第五十九話:変態と悪の組織構成員A
第五十九話
ケンさんから渡されたものを公園の真ん中に設置して隠れる。
「…本当にあれで来るんだろうか」
中身を確認していない為、一体何が入っているのかは不明だ。きっと、あいつを釣るための餌…と言う時点で何となく予想できるものだけどさ。
数分後、人影が一人公園に入ってきた。
「おや?こんなところに幼女のパンツが落ちてる」
「中身確認しないで気付いた人がいたよ」
いつかどこかで見た事がある警察官はがさがさとビニール袋の中をあさっていた。常人だったらこの時点でようやく気付くレベルだと思う。ある意味エスパーだ。
「んほほーっ…は、つい変身してしまった…けど周りに人はいないからいいか」
「出たな、変態めっ」
飛び出て相手に指をさす。
「おっと、僕の変身を見てしまうとは君も運がない…はぁはぁ、死んでもらうよ」
「パンツをかぶりながらそんな事を言うなっ」
変態警官…もとい、赤マントは両手を天に突き上げるようなポーズで襲ってくる。相手の初撃を何とかかわし(これは完全にスーツのおかげだ)、拳を一発相手に浴びせる。
「すげー、殴ったところが凍ったよっ」
これもスーツの力か。
「っと、冷たいなぁ…おや、君はもしかして雪女の家系か何か?」
「生憎記憶がないんだ」
「そうかい、妹がいれば是非お近づきになりたかったんだが…それは残念だ」
凍っていた右肩を粉砕し、相手は腰を低く落とした。
「何するつもりだ」
「必殺技の一つや二つ、実は持っているのさっ」
え、マジで。
「喰らえ、股間フラッシュっ」
下ネタはよくない…とはいうものの、目も眩むほどのそれに俺は思わず目を閉じてしまった。
「ふはははははっ、死んでしまえ―っ」
「や、やられるっ」
衝撃を覚悟した俺。でも、いつまで経っても衝撃は襲って来ず、不思議に思って目を開けると俺の目の前に人影があった。
「これぞ、スガーの必殺技…スガードライヴ!」
「…晃代さん…じゃないか」
「…羽津の正義は私が守るっ。氷雪系超絶戦士、スガー参上」
「……ええっ」
首だけこちらへ動かして親指を立てられた。既に決着はついていたようで上半身アスファルトにのめり込んでいる赤マントが見える。
「名も無きヒーロー、時間を稼いでくれたことに感謝する」
「は、はぁ…」
「では、私はこれでっ」
赤マントを引っ張り、最後にポーズを決めて飛んでいった。
「やっぱり…成りきりなんだろうか…でも、それにしちゃあ強いな」
二月とは言え、ここらはそんなに雪が降らない…だというのに、俺の周りには氷の槍みたいなものがたくさん生えていた。
最近の成り切りは本格的だな…。
「……帰るか」
これ以上氷の彫刻を見ていても時間の無駄だ…あ、でもメアリーちゃんが喜んでくれるかも、持って帰ろう。




