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黒の小冊子  作者: 雨月
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第二十話:古月孝道の家

第二十話

 真白さんから地図を渡され始めて友人の家へと向かう。

「家はどんな感じ?魔王城?それともWH風?」

 真白さんのボケはスルーすることにした。面倒なので。

「わからないな」

 飲むときは家じゃなくて店だし、遊びに行くとしても別の友人の家だったし、最近は色々あってそれどころではなかった…と、まぁ、いいわけである。

「その古月孝道ってどんな人物なの?」

 気焔さんに言われて首をかしげる。

「眼鏡をかけている、頭はそれなり、顔もそれなり、運動能力も平均値…特徴がないのが特徴か」

「普通?」

「そう、普通。この前の身に行ったときは座敷わらしの話をしていて宮本教授や俺達に家に来てもらいたかったっぽいなー…宮本教授、珍しく真面目な顔してますね…いたっ」

 顔面を叩かれた。ナチュラルに痛かった。

「…影響が出てんのよ」

「影響?」

「そーよ、行けば分かるわ」

 それっきり宮本教授は黙り込んだ。俺は真白さんに尋ねる事にする…妹ならなんとなーくわかるだろうと思って。

「真白さんどういう意味かわかる?」

「え?さぁ。話を振る時は今から振りますよーって目で言わなきゃわからないって。はい、やり直し」

 仕方がないので真白さんをじっと見る。段々顔が朱色に変って行き、湯気が出てきた。

「もうっ、なんでそんなえっちな目をしてこっち見るのっスケベっ」

「り、理不尽だ…」

 一発殴られた。さすがヒーロー、拳が優しくなかった。

「次そんな目であたしをみたら目玉に必殺技叩きこんじゃうんだから」

「…みたいかも」

「はーい、皆さんそろそろ古月孝道さんのおうちに着きますよー」

 地図を眺め、一生懸命話をそらす。俺の同居人はどうも恨みがあるようで倒されてほしいようだった。

「そこそこ大きいわね」

「いや、これ十分でかいっすよ。でかいと言うより広いっすよ」

 金持ちは高く作るんじゃなくて広く作るんだ…酔っ払った父ちゃんが言っていた気がする。

「…ここが炎上してその中から人を助けたらヒーローっぽいかも」

「この中でどなたかマッチかライターをお持ちの方はいませんか―」

「不謹慎っ」

 ヒーローと焔女がそんな事を言うとは思わなかった。

「あなたの妹さん、マッチポンプの気がありますよ」

「あんたの嫁は火を着けたら興奮しそうね」

「…お互い、大変ですね。あと嫁じゃないです」

 これ以上ここに居たら二人が何かしらアクションを起こすかかもしれないので中に入らせてもらう事に。

「ぴんぽーんっとな」

 代表して俺が呼び鈴を押す。数十秒後、一人の老人が出てきた。

「どなたですかな」

 俺より前へ宮本教授が出てくる。『ごうとうですかねをだせ』とでもいうのかと冷や冷やしていたら意外な言葉が口から出てきた。

「初めまして。わたくし羽津大学で教授している宮本雪と言います。実はわたくしたちこの町の郷土について調べておりまして今回、座敷わらしについて調べることになったんです。たまたま、こちらの…」

 そういって俺の肩に手を置く宮本教授。いつものぶっきらぼうな感じはなかった。

「学生、田原大地君のご友人である古月孝道君の家に件の座敷わらしが出るとお聞きしましたので本日ここに来た次第です」

「そうですか。いや、孝道の友人とその教授ならどうぞおあがりください」

 少々警戒していたようなおじいさんは宮本教授から名刺をもらって家の中へと俺たちを上げてくれた。

「…すごいですね、宮本教授」

「お姉ちゃん、外面はいいからね」

「………」

「どったの?気焔さん」

 真面目な顔で彼女は口を開いた。

「六花ちゃん、大地は顔は悪いけど中身はそこそこいい人だから」

 心臓を抉られるような気がした。言葉のナイフでぶすりとやられた。

「いや、内面も残念」

「…」

 はて、なんで俺はこんなにも嫌われているのだろう。

「この前携帯を勝手にいじってたら田原君ってばアダル…」

「ノーっ、何勝手に人の携帯いじってるの」

「ちなみに田原君じゃないけどある人の携帯フォルダのパスワードは『0881』」

「そう言うの言わなくていいからね!」

 馬鹿をやっていた俺達に拳が振ってくるのはこの後すぐだった。


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