第五十五話:彼は子供が好きだから小学教師になったそうです
第五十五話
帰りの電車は混んでいた。出発しそうだったので慌てて転がり込んだ。
「くそう、帰りこそは席を譲るはずだったのにっ」
「だ、大地ちゃん周りの人…怖いっ」
「え?まさか…」
集団で幼女を襲おうとでもしていたのか?改めて見渡す。ものすごく、屈強な男性ばっかりだ。
「あらん、可愛い子が混じってたわ」
「本当だわっ」
「おわあっ」
慌てて辺りを確認する。
「だ、男性専用車両だってぇ」
「うほっ」
「こ、こっちだよ、メアリーちゃんっ」
薔薇の園から何とか逃げ出す。
「うーっ、筋肉臭くなったの」
「何それ。どんなにおい」
メアリーちゃんが脱出してきた場所を指差す。
「?」
「嗅ぎたいならいってくるといいの」
「全力でお断りさせていただきますっ」
次は回りこまれそうだ。
そんなこんなで隣羽津市へ帰還。
「うーん」
「眠い?」
「…ううん」
「背中、乗っていいよ」
「…うん」
なんて役得だ…可愛いメアリーちゃんをおんぶ出来るなんて!
そして気付いた。
ま、前から警察官が…。
「ん?」
「どもーこんにちはー」
「ああ…こんにちは」
若者とおっさんの中間ぐらいの人だ…。何か起こるかもしれないと思ったけれど、一切起こらずすれ違う。
「おい、君」
「は、はいっ」
何もやましい事はないのに声が裏返ってしまう。
「落としたよ」
「え?」
手渡されたのは…ブルマだった。
「え、な、何でこれが」
部屋に置いていたはずが…まさか、間違えてポケットに入っていたのか…?下着泥棒の時に報酬だからともらわなければよかったっ。
「何でこれがって…これは、僕のだけど?」
「何この展開」
何でブルマを所持している人が俺に話しかけてきてるの。
「君、ちょっと怪しいなぁ…」
「めめめめめ…メアリーちゃん、悪いけどちょっと起きて緊急事態」
「んー?何?」
「この警察官に俺達の間柄を言ってやっ…」
答えその一。
「悪の組織の構成員の先輩と後輩です」
「悪の組織?アウト」
答えその二。
「お兄ちゃんと妹なの」
「兄貴髪が白い、君は見事な金髪だね。嘘はよくない、アウト」
答えその三。
「姉と弟です」
「そう言うプレイもアウト」
駄目だ、どれも通用しそうにないっ…。
メアリーちゃん、頼む、頼む、せめて親戚のおっさんと買い物に行っていたとか無難なところを頼むよっ。晃代さんに(警察官をぼこぼこにしてもらうかな)何とかしてもらわないといけなくなるんだっ。
「わたしと大地ちゃんは一緒に生活必需品を買いに行く間柄なの。下着とか」
「あ、もしもし?晃代さん?片づけてもらいたい方がいるんですけど」
「う…羨ましい」
「あー、そう、そう…え?羨ましい?」
目の前の警察官は何故か泣いていた。
「…さっさと行けよ。しょっぴくぞこらぁ」
「す、すんませんでした」
「もう二度と僕の目の前に現れんな」
目がマジなんですけどー。
何あいつ。
超キモイんですけど…。
何故か電車の中のギャルが俺の頭の中で騒いだのだった。
「何だか近々波乱の予感が…」
夕焼けも心なしか、赤かった。
関係…ないけどさ。




