第十七話:喉から手が出る程金が欲しい
第十七話
金は人間を誘惑する。誘惑された人間は金にもてあそばれ、人間関係を崩壊させたりその人の人生を終わらせたりと恐ろしい事態を招く。当然ながら、金は世界を円滑に回すための道具であり、どんなお金でも人の幸せに手を貸す事も出来るもろ刃の剣である。
「うひゃっひゃっひゃー金よ金よーっ」
宮本教授は札束の山でお札を天井へ向けて放り投げ、遊んでいる。余程手に入れた額が大きかったのか、笑い方までどこかおかしかった。
「…俗物だー」
「うっさいわねー。ノヅチを倒したんだからこれぐらいもらう権利はあるわ」
倒したのはぽっと出の巫女さんでしたけどねーと言ったら札束を投げつけられた。
「あの子、要らないって言っていたじゃない」
「心のきれいな人間でした」
「お金、必要なんですか?」
「…友達を助けるために必要なんだよ」
「じゃあわたしの分は寄付します。あの、何だか良くわかりませんけど頑張ってくださいっ」
「え、あ、ああ…」
こんなやり取りがあった。簡潔なやりとりでも、あの子の目はきらきらと輝いていてまるで幼子のような純粋さがあった。そういえば、気焔さんとも似たようなやり取りをした気がする。
「愛よりお金って言うけど本当かな」
「…そうだと思うよ」
「なんで」
「人にもよるけどね」
「私はそう思わないけどなぁー私は愛を取るよ。大地は?」
「俺はお金!」
「うわー俗物だ」
綺麗な目をしていたかどうかは覚えていない。
「大人になるって汚くなるって事なんすね」
「そろそろ六花が持ってくるんじゃないの?」
既に機材の発注は終わっているそうでそれをもって(持っていけるような大きさの装置ではなかった気が…)焔ノ御神ノ末の元へと行けばいいらしい。
「昇華させるのは超大変だけど駄目にするのは簡単だからいいわよね」
「…宮本教授ってこれ以上駄目になるんですかね?俺にはそう思えませんが…いたっ」
「ヒューたっだいまー」
何故かテンション高く入ってきた真白さんは机の上に手のひら大の水筒を置いた。
「…水筒?」
「水筒っぽいだけ。中はあの装置と同じだって」
「にしてもサイズ違うなぁ…」
前見た時の装置とやらは人より大きかったし…。
「技術革新よ」
水筒をさっと手にとって宮本教授が断言した。
「いや、技術革新ってあなた…」
「場所を取らないようダウンサイジングには気を使っているのよ」
「そもそもあの装置は洗濯、こたつ、テレビ、PC等の複合装置だったらしいから何かを堕落させる装置だけだとこのサイズだって」
何故作成者はこたつに妖怪を神様に昇華させるような装置をくっつけたのだろう。
「ノヅチの時みたいにあっさり終わってくれれば楽なんだけどね。さ、行くわよ」
宮本教授の言葉に『どこへ?』という返事は出てこなかった。
「はい」
「うん」
真白さんと俺は準備した物を背負って研究室を後にしたのだった。




