知れないものなのだ。スゥは、困った表情を見せながらも、照れ臭そうにしていた。


「凄い人気っぷりだな」


「まあ、そうでしょう。街の大人が動かない中、先陣を切って行ったんですからね。でも、本当の事を伝えなくて良いんですか? カレンを連れて来たのは、偶々なんかじゃないって――」


「サンタフェリアは、流行り病で壊滅――それをスゥに伝えてどうなる」


「まあ、それもそうですけど……」


 そう。


 全ての事の顛末は、スゥの知らないところで起きていた。あの後、カレンが色々と大変だった――そう言った意味をスゥは、知る由も無い。それもそうなのだ。誰もそれをスゥに言おうとしなかったからだ。


 それはまた、別のお話。


 クロードとアンリエッタの二人は、アンリエッタの職場から窓越しに、クロードの店の二階から見えるであろう景色を、ぼんやりと眺めていた。


「今のスゥを見ても、かつて人からも動物からも蔑まれ、疎まれ、忌み嫌われて生きて来た、だなんて誰も思わないでしょうね」


「恐らく、スゥ自身が変わろうとして努力をして変わったのでは無いだろうな。少なからず、変わる為の努力をしなかった訳では無いんだろうが、如何せん不器用だからな。ただ、目の前にあることを一生懸命にやった――その結果がそれだったのだろう」


「でしょうね。子供の成長と言うのは凄いもんですね。僕がスゥを育てているつもりだったんですが、いつの間にか僕は、スゥに育てられていたのかもしれませんね」


 クロードは、しみじみと思う。


「子供は、かつて自分に在ったモノを思い出させてくれる。それを見て気付かされることが多いのもまた、事実ではあるな。子供を育てるって言うのは、発見の連続だ。気付けば、気付くほど自分と言う形に疑問を抱くようになる。だから、好きじゃないんだ。子供は――」


 コーヒーを啜りながら、アンリエッタは言う。


「僕を育てていた時も、何かしらの発見は在ったってことですかね?」


 クロードは、ニヤリとしながら聞く。


「さあね」


 クロードの質問に、アンリエッタは素っ気なくそう答えた。


 ――誰が付けたのかも分からない。


 ――誰が呼び始めたのかも分からない。


 ――どんな意味があるのかさえ分からない。


 ――光と闇が相反する、境界線より遥か彼方にある最果ての都、ホライズン。


 そこには――


 境界線を越えた――約束があった。


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