第六十一話:女子高戦
第六十一話
その女子高には数年前から在る噂がたった。
『A棟最上階女子トイレ三番目には花子さんが出る』
事実、残っていた女子生徒数人が物音を確認している。
この件に関して学校側は下校時間厳守を言い渡したのであった。
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そして作戦の当日である。当然ながら放課後に侵入を行うらしい…かんがえてみれば普通に生徒が通っている時間帯に突っ込めばハチの巣をつつくようなもんだ。
「大丈夫、ハチの巣なんてわたしがこの強力噴射Bスプレーで退治するの」
「何でそんなの持ってるの」
「この前ハチの巣が出来たから奈津美ちゃんに言ってもらったの」
メアリーちゃんと共に女子高の用具入れでそんな会話をするなんて思ってもみなかった。
「じゃあわたしはここで逐次情報更新を行うの。がんばって」
「ああ、がんばるよ」
そろそろ用務員のおじさんもいなくなる時間だ。よし、出発だ。
「行って来る」
「うん」
しかし、かんがえてみれば女子高に侵入なんて生まれて初めてだ。もしかしたら、記憶を失う前も侵入していたりするかもしれないけど、とりあえず侵入のノウハウがあるわけはない。
まるで石橋を叩いて渡るかのような慎重さが必要だと思う。
『こちらメアリーなのっ』
「うおっ、ボリューム大きすぎだよメアリーちゃんっ」
こっちで調整するかな…あ、ヘルメットの中につまみっぽいのがあるから一旦取らないと駄目じゃないか。何この謎仕様。
『前方より無機物が二つ、やってくるの!』
「ADS…ってまさか本当にあるとは」
爛々と光る赤い目だ。レーザーサイトだろうか…しかも人型とかどれだけ技術が進んでるんだよっ。この前まだテレビで似ても似つかない女性のロボとか腰を左右に動かしながら歩く程度じゃなかっただろうか。
『警告します。これ以上近づくと排除します』
「メアリーちゃん、この人たちに近づいたら警報とか鳴る?」
『大丈夫。警報装置とは別になっているの』
「わかった、じゃあ大地、いっきまーす」
窓ガラスを割ったりしないように持たされているのは電流がバリバリ流れている棒だけだ。電流の流す量を変えることによって静電気から対象をこんがりローストまで様々な事が出来たりするすぐれものだったりする。
飛び道具にしたり(呼びを含めて二回限りの出血サービス)出来る万能アイテムである。単三電池の限界を見た。
「壊しちゃっていいんだよね」
『問題ないの』
相手の決めたラインを踏み越える。
『対象を沈黙させます』
「声は意外といい声なんだよなぁ…」
一体が警棒でなぎ払ってくる。軽くそれを避け、電流棒を振り落とす。
倒れる人形を足でどかして二体目に斬りかかり、つんと当ててみる。
『あば、あばばばばっ』
「弱い、弱すぎるぞー…って、一度でいいから言ってみたかったんだ」
『そうなの?』
俺つえーしてみたかったんです、はい。いや、スーツのおかげだけどさ。
あくまで、対象を破壊したわけではなく一時的な機能停止に追いやったものである為ぼーっとしていてはやばいそうな。復活するそうだ。
「次は?」
『そのまま二階へ行くの』
「了解っ」
ジュラルミンと他素材合成の盾を背中から右手へと持たせる。別に力で粉砕する必要はないので利き手に縦が有効だとか何とかケンさんが言っていたからだ。
「階段で油断はするな」
ケンさんの言葉通り、階段踊り場にはまるで来るのがわかっていたかのように出てきた二人の少女がいた。
「何者だ」
「不審者め」
問答無用で襲いかかってくる(注意:彼女達は天井から奇襲してきました)どう見ても普通じゃない相手は初撃を外した後、俺から距離をとる。
その手にはクナイと直刀が握られていた。
「クノイチ…メアリーちゃん、クノイチがでたんだけれど。やっていいのかな」
『構わないの。やっつけるの』
「全責任はやれといったメア…ではなく、ケンさんが悪いということで」
飛来してくる棒手裏剣を叩き落とし、相手にきりかかる。
「ぐあああああっ」
「すっげー罪悪感が…」
斬り結んだだけで相手には電流が行くもんだから大変だ。一人、動かなくなった。
「くっ、外道めっ」
「……ぐさっときた」
女の子に電流流すなんて外道以外の何者でもないのだろう。しかし、仕事は仕事だ。というか、何故ここにはおっさんがいないんだろうか。おっさんならいくら電流流しても心なんて痛まないのに。
「悪い、もらったよっ」
「ああああああんっ」
着地点のところに電流流したまま棒を投げつける。相手の体に当たり、そのままくっついて電流が流れている。
「よっと、完了っ」
「も、もっと…」
「何ぃっ」
マゾがいたとは…恍惚とした表情でこちらにやってくる。
「どうしようか?」
『フルパワーでやっちゃうの!大丈夫だと思うの!』
つまみを最強にしてみた。うん、バチバチ言っているけれど…これ本当に人間に当てて大丈夫だろうか。
「隙ありっ」
「くっ…」
「ああああああああっあんっ」
電気が流れて昼間みたいな明るさになったのに相手は嬉しそうだった。
「も、もっ…」
そのまま倒れる。
「これで起きたら俺ははだしで逃げ出すよ」
『急ぐの』
「あいよっ」
倒れている二人のふとももを心に残しつつ(結構露出の高い服装)手を合わせておいた。




