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黒の小冊子  作者: 雨月
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第二十五話:成り鬼

第二十五話

 母親は俺達の事が邪魔だと酔った時に話していた。

 理由はなんとなくわかる。

 子連れだと男が相手してくれないらしい。

 金が無くなり母親はおれたちをつれて優男の家に転がり込んだ。

 そして母は一カ月後、行方知れずとなった。



―――――――



「おっそい、車もうちょいスピード出せないの!」

「無理っす。これ以上出すと普通に捕まりますからっ」

 それなりに遠いと言う事で俺運転による竜太家訪問となった。メンバーは俺と宮本教授、そして真白さんの三人である。

「おれはのこる。面倒な事は目に映すだけ、首は突っ込んじゃいけないってうちの死んだばあちゃんが言っていたからな」

 あいつのばあさんは両方とも存命だと言う事を俺は知っている。少し朝早く起きると俺の家の前を走り抜けているのだ。ターボ婆…そんな名称が頭の中に生み出されるぐらいにな。

「あのさー、あたしもあたしで忙しかったりするんだけど。いきなり助けてスガーとか嘘つかれてもこれないんだからねっ」

 電話でそう言うと来るとか宮本教授が言うから試してみたら五分以内にやってきた。変身した状態で、登場の口上からポーズまでびしっときめて『それで何で呼んだの?』と聞かれたのだ。

「せめて向こうについてから呼んでくれれば格好良かったのに」

「…今度からはそうするよ」

「本当、気をつけてよね」

 ちなみに真白さんに鬼茸の話はしていない。宮本教授が説明するかなーと思っていたら助手席から遅いだの何だのと注文付けてくるだけだ。

 十五分後、目的地について俺は早速呼び鈴を押す。

「…まった」

「待ったってもうおしちゃいましけど」

 呼び鈴押しっぱなしで返答する。

「あーならいいや」

 地響きみたいな音を立てながらどうやら竜太が走ってきたようだ。そりゃそうだ、呼び鈴押しっぱなしだからきっとなり続けてるんだろう。

「危ないっ、田原君っ」

「うぉう」

 玄関を突き破ってきたのは竜太ではなく赤黒い鬼だった。

「何あれっ。お、鬼っ…?」

 小脇に抱えた俺を道路に降ろすとスガーとなった真白さんはとりあえずファイティングポーズを取った。

「ま、また出たのかよっ。くそ間に合わなかったのか…」

 真白さんの隣に立って太刀を抜く。

「…しかもあの顔…竜太か」

 呼び鈴を押しっぱなしにしていたのが悪かったのか…鬼は竜太のようだった。般若のような形相でも面影はある、なんとなく。怖くて足が震えていたりする。

「嘘…呼び鈴押しっぱなしだと人間って鬼に成るの…」

「馬鹿な事言わないの」

 さすが、こっちの二人はびびってすらいなかった。

「み、宮本教授、あれが竜太ってやつです」

「そう、構わないから斬っちゃいなさい」

「え…そんなむちゃくちゃなっ」

「いーから、わたしを信じなさい」

「あたしは?」

「…人間を助けたいのだと思うなら、一般市民に被害を出す前に倒しなさい。田原は六花があれを消滅させる前に刺す事、いいわね?」

 宮本教授はそう言うと後ろに下がってしまった。既に真白さんは鬼になり果てた竜太に襲いかかっていたりする。

「わ、わかりました」

 宮本教授が言っていた事はこれまで基本的に正しかったし、何より教授だ。居なくなってしまった教授だって最期まで嘘はつかなかったし、おかしくなっていたとしても彼の言葉は何となく納得してしまうような人だった。

 良く言えば信頼関係、悪く言えば唯々諾々と俺は太刀を握り竜太に肉薄する。

「お願い、田原君っ」

「…わかってるっ」

 てりゃー、とかきえー、とか…ちぇすとーなんて言ってもいいけどそれより何より真っ先に鬼となった竜太に太刀を浴びせたかった。

 年下を脅迫するような人間でも、臆病な人間なのだ。

 恐ろしいほどの切れ味を擁した日本刀、気焔は鬼に対しても変わらなかった。まるで豆腐を下敷きで斬るような何ら手ごたえも感じずあっさりと刀は相手の鳩尾を貫通してた。

「ぐ、ぐぅ…ヴほぁ」

「うっ…」

 竜太の履きだした何かが頭に当たり、地面に転がる。

「…鬼茸、ね。もう抜いてもいいわよ」

「はい…」

 竜太から刀を引き抜くと人に戻った竜太がその場に倒れる。

「…」

「なーに、大丈夫よ。死んじゃいないわ」

「…わかってます。死んだ人間がこんな苦しそうな顔しませんよ」

 うめきながら眠っている竜太を余所目に吐きだした物を確認する。

「…きのこ?」

 事情を知らなかった真白さんがつまみあげた…が、それはすぐさま無くなり俺と宮本教授は身構えるのだった。

「あらまぁ、これはこれは雪女さんたちやないの」

 鬼茸をかっさらったのは橋で見かけた綺麗な女性であった。


どうも作者の雨月です。焔女さんがまた誘拐されて最後に登場したのはいつだったのか作者も忘れました。合掌。彼女がいなければ話の根幹が揺らぐわけですが影が薄い。実に残念です。これも動かすのが下手な作者の失態ですね。さて、話は変わりますが作者は怖い話が大好きです。しかしながら、幽霊お化けの類は信じていません。妖怪の場合は背景があるっと思っていますしUMAのほうもゴリラとかカモノハシの例もあって有り得ると思っています。怖い話を考えるのも好きですが、読むのも大好きです。メッセージで送ってくれる人はいないかなと思う今日この頃、まぁ、そんなことは一度も怒っていませんがね。鬼の話に差し掛かりようやく鬼茸の話も終盤へ、登場人物がいつも少ないと言われて居そうな作者ですが、今回はいつもより多くて勝手に各々頭の中で動くので収拾ついていません。ちなみにこの物語のコンセプトは事を起こすと直しただけじゃ解決しないというもの、だったりします。当初の予定では焔女は明るく元気で雪女Aは熱血漢雪女Bは頼れるお姉さんといった感じです。現実は気焔は居ても居なくても、真白六花はアホの子、宮本雪は解説役となってしまってこれはこれでありか、むしろこれ以上は力量の範疇じゃないと諦めつつあります。鬼や雪女については結構調べたりしているのですがなかなか、特に神様になるとどこかの宗教がからんでくるためこれを無視することは出来ず大変ですね。退屈だったが暇つぶし程度にはなったと言ってもらえるよう今後もがんばっていきますので応援してもいいかなと思った方は応援よろしくお願いいたします。

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