第二十二話:振りかかる影響
第二十二話
「はぁー…」
河川敷、川に向かって石を投げる。孝道は爺さんに『お前がこの家を継ぐにはわらしさまを見なくてはならん』とかなんとか言われてとりあえず俺たちを呼んで相談したかったそうだ。
そっちは何とか『肥大化したわらしさま』をおじいさんも見ていたようで何とかなった。孝道からこれで家を継ぐ事が出来るとお礼を言われたものの、気焔さんが捕らわれたままだ。
宮本教授によるとどうも肥大化した座敷わらしが神様にすがろうとして神であった気焔さんを捕らえたらしい。
「目下、今のところは元の神様を探さなくちゃ…いけないのか」
宮本教授は神様を探すために羽津神社へ、真白さんは孝道の家へと様子見に行った。ちなみに孝道は家を継ぐための修行に出て居ないそうで、真白さんはスガーとなり侵入を試みると言っていた。
「…敵のアジト侵入みたいで燃えるよね」
彼女が真面目なところをまだ一度も見た事がない。いや、ある意味恐ろしいほど真面目なのだが。
まぁ、二人の事はいい。俺はまた別の友人に呼ばれているのだ。
「よぉ、田原」
軽薄そうな笑みを浮かべたチャラい感じの男が現れる。
「…やっと来たのかよ。十分遅刻だぞ」
「固い事言わないでくれよ」
「はぁ、それでどうした。高校の頃の友人が今更電話なんてしてきて」
さして仲がいいわけでもない友人だ。名前を浅木竜太という。かつあげとかあまりいい噂を聞くような相手ではなかった。相手はあくまで下級生、それこそ中学生相手を相手にしてまでやっていたらしい。
「助けてくれ」
「ははぁ、金か。お前みたいな人間に誰が貸すか。そもそも持ってないぞ」
「違うんだ」
「違う?」
「ああ、違う。俺じゃあない。俺もだが…正確に言うと妹なんだ」
「妹?」
さして仲の良い友達ではない(元から俺は友達が少ない)ため、妹がいるとか知るわけもない。
「そいつがどうした。不良にでも捕まったのか?」
「いや…実は……ひぃっ」
「…」
何があったのか、そう聞かずに後ろを振り返る。其処には多分、鬼だろうと思しき存在がいた。いや、鬼なんて見たことないから良くわからないのでとりあえず角が二本あり体は赤くぼろ布を腰に巻いていたから鬼と定義しておこう。
「この町は一体どうしちまったんだ…」
ポケットに突っこんでいた焔ノ御神ノ末ノ剣(気焔さんに新しく作ってもらった)を抜いてスイッチを入れる。足は震えている、きっと顔色も悪いだろう…だけど、此処で逃げるわけにもいかない。
「お、おおお……」
たったそれだけで鬼は姿を消した。宮本教授によると圧倒的な力の前では成す術もなく、消えるしかないらしい。
「す、すげぇ。やっぱり噂は本当だったのかよっ」
「おい、放せ馬鹿」
腰にすがりついてきた浅木竜太を払いのける。
「いや、マジで感動した。化け物狩ってるって噂を耳にして助けを求めたんだよ」
「…は?」
「これなら真輝も助かるっよかった。着いてきてくれ」
少々興奮した様子の浅木竜太にしぶしぶながら着いて行くことにした。
比較的綺麗な民家に案内される。てっきりすさんだ感じの家かと思った。
本当にどこにでもあるような家だ。
「お兄ちゃん、帰ってきたの?」
「ああ、お前を助けてくれる人を連れてきた」
俺の事を紹介される。
「この子が妹か?」
「そうだ」
ちっこい印象を受ける女の子だ。軽薄そうな笑みを浮かべる兄貴と違い人見知りが入って顔色は青白かった。ベットが良く似合いそう…そんな女の子だ。
「似てないな」
「放っておいてくれ」
「顔色が悪いが元からか?」
「いいや、違う」
「病気だったら管轄外だ。そもそも俺は…」
「病気か。そうかもしれない…。真輝、見せてやってくれ」
「う、うん」
ゆったりとしたワンピースをたくしあげる。綺麗なお腹が見えた。
「お、おい?」
その時点で異様な事に俺は気がついた。ズボンが、一部が、膨張しているのだ。
「女の子…だよな」
「ああ、正真正銘の女の子だ」
「…これ、です」
ズボンを少しだけ下ろしてそれを見せられ…俺は目を丸くするしかなかった。




