第六十三話:中の人がいると強い
第六十三話
パイルバンカーを装填する音が聞こえてきて足元がおぼつかないが、何とか立ち上がる。
「大丈夫…奈津美さん、これを止めるにはどうすればいいんですかっ」
『破壊してもいいわよ』
「無理っす。女の子の見た目してますから」
正直言うとこんな化け物体がいくらあっても壊せないと思うんだ。
『ふむ、容姿に磨きをかければ男は落とせそうね…ま、いいわ。首の根元にエレキ棒当てれば止まるわ』
相手の攻撃を避け、首元に電撃を叩きこむ…か。
「いや、普通に無理じゃないですか」
『ふっふっふ、そう言うと思って今回のバージョンには戦闘モードが付加してあるのよ』
「おおー」
ドリルで校舎内に隠れた隙に戦闘モードへと移行してみよう。
『メアリー、お願い』
『サブアーム展開なの』
「よし、もっと頼むよメアリーちゃん」
『終わりなの』
「…これだけ?」
背部ハンガーから二本の腕が伸びただけだった。
『猫の手も借りたいときに便利よ』
「先っちょが猫の手なのはそう言う理由ですか」
何と言うか、和む。戦闘時に和んでどうするんだ。
「はっ、戦闘している相手を和ませて戦闘回避しようとする平和武…」
『Attack』
「機械相手には通じないだとっ」
吹き飛ばされる時ににくきゅうにあたった。
「うむ、本物とたがわぬ肌触…ぐはっ」
壁に激突したものの、サブアームが立たせてくれる。
「うう、後右に三十センチずれてたら窓から放り出されてたよ」
『大地、今そっちに向かってる。大丈夫?』
「晃代さん…はい、何とか」
相手のほっとしたような声が聞こえてきて何となく、嬉しかった。心配されているとそんなもんだ。
『ほらほら、大地、さっさと立たないと次が来るわ』
『大地ちゃんファイトー』
「もうちょっといたわってください」
しかし、この二人の言葉も事実なのでさっさと走って物陰に隠れる。
『チェストっ』
「ぬぅっ」
回りこまれていたようで奇襲を何とか電流棒で防ぐ。斬り結ぶ形になったのに、相手は感電していないようだった。
「ぐぐぐ…電流効いていないようなんですけど」
『だから、首根っこに当てなきゃだめだって』
サブアームが自動感知したのか、ハナコに向かってパンチを繰り出す。ボディーに入った猫パンチはハナコを吹き飛ばすだけの威力があったようだ。
「っと、はぁ…すげぇ威力」
『ちなみにアームはわたしが動かしているの』
「助かったよ」
立ち上がり、サブアームがあるなら隠れる必要もないのでハナコに近づく。
「メアリーちゃん、次で決めるよ。相手の二の腕を掴んでね」
『了解なのっ』
相手に肉薄し、飛んでくるハチを叩き落として飛びかかる。
「でええええっ」
『もらったなのっ』
腕を捕まえてもらっている間に腕を回しこんで抱きしめるような形で首の根元に電気棒を当てる。
「ぎゃあああああああっ」
『あ、言い忘れていたけどそこにあてると感電するから』
そんな言葉はもう耳に入らなかった。




