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黒の小冊子  作者: 雨月
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第十三話:作戦懐疑?

第十三話

 長方形のテーブルの上には一枚の紙が載せてあり、それには宮本教授作のツチノコ改めノヅチの絵が描かれている。

「最早一刻の猶予もならんっ。斬り伏せるのだっ。ツチノコならば可愛げもあったがもはや成長しノヅチとなった遠慮はいらん、切り刻めぇっ」

 宮本教授は高らかに宣言し、拳を天井へと向ける。

「何をですか」

「ノヅチをっ。大切な妹を奪われたから仕方がない…成敗」

 最後のほうがちょっと棒読み気味だった。気のせいかもしれないけどさ…。ちなみに真白さんからはメールが来ており『ちょっと何逃げてるのっ』というメールが来ています、はい。

「あのー…二百万はいいんですか?生け捕りでしょう?」

「ツチノコよりノヅチのほうが高く売れるわ。たとえ死体だったとしてもね…神だもの」

 にやりと笑う宮本教授は悪人面だった。

「ゴキブリみたいな連中には高く売れるわ」

「研究対象にされるんですよね?」

「ええ、そうなるわねー…ま、商売って言うのは売る側と買う側がいないと成り立たないの。もしかして可哀想だって思ってる?」

「え、そんなことは…」

「放っておいたらあの山に登る連中全部食われるわよ。研究対象はどうであれ、駆除料金はもらえるの」

「…そう、ですよね」

「そうそう、さて、此処からはちゃんと気合入れて行きなさいよ。油断したら食われるから」

 そういって宮本教授は何処かで見た事のあるブレスレットを手に着ける。

「それ…真白さんが持っていた奴ですよね?」

「あっちはこれの複製品ね。テレビでやっている奴もこれを元にしたものよ。日曜の朝にやってるスガーはわたしの友人がやってるの」

 つまり、宮本教授は…。

「まー、雪女だし、こんなものは必要ないけどさ。やっぱり気合入れるときはいつもと違う自分できちんとしようって変身願望があるんじゃない?」

「まぁ、確かに」

「さて、作戦はいたってシンプル。わたしが囮になる。隙あれば仕留めるけどね。田原助手は状況判断に応じてその物騒な刀で好きなように切り捨てなさい。斬る場所間違えると六花きっちゃうからね」

「は、はい」

 宮本教授は台の上に置かれた気焔を眺めて一言。

「これ売った方がお金、手に入るかもね」

「…今のあれを封じ込めているのってこの刀のおかげなんですよね?じゃああったほうがいいんじゃないんですか?」

「まーそうね。今後も厄介な奴が出た時のさいごの砦として必要ね」

「下手なフラグを立てないで下さい」

「立ててないわよ」

 宮本教授はそう言うと白衣を羽織る。

「さ、お遊びはここまで…仇討ち(お金を稼ぎ)に行くわよ」

 心の声が聞こえた気がする。気のせいだとは思いたい。


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