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034:怪しげな城

 為臣陛下は無血開城した紋別城に入城。

 もちろんハメて攻撃を仕掛けて来る可能性もある為、幸政総司令官たちが先に入城し武器や武器庫を没収した。

 そして反乱を起こさせないように兵士たちを、城から家に帰すのである。

 少しはこれで為臣陛下の安全が保障された。

 丈二たち近衛団のガチガチの守りで、為臣陛下たちは紋別城に入城する。



「お待ちしておりました、陛下!」



 為臣陛下が歩いている道の前から、ギトギトした声が聞こえて来るのである。

 誰だと思って視線を前に向けた。

 そこには小太りで薄気味の悪い男が、深々と頭を下げて待機していた。

 どこの誰かと為臣陛下は聞く。

 すると男はスッと顔を上げた。

 その顔は明らかに作り笑いしているのだろうと分かるような不気味な笑みを浮かべている。



「自己紹介が遅れました。私は紋別城の城主を務めさせて頂いております、《臼井 君男(うすい きみお)》と申します。どうぞ、よろしくお願いいたします」


「そうか、お前が城主か……うむ、今回は無血開城を受け入れ ご苦労であった」



 自己紹介をした臼井城主に、為臣陛下は目を細め品定めするように下から上を見渡す。

 そして陛下も作ったような笑みをした。

 陛下に感謝されたと城主は「うんうん」と頷いてから手をスッと後方に向けた。

 紋別城の中に「どうぞ、どうぞ」と招き入れる。

 この男の何かに陛下は違和感を感じていて、少し中に入るのを躊躇する。

 だが後ろに控えていた丈二が「幸政殿が、武器を取り上げております……」と助言した。

 これに陛下は「そうか」と呟いて歩き始めた。



「臼井、お前は城主になる前、どこかで兵士をやっていたのか?」


「私ですか? いえいえ、兵士なんて とんでもありません。私のようなビビりには兵士なんて務まりませんよ」


「そうか、探るような質問をして悪かったな」


「いえいえ! それにしても私は兵士に見えますか?」


「いや、そういうわけじゃ無いが……気になってな」



 為臣陛下は部屋に案内されるまでの廊下で、臼井城主に城主になる前の仕事について質問をした。

 兵士になっていなかったかという質問だ。

 しかしどうやら陛下の考えとは違ったらしい。

 臼井城主は自分のようなビビりに、偉大なる兵士なんて務まらないと笑いながら答えた。

 この唐突な質問に戸谷宰相は、何かあったのかと陛下の耳元で「どうか致しましたか?」と小声で聞く。

 少し考える動作をしてから陛下は「いや」と答える。



「さぁさぁ陛下! こちらのお部屋をどうぞ、この城で最も豪華な部屋にございます!」


「そうか、そんな部屋に案内してくれるとは殊勝な心がけだ」


「いえいえ! 陛下の為でしたら、これくらい何というか事はありません!」



 この紋別城で最も豪華な部屋を用意したと、臼井城主はニヤニヤした顔で案内した。

 心から思っているわけじゃ無いが感謝を伝える。

 ペコッと臼井城主は「では」という感じで頭を下げてから、為臣陛下たちの前から立ち去った。

 先に丈二が部屋の中に入って、危険な事が無いのかをチェックする。



「部屋の中をチェックしましたが、特に怪しいところはありませんでした。しかしまだ何かをして来る可能性があるので、我々も警戒しておきます」


「あぁありがとう。休む前に、また次の攻撃に関する話し合いをするから戸谷と幸政を呼んでおいてくれ」


「はい! 承知いたしました!」



 部屋の中はチェックしたが、それでも危険があるかも知れないから警戒は解かないと丈二は報告した。

 もちろんそれで良いが、今からでもこれからについての話し合いをするから戸谷宰相と幸政総司令官たちを連れて来るように指示を出す。

 丈二は「分かりました!」と言って護衛の人間たちを残して戸谷宰相たちのところに向かった。

 出て行ったのを見てから為臣陛下は、ドサッとソファに腰を下ろして「ふぅ……」と溜息を吐く。



「陛下、お水をご用意いたしましょうか?」


「あぁ貰おうか。あっ、キチンと毒味をしてくれよ」


「はい! 承知しております!」



 為臣陛下は疲れているだろうと、護衛であり側近の兵士が水を持って来るかと聞く。

 ちょうど欲しいところだった。

 貰おうと言ったところで、直ぐに「あ!」と伝えておかなきゃ行けない事があると思い出す。

 それはキチンと水を毒味するように言う。

 もしかしたら陛下を恨んでいる人間が、井戸に毒を入れているのかも知れない。

 だからキチンと毒味をするように伝えた。


 持って来て貰った水を、ゴクンッゴクンッと飲んでいると丈二が戸谷宰相と幸政総司令官を連れて来た。

 為臣陛下は「おぉお疲れ様」と言って向かいのソファに座るよう促すのである。

 2人は「失礼します」と言ってから腰を下ろした。

 飲んでいたコップをテーブルの上に置いた陛下は、2人の顔を見て「次の標的は決まったか?」と聞く。



「はい、次に攻めるのは猿払城の手前にある〈枝幸城〉になります」


「そこを落とせば、残りは猿払城です! あと少しですので、陛下もよろしくお願いします」


「あぁ俺は問題ない。それよりも兵士たちを労ってやれ、少しでも士気が低くなれば戦いづらくなる」


「はい、承知いたしました」



 次に攻めるのは枝幸城。

 北見知事が籠城している猿払城の手前にある城だ。

 そこを攻め落とせば、遂にいよいよ北見県を落とす為の戦いの本戦に入る。

 だから為臣陛下も踏ん張って下さいと2人は励ます。

 しかし陛下は辛さを見せない。

 本当に10歳なのかと疑うくらいの精神力を持っていてると共に、自分ではなく兵士を労って欲しいと言う。

 2人はニコッと笑って「はい!」と答えた。



「それと2人には話しておきたい事があるんだけど、ちょっと良いかな?」



 標的を聞いて ひと段落ついたところで為臣陛下は2人に話しておきたい事があるらしい。

 2人は頭に「?」を浮かべ、どうしたのかと聞く。

 陛下は2人に手招きをして、小声で喋りたいから耳を近づけて欲しいと頼む。

 顔を見合ってから2人は、身を乗り出して耳を傾ける。

 外に声が漏れぬよう陛下は小声で喋る。

 2人は陛下の話を「ふむふむ」と聞いていると、結末の着地に「え?」と驚いた。



「そ それは本当ですか?」


「あぁ感じたのは本当だ。だが、まだ確定ってわけじゃないんだけどな」


「確かに我々も違和感は感じておりました……まさか陛下が、その事に気がついていたんですか………」



 為臣陛下は2人に自分が気が付いた事を話した。

 まさか気がついているとは思っておらず、2人はそんな着眼点から気がつくなんて驚く。

 しかしまだ陛下も確信があったわけじゃない。

 それでも注意しておくのは悪い事じゃないからと、陛下は2人に自分の考えを述べた。



「どうしますか? 不安要素があれば、今のうちから排除する事はできると思いますが」


「いや、まだ確証を得たわけじゃない。ここで俺の早とちりだという事になったら、いらない誤解を招く可能性がある。だからここは向こうが尻尾を出すまで待機だ」


「さすがは陛下でございます! 陛下のお気持ちは承知いたしましたが、それでも危険は付きものです。私たちの方で警戒はさせて頂きます」


「あぁもちろんだ、警戒に関しては戸谷たちに任せるよ」



 気がついた事への対応を迫られた為臣陛下は、まだ確証も無いので動く事はないと否定した。

 もちろん陛下のお気持ちに寄り添った上で、戸谷宰相たちは警戒は強くすると許可を得ようとする。

 戸谷宰相の気持ちは最もだと陛下は許可。

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