第五十二話:新戦力が加わったら編成を
第五十二話
新しく入った構成員、メアリー・メリーちゃん。四日目にしてようやく魂が戻ってきました。
「記憶が…ない。メアリー・メリーっていうのはわかるけど」
目が覚めると驚きの白さだった銀髪が金髪に戻って俺はほっとした。銀髪もいいけど金髪も可愛いものだ。
「ねーさん、またやったんだ」
「また?」
「…なんでもない、ほら、大地はあいつの世話をしてやるように」
「はぁ、わかりました」
奈津美さんが何やら話しかけているので俺もその隣に並ぶ。
「貴方は変質者に襲われていたの」
「そんな俺は…」
襲っていませんよ。
「そうね、こっちのイケメン(?)が身を呈して護ってくれたの」
「イケメン(?)」
メアリーちゃん、酷い。
「ほらほら、イケメンだよー」
「話の邪魔をしないで」
「はい」
怒らせると怖いので黙っておくことにする。
「私たちが保護してあげたんだけどね。ねぇ、大地」
「はい」
「そ、そうなんだ…でも、記憶が…」
「だから記憶が戻るまでここに居ていいわよ。もう、K察にも教えているから保護者がいれば気づくでしょう」
俺の場合は借金背負っているから知られるのもやばいけど、この子の場合はやっぱりそうだよなぁ…。見つかったらちゃんと親元に帰った方がいいだろう。
「生活費は稼いでもらうから安心していいわよ」
「え」
こうして、円満に(?)メアリーちゃんは構成員になりましたとさ。
「ふむ、また一人増えたのか」
ケンさんが窓からやってくる。この人は犬のくせに色々と器用だ。ただ『ハウス!』というと『うちはS&○じゃいっ』という言葉が返ってくる。
「はい、メリーさんだそうです」
「じゃあ戦力の確認を。奈津美、頼んだ」
「わかりました」
各々定位置に座り(メアリーちゃんは俺の隣)、奈津美さんの方を見る。
「自己紹介も兼ねて確認します。私は天導時奈津美。作戦の補助、作戦に必要な道具の調達、開発が主な仕事よ」
「あたしは天導時晃代。戦闘担当。殿は任せろ」
「えーと、俺は田原大地。俺は…何なんですかね。交渉して仲間増やすのが主な仕事ですよねぇ」
「いや、まだあるわよ」
奈津美さんが手元の資料を確認している。
「…作戦指揮の補助、道具調達補助、戦闘担当、風呂掃除、買い物、三度の食事担当…他にも…」
「この大地ちゃんは言わば雑用なんだ」
メアリーちゃん…男にちゃん付けって微妙だよ。
「おれはケンだ。作戦立案、指揮が担当になる」
「それで、今日から働いてもらうメアリー・メリーちゃん。みんな拍手―」
「わー」
「ぱちぱち」
「どんどん」
「ふんっ」
ケンさんだけは鼻を鳴らしただけだった。
「え、えーと、わたしは何をすれば」
「メアリー・メリーちゃんの仕事は主に調査担当。だけど、大地構成員と同様に私たちが必要だと思ったことをやってもらうわ!」
「要はぱしり。大地、パンとってこーい」
「え、あ、はい」
晃代さん…。酷いっす。
「そういうわけだ。そろそろ次の悪事を働く頃合いだな。大地はメアリーと買い物に行って生活必需品を買いそろえておくように。奈津美、金」
「はい、落としちゃ駄目よ」
「落としませんよ」
落とし癖があるなら俺はナイスバディの台所と呼ばれてはいない。
「メアリーちゃん、今後の貴方の為に言っておくけど『やだー』とか『いやー』とかいったら速攻で豚にして食べちゃうからね」
「目が笑っていないところが怖いっすね、そうなったら俺らも食べなきゃいけないんですかね…晃代さん」
「はは、あたしらもいつ豚になるかわかったもんじゃないよ」
お互い笑っちゃいない実に真剣な会話である。
「基本大地の補助として作業に当たること。これで大地も他所は無茶しないでしょう」
困ったものね、やんちゃボーイは…なんて、そんな目をしてもらっても困ります。
「無茶するような熱血タイプじゃないんですけど」
「へたれ?」
「メアリーちゃん…」
「男らしくへたれ道を極めなさい」
それは男らしいというのでしょうか、奈津美さん。
「へたれは駄目だ。うん、駄目だ」
「ですよねぇ。というか、俺はへたれじゃありませんからねっ」
「犯罪者はおれはやっていないって良く言う」
ふむ、それも一理ある。
「じゃあ俺はへたれですよ」
「よし、きょうからあたしが鍛えてやろう」
「…出口の見えない明日なんて嫌だーっ」
俺は汚い大人に成りたくないっ。




