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黒の小冊子  作者: 雨月
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第二十四話:梅雨に生えるきのこを食べてみたいとはおもわんかね

第二十四話

 鬼茸をもって宮本教授に会いに行く途中、肩を叩かれた。

「よ」

「おう。どうした?」

 よく飲みに行く友人がちょっと困った表情をしている。普段は能天気で空気読めていない癖に珍しい。

「あのさ、お前って妖怪とか変なのに詳しいだろ?あの教授のサークルに居たし、いまでもそれっぽいのやっているってきいてるしさ」

「まぁ、多少なりな…でも、変なのって言っても幽霊とかUFOとか宇宙人関係はいまいちわからないぞ」

 妖怪と幽霊は違うと教授は言っていた。眉唾ものとして横並び感があるものの、妖怪は地域の影響、その当時の時代背景が元に成った者もいくつかあるとかないとか。

 土着信仰がまさにそれで連綿と続いてきた生贄等はそれまで続いていただから今後も続けると言った感じだろう。人柱だって思ったより前の話ではなかった。

「とりあえずさ、体にすげーのが出来たんだわ。おれ、これ見てピーンときたんだ。これは病院行っても駄目だと」

「そ、そうか…近いぞ」

 肩を押して離れさせる。男に近づかれて悦ぶ趣味はない。

「で、どこだ?」

「腹の…丹田辺りか」

 そういって見せられる。まさかと思って覗き込むと真輝ちゃんよりは小さいものの鬼茸が生えていた。

「これが治らなかった俺二本持ちって噂されるのかな…」

「何達観してんだ。任せろ、斬り落とす」

 そう言うと目が点になっていた。いや、まぁ、そうだろうけどさ。

「だ、大丈夫なのか?お前おれに恨みがあって間違えて下の方斬り落とすつもりじゃないよなお前そうなったら責任取れよ」

「大丈夫だ、既にサンプルを手に入れている」

 鬼茸を見せると納得してもらえたようで少しズボンを下ろす。

「何してるの?」

「あ、宮本教授」

 俺の手に持っているきのこを見ると嫌そうな顔をした。

「鬼のきのこか」

「やっぱり知っているんすか?」

 友人がそう言うと今度は友人の鬼茸へと視線を向ける。

「ふむ…てっきり男と男が熱い友情を確かめてあっているとおもったらこれが原因ね」

「はい、実は他の友人の妹にも着いてたんで斬り落とした奴がこれなんです。売ってお金に成りますか」

「…良く見せてくれたわね。でもまぁ、これは無価値よ。それ持ってると鬼が寄ってくるの、鬼がね。それを食べに…ついでに人も食いにやってくるのよ」

 恐ろしい話である。

「…これってなんで出来るかわかりますか?」

「神様がいなくなったり代替わりの期間になると発生する人間もいるわ。悪い事を悪いと知りながら続けたりすると基本的には生えるわね」

「お前ってやつは…今ならまだやり直せる。警察に行くんだ」

 友人の肩をたたく。かなり動揺していた。

「お、おい誤解だ馬鹿野郎っ」

「で、何をしたんだ?」

「何もしてないっ、してないっ」

「素直に白状するんだ」

「あとは…そうね、そういった人間に移される事があるの」

 宮本教授は手のひら大の手帳を見ながらそう言った。

「感染するって事ですか?」

「そうよ。小悪党と一緒に居たんでしょう。話をしたりするだけで移る事もあるわ」

「そ、そういやおれ竜太と話したわ。おれあいつにうつされたにちがいねぇっ。」

 なにお前男とヤッたのかよと冗談言う場面でもない為、ため息しか出なかった。

「マジかよ…」

 しかし、そうなると真輝ちゃんは…つまり、竜太にうつされたってことか?いや…でもそれなら竜太に生えていないといけないわけだし、どこにもなかった…股間も膨張しているわけじゃなかった。そもそも空気感染するものなのかどうかさえわからない。

「…あーそれとね、これは稀なケースだけど鬼茸自身が鬼になるのよ」

「鬼に成ってどうなるんですか」

「別にどうにもならないわ。鬼として動くだけ。鬼茸の生えた人物が抱く鬼のイメージを反映し、時として人を襲う…あくまで母であり父である寄生主は襲わないわ」

「稀なケースって言うのに詳細があるんすね」

「まーね、わたしは実際に見た事があるから」

「鬼…ねぇ」

 真輝ちゃんは…大丈夫だろうか。


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