第五話:雪女
第五話
雪女と言うと誰だって知っている昔話がある。あらすじはこうだ…樵とその子供か孫かはたまた若いのと老人樵が住んでいると吹雪の夜に雪女がやってきて年上の方を殺す。しかし、若い方は『お前はまだ若いから~でもこの事を言ったら殺すよ』といった感じで助かる。その後、数年たったある日に小雪とかそこら辺の名前のかわええ娘がやってきて二人は結婚する。
子供が出来て数年たった大吹雪の日に夫が『そういえば…』という感じで妻に雪女の話をする。すると妻はあの日の雪女になって約束を破ったなとなるが、子供の事を思うと夫を殺せずそのまま外に出ていってしまう…そんな話だ。
この話を聞いて色々と考えたりするだろう。ちなみに俺は幼い頃聞いて『…やっべ僕そこまでいい男って言われる自信ない…』という何とも保身に走った感想だった。あれから美人を見ると雪女だと騒いだりした事もある。
―――――――
俺がそんな事を考えている間にオオムカデを仕留めてしまったヒーロー。しかも最初っから大技使って倒しやがった。
「おぼえてなさいっ」
「…すげぇ」
「…これじゃない…何だか求めていたのはこれじゃない…」
子供の頃の記憶によるとヒーローが相手に追い込まれてピンチになる。しかしそこはヒーロー…一発逆転の必殺技で相手を倒すと言う王道かと思ったら現実は相手にとって厳しいものだった。
「さて、と」
倒すべき悪を倒し、満足したはずのヒーローはこちらへとやってきた。
「変身解かないの?」
「…この事は黙っておくように」
「だ、黙ってたらサインくれるの?」
若干興奮気味の気焔さんにうんざり気味の真白さん。
「わかった」
「はい、サインペンと色紙」
用意がいい俺は鞄からそれらを手渡しスガーへと渡す。
「さらさらさらーっと…名前は?」
「焔女の気焔で」
「…焔女…気焔さんね」
よくもまぁ『きえん』を漢字まで書けるもんだと感心する。ほむらめの方は同じサークルに所属しているし感じを知っているだろうからすぐにかけるんだろうけどさ。
俺は書けなかったけどね。
とりあえず賄賂を渡され悦んでいる気焔さんは置いておくとしよう。
「それで、真白さんはなんでそんな恰好してるの?」
「…まだ聞くの?」
「そりゃまぁ」
「実はね、あたしヒーローじゃなくて雪女なの」
「……へー」
「信じてもらえて嬉しい。今後変身していないあたしを見てもヒーローとかスガーとか呼んじゃ駄目だからね」
そういって走って消えてしまった。
「何だったんだ…」
「ヒーローでしょ?」
「…いや、雪女だって」
「現代に雪女なんているわけないよ」
じゃあ焔女は?そんな愚問をしようとしてやめた。ヒーローかどうかはともかく今度真白さんに会って妖怪かどうか確かめよう。
雪女がいるなら他の焔女とも何かしらパイプを持っているかもしれないからな。いや、根拠は全くないけどさ。




