第五十話:今のご時世幼児に話しかけるだけで追いかけられます
第五十話
メリーさんと言う妖怪(?)に気にいられてしまったようだ。
今晩も奈津美さん晃代さんは外に出払っており、俺は一人である。もし、メリーさんからの電話があったらどうしようかと思いつつコーヒーを飲む。
「おっと、電話か…非通知…」
『私メリーさん。今あなたの右斜め後方三十五度のところに居るの』
「奈津美さんの声じゃないっすかっ」
『あはははっは…ばれた?もう少しで帰るからちゃんとお風呂に入っておくように』
そのまま切れてしまった。いたずらのつもりだろうか…いや、メリーさんの方もいたずら電話っぽいけどさ。
「……しかし、考えようによってはどこのだれかもわからない、しかも幼い女の子からの電話を待っているのも変態っぽくて嫌だな。奈津美さん達も帰ってくるし、お風呂にでも入るか」
奈津美さんと晃代さんがいないと言う事で横着して部屋で服を脱ぐ。晃代さんと同室だけれどもいないからいいだろう。
服を脱ぐと解放感が違うな。自分を拘束しておいて解き放つ…。今の現代人にはこういうことが必要だと俺は思う。
「今二月ってわりには全然寒くないな…ま、暖房は入っているし…おっと、電話だ」
また非通知である。今度は晃代さんだろうか。
「もしもし?」
もしかして窓に貼りついて晃代さんと奈津美さんが見ているかもしれない。カーテンをしめるか。
『わたし、メリーさ……きゃああああっ…』
「え?何何、何がっ…」
切れた相手に一生懸命話しかけても当然ながら聞こえてはいない。
「…一体、どうしてだ」
まさか、電話をしているところに幼○愛好家が現れたのだろうか。俺も、男だ。妖怪だろうと何だろうとメリーさん、幼い女の子の身の安全を確かめなければなるまい。
しかしながらどこに居るかがわからない。
「おい、今女の子の叫び声が聞こえなかったか?」
「そう?」
そんな声が外から聞こえてくる…ということは、この近くにメリーさんが?
「…今すぐに行くから待っててね!」
この時間帯で幼女がうろついている…つまり、その子がメリーさんに違いない。
居ても経ってもいられず、俺は鍵だけ駆けて家を飛び出した。
「…寒いっと…居たっ」
メリーさんと思われる少女はすぐさま発見された。秘密基地のすぐ近くに座り込んで震えている。
「だ、大丈夫?メリーさん…だよね?」
「え、あ…きゃあああああっ」
「しまった、パンツすら脱いでいるじゃあないかっ」
二月だと言うのに外が寒くないのだ。地球温暖化が叫ばれているのが良くわかった…じゃなくて、だ。
しまった、これじゃ誰が変態か一目瞭然だ。
「いや、しかしパンツを履いてくる間にメリーさんが変質者に襲われたら一生の不覚になるに違いないっ。御免っ」
「え、いやあああああ」
小脇に抱えて基地の中に連れて行けば一切問題がない。我ながら冴えていると思う。
得てして不幸とはこういう時に連なるものである。
「あっ」
たたきでひっかかり、俺はメリーさんを小脇に抱えたままこけてしまう。でも、メリーさんは抱きしめて怪我させないように努力した。男として頑張ってみました。どうでしょうか?
「アウト、K察を呼ぼう!」
奈津美さんと晃代さんが玄関から入ってきて俺にそんな事を言う。
「あ、ちょっと奈津美さんそれは冗談じゃすまないですってば!」
「女児を連れ込んで何を…」
「何もしてませんっ」
「ではなぜ全裸?」
「お風呂に入ろうかと」
「…K察いき、けってー」
説得するのに時間をかなり掛けてしまうのは常だ。面倒だから、もういいや、とかで諦めては駄目だ。
俺の長い夜は始まったばかりだ。
50話ですね、奥さん。言いたいことは山ほどあれど、意外と続いたな…なんて考えています。ラブコメとして成立していなかった一話~から派生したわけなのですが…かといって悪の組織コメディーとしてもいまだ微妙だ。大丈夫か、雨月。そんなことを言ってくれる方はいませんね、はい。でもそろそろ本気を出しますよ。いつだって全力です。さて、ここからは真面目にあとがきです。正直、赤マントを出そうと思っていたのに赤マントを出すとどう見ても犯罪臭い何かしか出来ない気がして没。赤マントは露出狂か、幼児誘拐やっていそうなイメージが強いので嫌でした。本当、今は小学生に挨拶しただけで追いかけられますからね。怖い怖い。本編でも語っていますがトイレの花子さんは幽霊っぽいですからね、難しい気がしました。あとはターボ婆とか首なしライダーとか口裂け女辺りの妖怪(都市伝説内の妖怪扱いでお願いします)が候補として持ち上がるも…どれも使いどころの難しい面々ですね。うん、ぶっちゃけ鬼のお母さんより使いどころが難しそう。最後に浮かんだメリーさんが出撃しましたとさ。今後は今出ているメンツで頑張ってもらいましょうかね。感想メッセージその他待ってます。ではまた今度お会いしましょう。




