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黒の小冊子  作者: 雨月
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第四話:焔女探しとヒーローと

第四話

 焔女の仲間を探すと言う事で授業が無い時、俺は気焔さん以外の焔女を探すと言う約束をした。

「いいの?」

「そりゃあね。あんな刀もらったんだから手伝わないと」

 豚に真珠だと言う事はわかっている。素人もいいとこ、綺麗な刀と言う事以外何もわかっちゃいないのだ。

 しかし、いつか売っぱらえるチャンスがあれば相当な高値を叩きだすと俺は踏んでいる。その時、気焔さんが『NO』と言わないようにするためにする為にはどうすればいいか…決まっている。彼女に協力すべきだろう。

「まずはさ、妖怪を探そう」

「…え」

 まるで変な事を言ったみたいな顔をされた。

「妖怪って…」

「人間でもいいけどすっごく前の事だから知っている人は当然いない。居たとしても仙人ぐらいだろうし…そもそもこの土地に仙人の話は聞いた事がない」

 吸血鬼の話は一年前に聞いたことある。しかし、いざ調べに行ってみたら警備員に見つかって大変な目に会った。結果、居ないと言う事にしておいた。

「焔女ってあまり世間じゃ知られていない妖怪だけれど気焔さんがいれば妖怪も見つかるかもしれない」

「…そうかな」

「そうだよ、うん、そうっ。ここで諦めたりしちゃ見つかるものも見つからないっ。さぁ、いざゆかん焔女探しの旅へっ」

「う、うんっ」

 半ば強引な出立。あてのない旅路が今始まるのであった…。

 地図もなく手がかりもない探し物が簡単に見つかるわけもない。徳川の埋蔵金、ヒマラヤの雪男そしてUFO…これらが見つかる日が来るよりも先に妖怪が見つかった。

 しかし、偶然たまたままぐれのラッキーという言葉がある為、単なる幸運もしくは世界の調和がうんたらかんたらーとわけのわからない言葉で濁してみるとしよう。

 焔女捜索開始から五分後、大学近くの人気のない公園にて変な人を見つけた。

「Equipe!」

『認証しました』

「変身っ」

 拳を握りしめてポーズを決める一人の女子大生。名前を真白六花さんという。たった二人のサークルに所属しているモノ好きな人である。

「…」

「…」

 俺と気焔さん棒立ちでその光景を眺めていた。笑えなかったのは変身ポーズを決めた後、吹雪のようなものが真白さんを包んでアーマー装着したことだろうか。

「すげぇ」

「……スガーに似てる」

 スガーとは日曜朝にあるヒーローものである。どうも気焔さんはそれにご執心のようで変身セットのCMを物欲しそうに見ていた。先日作った気焔作のスガーソードをまねてごっこあそびまでしていた。まぁ、恥ずかしがっていたところを見ると隠しているらしいが…趣味の一つとして許容している。

「と、とりあえず話を聞こうか」

「そうだねっ」

 超元気だった。

「おーい、真白さーん」

 こちらを向いた真白さんは俺の顔を確認。ちょっと体をびくつかせてからこっちにやってきた。

「私は断じて真白さんではない。スガーだ」

「すすす凄いっ、握手してくださいっ」

 真白さんの手を取り握手を始める気焔さん。

「ちょっと握手ストップっ。これから危ないから一般市民は離れていてっ」

 握手を軽くしてから(さすがファンを手荒に扱う事はしないらしい)素早く離れる。真白さんの話の通り、近くの地面が割れてムカデの化け物が姿を現した。

「おーっほっほっ。今日こそこの町を私の物にしてやるわ」

「来たわねっ駄目姉」

「駄目はないでしょ、駄目は。あんたこそいい年こいて正義の味方ごっこしてるんじゃないわよ」

「いいもん正義の味方は子供に夢を与えられるから」

「夢じゃご飯食べていけないわよ」

「悪役のほうが駄目じゃない」

 そんなやり取りに俺達目が点…ではなかった。

「す、すごい…」

「…」

 訂正、俺だけ目が点。

 邪魔するのもあれかなと思い気焔さんの腕を引く。

「さ、行こうか」

「いや、見て行こうよっ」

「……焔女探しは?」

「後で」

「そうですか」

 何が気焔さんをここまで駆り立てるのか、男の子だったら(小学校…いや中学ぎりぎりまでか)理解できそうだが今の俺には理解できなかった。


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