編集中
Side=サヤ∥Beginning∥『Reload』
俺等は今『中立国』を出て、北に向かっている。
えっ?少し早くないかって?
だって何も無かったんだもん。手抜きすんなって?それは俺じゃなくて作者に言えよ。
・・・しょうがねぇ~な。簡単に説明してやるよ。
城で飯振る舞ってくれた所までは知っているだろ?
俺は途中で抜けて、騎士長と一緒に酒飲んでたんだよ。未成年とか不老に言っても始まらないから。
んで、思わず酒進んじゃってさぁ~記憶が曖昧なんだけど、どうやらベロンベロンになったらしく、カロに運んでもらったらしいんだよね。
で、問題は此所から。
俺が目を覚ましたら左右にオカマが居てさ。何かがっちり掴まれているんだよね腕。
まぁ~ボコったよね。当然。
んで、少しオカマ共とお話して、んでもって出発だよ。
どうだ、別に書かなくとも良い内容だろ?
まぁ~ママさんと弟子一号との別れの場面はしんみりしたけどね。
当然弟子一号は弟子な訳だから俺達と旅しますよ。
けれども、弟子一号はまだ『無道』の正式メンバーじゃないから。
見習いだよ。
そう言ったら、「見習いって何をするのですか?」って尋ねられたから、「俺のストレス発・・・修行だよ」って言っておいた。少し顔が蒼くなってた。
もう説明は良いか?さっきからカロがこっち見てニコニコしてるんだよね。
「終わりましたか?」
カロが尋ねて来る。
「えっ?何が?」
俺は目を左右に泳がせながら尋ねる。
「・・・いえ、何でもありませんよ?」
・・・・コイツマジ怖いよ。俺の頭の中完全に読んでるよ。
「・・・・まぁ、良いけどさ」
俺は視線をカロから、前方に変える。
「あっ、気付いてましたか?」
カロが言う。
「気付いたも何も、気付かないのあの戦闘狂ぐらいだろ?」
俺は溜息を吐きながら言う。
・・・デジャヴなんだよね。解るかな?
リノは5歳ぐらいだったんだよ・・・でもね。今完全に10歳前後なんだよね。
幼さは残っているけど、完全に成長してるよね。
えっ?俺が寝ている間に何があったの?
「お城で沢山食べていましたからねぇ~」
「えっ!?そう言う問題!?」
どうやらカロはもうとやかく言うのを止めたらしい。
「てか、何であの馬鹿は気付かない訳?」
俺はフォーリを見ながら言う。
フォーリは普通に違和感無くリノを肩車している。
弟子一号は少し苦笑しながらそれを見ている。
何故一番近くに居るお前が気付かない?
「馬鹿だからでは?」
さらりと酷い事を言うカロ。
けど、もう馬鹿の域越えてるよね。例え馬鹿でも気付くぞ?アイツどっか頭のネジ外れてんじゃないのか?
「成長するのは悪い事じゃないけどさぁ~もっとゆっくり成長出来ないもんかね?」
俺は溜息を吐きながら言う。
「一定の年齢に達したら止まると思いますよ。ですが、不死かどうかは解りませんね」
カロが微笑みながら答える。
「もうどうでも良いか。・・・それよりも・・・」
俺は立ち止まる。
それに合わせた様にカロとフォーリも立ち止まる。
弟子一号とリノは気付いていない。
俺は腰に手をやり、『S&W M500』を抜く。
「出て来いよ。場合によっちゃ殺すぞ?」
俺は振り返り、殺気を放つ。
だが、俺の後ろには誰もいない。
周りは荒野なので、隠れられる所も無い。
だが、居る。
「・・・10数える。それまでに出て来い」
俺は『S&W M500』を構えながら言う。
「1・・・2・・・3456789―――」
「ちょっと待った!!」
俺が3以降を早口で数えたら、誰もいない所から人が現れる。
「それは駄目でしょ?」
現れたのは女性。
ボサボサの淡い茶髪。つなぎの様な服。美人ではあるのだが、顔や服につく汚れがそれを台無しにしている様な印象。
すると、
「あぁ!!!!お前は『ローデン』の刺客じゃねぇか!!!」
フォーリが女性を指さしながら叫ぶ。
「どうもぉ」
女性は微笑みながら手を振る。
「じゃぁ~コイツが?」
俺は女性を睨む。
「おっと、そんな怖い顔しないで欲しいんだけど?私は敵じゃないわよ」
女性は両手を挙げながら言う。
「それを信用出来るとでも?」
カロが右腕の袖を捲りながら尋ねる。
「あぁ~・・・無理よね。じゃぁ、『最後の魔女』と言えば良いかしら?」
女性が不敵に笑みを浮かべる。
「「なっ!?」」
これに驚いたのはフォーリとカロ。
俺は何のこったか解らない。
俺は少し疎外感を感じて、カロに尋ねる。
「『最後の魔女』って?」
「『最後の魔女』は『古の魔女』の相棒ですよ」
凄く解りやすい説明。でも端折り過ぎだよね?
「て、事は・・・」
俺は女性を見る。
「信用してくれたかしら?」
『最後の魔女』が首を傾げながら尋ねる。
「信用出来る訳ねぇーだろうが!テメェーが勝手に名乗ってるって事もあるだろ?」
フォーリが叫ぶ。
「あら、只の戦闘狂かと思ったのだけれど、結構思考はまともね」
馬鹿にした様に『最後の悪魔』は微笑む。
「んぁ?テメェー潰すぞ!!!!!!!」
フォーリが青筋を立てて叫ぶ。
「ごめんなさいね・・・・・本当の事言っちゃって」
「聞こえてるんだよぉ!!全部丸聞こえなんだよ!!小さくボソって言えよ!!ハッキリと聞こえたわ!!!」
・・・・フォーリがツッコミに・・・・・レアだ。
この人と居ると、少し面白いかも。
「それで、貴方は何をしに我々の後を付けていたのですか?」
カロが尋ねる。・・・あっ、スゲェー満面の笑みだ。俺と同じ事考えているよきっと。
「一緒に旅でもしようかと思ってね」
『最後の魔女』は腰に片手を当て、何故かピースしている。
・・・・こんなキャラなの?
「はぁ?一緒にぃ?あり得ない!!超あり得ない!!!」
フォーリのキャラが崩れていく。
「別に良いじゃない。減るもんじゃないし。・・・それに」
そう言い、『最後の悪魔』はリノを見る。
そこで、俺等は何となく察する。
相棒そっくりの子。そんなのが目の前に現れれば、気になるのも頷ける。
まぁ~気付いていても、
「駄目だし!超駄目だし!!」
馬鹿は断固拒否の姿勢を崩さない。
「・・・名前なんて言うの?」
俺が尋ねる。
「はぁ?お前何聞いてるの!?」
フォーリが此方を見て叫ぶ。
もうウザいよ。
「マドよ。マド=ホーク。よろしくね」
「サヤだ。一応はよろしくだ」
俺は頭を掻きながら言う。
「カロナス=ナイハ。カロとでも呼んで下さい」
カロは微笑む。
「私リノ!!!」
リノがフォーリに肩車されたまま叫ぶ。
・・・平仮名じゃない!?
驚愕。成長は恐ろしい。
「俺は羽時刃です」
弟子一号は未だに状況を理解出来てないのか、少し戸惑いながら言う。
後で説明してやるか。
「・・・・俺は認めないぞ!!!」
何故か毛嫌いするフォーリ。
「あら、そう?私はアンタの事嫌いじゃないのよ?」
マドはニコリと微笑みながら言う。
「うっ・・・俺は嫌いだ!!!」
・・・どうやらフォーリの苦手な異性はマドの様な人らしい。
・・・あっ、横でカロが「面白い事を知った」的な黒い笑みを浮かべている!!
マジ怖い。絶対フォーリ弄られる。
「兎に角、詳しい事は後ほどで良いだろ?」
俺は頭を掻きながら言う。何か面倒臭くなってきた。
「えぇ。よろしくね」
マドは微笑む。
色々面倒になりそうだなぁ~。
敵なのか?味方なのか?・・・あまり関係無いか。
「ところで、北に向かっているって事は『グラパス』か『ガスティン』よね?と、言う事はどっちかに行くの?」
マドが尋ねて来る。
「『グラパス』には行く予定はある。でも『宗教国』はどうも気に食わないから行かない。それに、行っても即攻撃されるだろうしな」
俺は腰に手を当てながら答える。
「何かしたの?」
マドが少しニヤニヤしながら尋ねて来る。
「あぁ~『始星団』とドンパチやった」
面倒だなぁ~大将潰しとけ良かった。色々なところで俺の死亡フラグ立っている様な気がする。
「ホント、アンタ達は凄い事してるのね」
感心した様に言うマド。
「まぁ、だから『グラパス』にでも向かおうかなぁ~てな」
「でも、何で『グラパス』?」
「・・・何で?」
俺はカロに尋ねる。だって俺も詳しくは知らないんだもん。
さっきカロに「『ガスティン』と『グラパス』どちらが良いですか?」といきなり尋ねられ、適当に『グラパス』と言ったら決定した。
元々俺に、その二択以外の決定権は無かったらしい。
「何となくですよ。それに、『グラパス』が一番潜入しやすいですしね。王も王ですし」
カロは何となく決めたらしい。
「んでも、王が王って?」
イマイチ俺は状況理解を出来ていない。
「あぁ~それは『グラパス』の帝王が『武力王』と呼ばれているからだ」
今まで拗ねていたフォーリが答える。
「『武力王』?随分な名前だな。てか、『グラパス』ってフォーリが雇われてた所だろ?あそこって抜けた者に対して結構厳しいんじゃ?」
「そうだが、元々『武力王』は力を持つ奴は誰だって自分の元に置く奴だ。「力在る者は生き、力無き者は死すべき」これが王の口癖だ」
フォーリがつまらなそうに説明する。
「んじゃ、離反したお前でも差ほど気にしないって事か?」
「王自体は気にしないでしょうが、部下の方は解りませんね」
カロが顎に触れながら言う。
「ん?王が別に良いって言っているんだから、大丈夫なんじゃないのか?」
それにはマドが答える。
「王の「誇示する力」は言わば誰でも力があれば良いって事でしょ?つまりは敵であろうがなかろうが誰でも良いって事よ。けれども、それだと離反された時とかにその離反した者が他国に情報を流す恐れがある。その為『グラパス』の人間は離反した者に厳しい。てなところよ」
「色々面倒な所だなぁ~。でも『宗教国』に行く気は無いしなぁ~・・・しょうがないったらしょうがないか」
少なくとも、『ローデン』の軍勢を退かせた事は知れられている筈だ。そんな中で誰しもが俺等を敵と認識するかと言ったら、そうでは無いが。味方でも無い。そんな状況で『グラパス』ってのは最良の選択か?
すると、カロがまた俺の心を読む。
「大丈夫ですよ。『グラパス』の『武力王』は力があれば誰でも良いのですから、表だって攻撃はしてきませんよ」
「表だってって・・・裏では何かあるかもって事だろそれ?」
「別に大丈夫だろう?」
適当に言うフォーリ。
「・・・はぁ~しょうがねぇーか」
此所はもう腹くくるしかねぇーだろうがよぉ~。
死ぬのが怖いとかじゃなくて、面倒臭いのが一番嫌なんだよ。
「それじゃぁ~『グラパス』に行くのね?」
マドが何故かウキウキしている。
「何でそんなテンション高いの?」
俺はこんな意気消沈しているのに。
「えっ?だって4万もの軍勢を潰す程の人間と旅が出来るのよ?面白い事起きそうじゃない。それに、『グラパス』って行った事無いのよねぇ~」
マドはスキップしながら歩き出す。
「・・・だから俺は嫌だって言ったんだ」
愚痴りながら歩き出すフォーリ。
「面白くなりそうですね」
何故かカロもウキウキしている。・・・きっとフォーリの困り果てた顔を見られるからだろう。
「レッツゴォー」
リノはフォーリの肩の上で腕を掲げて叫ぶ。
「波瀾万丈で前途多難ですね・・・」
弟子一号は溜息を吐いていた。
「・・・面倒臭くなければもう何処でも良いや」
俺も何だかんだで、結構ウキウキしている所もあるかもしれない。
『武力王』。どんなもんか見定めてやるよ。
願わくば、ヨボヨボの爺じゃない事を願う。
次の『無道』+子供+見習い+『最後の魔女』の行き先は『グラパス帝国』。
何か無い訳が無い。
Side=サヤ∥Out
Side=第三者∥Beginning∥『Reload』
薄暗い森の中、異形の者達が集まっていた。
「ねぇ~ねぇ~俺っちもう待つの飽きたぜぇ~」
黒髪短髪の青年が足をバタつかせながらぼやく。
「もう少し待て。下種野郎」
ぴっちりとしたスーツの様な物を着た、金髪で顔に刺青を施した女性が睨む。
「ぶぅ~ぶぅ~」
青年は両頬を膨らませ、口を尖らせる。
すると、
「悪ぃ悪ぃ。道に迷ってた」
天パ頭の男が頭を掻きながら現れる。
「方向音痴のアンタがこれだけ早く来れば上々だ。癖毛野郎」
金髪女性は睨みながらも褒める。
「癖毛って、何気に酷いよな。まぁ、慣れてるけど」
天パの男は地べたに座る。
「他の皆はぁ~?遅すぎぃ~」
青年は足をバタつかせる。
「ごめんですね。遅れてしまったですね」
いきなり3人の前に白いゴスロリの少女が現れる。
「集めた貴女が遅れてどうするんだ?妄想野郎」
「野郎じゃないですね。私は女ですね」
白いゴスロリ少女は頬を膨らませる。
「あら、結構集まっているじゃない♪結構早く着たつもりだったんだけど?」
前髪ぱっつんのきわどいスカートを着る女性が現れる。
「後は馬鹿だけか・・・」
天パの男が辺りを見ながら呟くと、
「誰が馬鹿だ!!」
森の中に声が響く。
それを聞いて全員が溜息を吐く。
「何だ!何だ!そのやる気の無さは!!覇気を出せ!」
森の中から仮面を付けた男が現れる。
「五月蠅いね。本当に五月蠅いね」
白いゴスロリ少女は眉を細めながら言う。
「五月蠅いとは何だ!!それよりも、お前のそのフリフリは見ていて苛々する!!直ぐさま脱げ!!」
「変態ね」
「変態ではない!!お前の様な小娘に興味など無いわ!!」
「素顔不明のアンタは誰にも興味持って貰えないね」
仮面の男と白いゴスロリ少女は言い合いをしている。
「仲良いのは解ったからぁ~さっさとしようよぉ~」
青年が文句を言う。
「それには賛成だ。俺今の内に行動しないと目的に辿り着けない」
天パの男が手を挙げ、怠そうに言う。
「同じく私もだ。塵野郎」
金髪で刺青を施している女性も2人を睨みながら言う。
「私は別に良いけどね。面白いから♪」
きわどいスカートを靡かせ、前髪ぱっつんの女性はニコリと微笑む。
「そうね。下らない事は終わりね」
白いゴスロリ少女はこほんっ、と咳払いをして落ち着く。
「やれやれ。・・・では、全員居るか今から一人一人名前を言っていこう!!」
仮面の男は場違いだった。
「はぁ~?何でよね!!そんな意味無いね!!」
白いゴスロリ少女は叫ぶ。
「黙れ!!これは統率を取るに当たって重要な事だ!!」
仮面の男も叫ぶ。
その様子を見ながら、
「面倒だから従うよぉ~だから早く終わらせてぇ~」
青年が疲れ切った顔をしながら言う。
「ぐっ・・・解ったね」
白いゴスロリ少女は、仕方無いと言わんばりの言い方をして納得する。
それを見てご満悦なのか、仮面の男は叫ぶ。
「良し!!では俺からだ!!45番ヴィネ!!」
青年が大きく口を開けて言う。
「61番ザガンですぅ~」
金髪の顔に刺青を施した女性も続く。
「55番のオロバスだ。馬鹿野郎」
天パの男も続く。
「17番のボティス」
前髪ぱっつんのきわどいスカートの女性も続く。
「70番のセーレでぇ~す♪」
「クッ・・・何で私が変態の言う通りにしないといけないね。不本意ね」
白いゴスロリ少女はブツブツ言っている。
「おい!!お前の番だぞ!!」
ヴィネが叫ぶ。
「解ってるね!!・・・ウィサゴ。3番ね」
「良し!皆居るな!!それでは今から作戦内容を詳しく説明するぞ!!」
ヴィネは腰に手を当てながら叫ぶ。
「何でお前が仕切るね!!普通私ね!!」
ウィサゴは叫ぶが、
「ウィサゴぉ~進まないぃ~」
ザガンが首を横に振りながら言う。
「うぅ・・・しょうがないね。今回は特別ね」
ウィサゴは「仕方無い」と呟きながら黙る。
「今回はマルコシアスや他にも多数の悪魔を葬った男、サヤと呼ばれるこの男を殺すのが目的だ!!!」
ヴィネは叫ぶ。
「そうれは解っている。問題は、私達は何処まで許されているのかだ。変態野郎」
オロバスがヴィネを睨みながら尋ねる。
それにはウィサゴが答える。
「大体の許可は取っているね。バアルのハゲも自由にやって良いって言っているしね。ただ、ベリアルは渋ってたけどね」
「ベリアルは堅いんだよねぇ~」
ザガンが上を見上げながら言う。
「だが、基本我々はベリアルの了承を得る必要は無い!!バアルのハゲに許可さえ取れればそれで良いのだ!!」
ヴィネが叫ぶ。
「オリアスの姉さんはどうした?普段は姉さんが許可だしてくれるだろう?」
ボディスが尋ねる。
「それがぇ~フラれちゃったらしいの♪愛しい愛しい彼に♪」
セーレがクスクスと笑いながら言う。
「腕を奪った男にか?露出野郎」
「そうそう♪でもまだ諦めてないみたいだけど、今は落ち込んでいるわ♪」
「オリアスさんは今有る意味緊急事態だ!!その為ハゲに了承を取った!!」
ヴィネが叫ぶ。
「でぇ~結局は自由にやって良い訳でしょぉ~?ならさっさと動こうよぉ~」
ザガンがごねる。
「そうだな!!もう話す事も無いしな!!」
ヴィネは頷きながら賛成する。
「それではね!!別行動だけれども、葬りに行きますかね?」
ウィサゴは首を回しながら言う。
その瞬間、6人の悪魔は姿を消す。
不穏に、動き出す。歯車はカタカタと、錆びた音を響かせ動き出す。
Side=第三者∥Out