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Side=第三者∥Beginning∥『Reload』
草原。草花を踏みながら、兵士が進む。
靡く旗は紺色に赤い星が書かれている。
『アスリトン王国』。
数は6万。鉛色の鎧はガシャガシャと音を鳴らし進む。
その中で、異様な者達が居た。
銀色の鎧。胸にバラが書かれている。
女性だけで構成されている『遊撃部隊ローズ』。
その中で一番目立っているのは水色の様な淡い青色の髪。碧眼。そして、何と言ってもその美しさだった。
戦場では見られる筈も無い女性。美しい女性。
だが、その眼はまさしく武人。
得物を狙う獣とも言える。
『勝利を約束する女神』。それが彼女の名。『遊撃部隊ローズ』の隊長。
『アスリトン王国』に所属してはいるが、『遊撃部隊ローズ』の正しい所属は『クロアットン国』だ。
『クロアットン国』は小国が故に、『アスリトン王国』に自身の部隊を送ったのだ。
名を売る為。信用を得る為。売られたと言っても良い。
その為、今の『遊撃部隊ローズ』は『アスリトン王国』の部隊と言っても過言ではない。
その為、彼女達も戦場に赴く。
他国の為に。
「今回は何処と戦うんだですか?」
『遊撃部隊ローズ』の隊員の一人が尋ねる。
「アスト!アンタまったく人の話聞いて無かったのか?『グラパス』の支配下にある『モーレス』の軍と戦うんだよ!」
短髪の女性が叫ぶ。
「そうなんですか。私寝ていたので聞き逃していました」
アストはケロっとした様子で言う。
「アンタ!・・・後で拷問椅子に二時間だ」
「えぇーそれは嫌です。私痛いの嫌いなんです」
アストは嫌がっているのだろうが、声に張りが無い。
すると、その様子を見ていたもう一人の隊員が茶々を入れる。
「キャサティアもうたた寝していたわよぉ。どっちもどっちよぉ」
短髪女性のキャサティアは顔を赤くして叫ぶ。
「なっ!!あれは・・・そうよ!!アンタ達みたいな阿呆な部下を持って大変で!!」
「あぁー。人のせいにしてますね?それは駄目ですね。私と一緒に拷問椅子に二時間です」
アストが淡々と言う。
「くっ・・・グラ!!アンタが余計な事言わなければ!!」
キャサティアは先程茶々を入れた女性に向かって叫ぶ。
「あれれぇ?人のせいぃ?駄目ねぇ」
グラはクスクスと笑う。
「皆・・・もう少し緊張感持ったら?」
先程まで黙っていた、『勝利を約束する女神』が苦笑しながら言う。
「キュキュシュ!!アンタからも言ってやりなさい!!」
キャサティアは『勝利を約束する女神』に叫ぶ。
「えっ・・えぇ~と・・・駄目よ?」
キュキュシュは困った顔をしながら言う。
「それじゃ駄目!!もっと強く言いなさい!!」
キャサティアは叫ぶが、当の本人は何を言ったら良いか解らないらしく。困った顔で首を傾げている。
その様子を見て、「期待してなかった」と言わんばりに溜息を吐くキャサティア。
キュキュシュは慌てて声を張り上げる。
「わ、私だって!!ちゃんとしているわよ?だからそんな「期待していない」みたいな顔で見ないでよ!!私―――」
キュキュシュの弁解は最後まで言い切れなかった。
ドゴォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!!!
爆発。
そして、
「ぐああああああああああああああああああああああああああ」
兵士達の叫び声。そして爆風が襲う。
咄嗟に『遊撃部隊ローズ』の隊員がキュキュシュの壁になるように爆風を防ぐ。
「なっ!!」
キュキュシュは唖然とした声をあげる。
キャサティアは舌打ちをする。
「チッ!・・・まさか奇襲をしてくるとはな。やばいぞ。今ので結構吹き飛ばされた」
それを聞いてキュキュシュは慌てて声を張り上げる。
「皆!!!大丈夫!?」
「私達の部隊で負傷者は居ません。けれども・・・ヤバイですかね」
アストは淡々と、だが、確実に慌てていた。額から汗が流れる。
そこで、キュキュシュも気付く。
前方からやって来る、大量の兵士達に。
Side=第三者∥Out
Side=サヤ∥Beginning∥『Reload』
「もしかして『グラパス』遠い?」
俺は両腕をぶらんとさせながら尋ねる。
「かかりますねぇ~早くても2週間でしょうか?」
カロが考えながら答える。
「まぁ~気長なに行けば良いだろうよぉ?」
フォーリは頭の後ろで腕を組みながら笑う。
「空飛べばもうちょっと早く行けるわよ?」
マドはリノと手を繋いでいる。
「私も飛びたい!前皆飛んだのに私飛べてない!!」
リノが頬を膨らませながら叫ぶ。
「飛びたいよねぇ~」
「ねぇ~」
マドとリノは満面の笑顔だ。
何がそんなに面白い、又は楽しいのか?
・・・怠い。もうこの一言だ。ニートになりたい。
でもニートって結構な蓄えが無いと無理でしょ?親に頼るって言っても親居ないし。
てか、もう十分に暴れてるから平穏なニート生活無理でしょ?
「ニートって何ですか?」
「・・・カロ、お前いい加減人の頭の中読まないで」
怖い。完全に読まれた。
「いえいえ。声に出てましたよ?」
「マジで?」
良かっ・・・、
「嘘だろ?」
「あっ、解りました?」
怖いよ。もう・・・プライバシーも何も無い。廃人にされちゃう。俺、きっと恥ずかしい事とか全部バレバレなんだ。もう何も考えずに無心でいこう。それしか方法は無い!!
すると、
ドゴォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!!!
「「「「「なっ!!!!!」」」」」
爆発!?何故に・・・いや、戦争か。
この音の大きさだと、少し離れた所でドンパチやっているのか?
「何処と何処が戦っているのかしらね?」
マドは音がなった方を見ながら呟く。
「さぁ~な。小国の小競り合いかもしれねぇぞ?」
フォーリは興味なさそうに言う。戦闘狂ではあるが、それは個人の戦いが好きなだけらしく、戦争と言うのは特別興味をそそられる訳ではないらしい。
それでも戦闘になればテンション上がるけどね。
俺もマドが見ている方を見る。
煙が立ち上がっている。結構デカイ爆発だったらしい。
「・・・ちょっくら行ってくる」
俺は目を瞑る。
「『答えよ―――主の声に―――姿と誇る速さを見せよ!!!』」
魔方陣が空中に現れ、それを突き破ってヨーロが現れる。
「行くって、マジか!?」
フォーリが叫ぶ。てか、顔が笑みなんだけど。
「お前は連れて行かないよ。俺一人で行く」
ヨーロに跨りながら言う。
「何でだよ!?お前だけ行くのはずるいぞ!!」
子供の様に叫ぶフォーリ。
俺はカロとアイコンタクトを取る。
『よろしく』
『解りました。気をつけて』
今更だが、便利だよね。
ブォンッ!ブォンッ!!ブォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!!
ヨーロは軽快にエンジンを吹かせながら発進する。
空中を滑走しながら・・・これも今更だけど原理ホントどうなっているの?
地面についてないと、少し怖いよね。
高所恐怖症とかではないけどさ、それでもやっぱり・・・ね?
てか、マドって『最後の魔女』って言う二つ名なんだろ?それならやっぱり箒とかに乗って空飛ぶのか?
カロは普通に飛行魔法とか言って空飛んでたけどさ。あれって何となく夢無いよね。
やっぱり魔女っ子は箒に跨って・・・・マド魔女っ子じゃないね。子じゃないもん。
・・・おっ?下らない事考えていたら見えてきたな。
何処と何処が戦っているんだ?
・・・あの紺色に赤い星が書かれた旗と・・・白に青い鳥か?そんな感じの旗だな。
見た感じ優勢なのは白に青い鳥の方だな。
紺色は何かぐだぐだだな。奇襲でも受けたか?
て、事は紺色に向けての攻撃だったんだな。あの爆発。
どっちかの味方をするのは気が引けるな。
なら、両方相手にする意気込みで・・・・突っ込むぞ!!!
「ヨーロ!!!ぶちかませ!!!!!!」
ブォンッ!!!!!!!!!
ヨーロはスピード上げ、戦地ど真ん中めがけて進む。
・・・あれ?前もこんな感じなかった?
Side=サヤ∥Out
Side=キュキュシュ∥Beginning∥『Reload』
いきなりの攻撃。
爆風と砂塵のせいで周りはよく見えないが、多分結構なダメージがある。
こんな状況で戦えるの?
こっちの兵が半分まで減らされたと言う事は無いだろうが、それでもこの混乱は駄目。
一気に攻められる。数がいても統率が取れていない数はあっけなく消える。
「皆!!気を引き締めて!!!」
兎に角、被害を最小限に抑えないと!!
「アスト!!見えるか!?」
キャサティアが叫ぶ。
「何とか見えます。・・・ヤバイですね。一気に攻められて前を歩いていた兵は殆ど壊滅です。此方に向かって来ますけど、どうします?」
アストは尋ねる。
「どうするも何も!戦うしかないでしょ?」
キャサティアは苛々しているのが解る。
アストはそんなキャサティアとは真逆で、淡々とした口調で言う。
「ですが、見た限り向こうの兵の数は5万。結構ヤバイですよ?」
それを聞いてキャサティアが唇を噛む。
「だが・・・大人しく首を刎ねられるつもりはない!!」
キャサティアが剣を抜く。
「そうね・・・そうよね!・・・皆!!剣を抜け!!私達はこんな所で死ぬ様な者達ではなない!!足が地に着いている限り足掻け!!!心の臓が脈を打っている限り、私達は戦士だ!!!誰にも負けない!!私達は戦える!!!!!」
私が叫ぶと、一斉に剣を抜く。
「行くぞォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!!」
叫び、走る。
こんな所で負けられない。
負けは・・・許されない!!!!
「オォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!」
叫び、斬る。
駆け、斬る。
睨み、斬る。
窮地など沢山あった。此所で終わる訳にはいかない!!!
戦う。
それこそが私達に唯一残された・・・存在意義!!!!
「ハアァァァァァァァァ!!!!!」
目の前の敵兵の首を突く。
血が噴き出し、私の顔に付着する。
すると、
「キュキュシュ!!!」
キャサティアが叫ぶ。
ドンッ!!!
「ぐあっ!!!」
右肩を銃弾が貫く。
油断した!
「うっ・・・」
駄目だ。利き腕が使えない。
これでは・・・死ぬ。
本能が警報を鳴らす。
駄目だ。このままでは、立ち止まっては駄目だ。
痛い・・・。
でも、奮い起こせ!!!
だが、
「ハァァァァァァァァァァ!!!!!!」
敵兵が私めがけて剣を振り下ろす。
死ぬ?
私は目を瞑り顔を背ける。
すると、
ドゴォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!!!
「きゃっ!!」
爆発。私は吹き飛ばされる。
敵の攻撃!?
だが、爆発が起きたのは敵兵のど真ん中。
では此方の兵が?
けれども此方は今回魔法兵器を投入していない。
では・・・誰が?
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッッッッ!!!!!!!!!!
何かが発射される音が轟く。
だが、砂塵で前が見えにくく、解らない。
一体何が?
「ぐああああああああああああああああああああああああああ」
砂塵を突き破って敵兵が飛んで来る。
「きゃっ!」
私はそれを必死に避ける。
すると、
「死ぬ覚悟は十分かこの野郎ォォォォォォォォ!!!!!!!!!」
男性の叫び声。
その叫び声の後に、
ブォンッ!!ブォンッ!!!!
聞いた事も無い音が響く。
そして、
砂塵を突き破って二輪の乗り物が現れる。
その上に跨って、綺麗な顔立ちの人が見た事の無い銃らしき物を撃っている。
まるでスローモーションの様にその乗り物は私の上を通過して行く。
私はその乗り物・・・いや、それに乗っていた人に見蕩れていた。
凄く綺麗で・・・凄く恐ろしい程に・・・。
すると、乗っていた人と目が合う。
硬直。
向こうは何故か驚いた顔をしていた。
乗っていた人は直ぐに目線を外し、叫ぶ。
「ヨーロ!!!適当にあしらえ!!!」
声からして乗っていたのは男性だ。
すると、二輪の乗り物から飛び降り、私の目の前に着地する。
二輪の乗り物はそのまま進み続けて砂塵に飲まれた。
「・・・アンタ兵士かい?」
・・・凄く綺麗な人・・・。
近くで見ても凄く綺麗。これで男性なんだ。少し勿体ない。
でも、そこが・・・・・。
「おい!?聞いてる?大丈夫か!?」
「ひゃ、ひゃい!!」
・・・噛んじゃった。恥ずかしい。
「大丈夫みたいだな。んでだ、質問をもう一度。アンタは兵士か?」
男性は私を見据えて尋ねる。
その質問を聞いて、私はハッとする。
この男性が敵では無いと言う証拠はあるか?『モーレス』の兵士じゃなくとも、敵じゃないと言う確証は得られない。
私は気を引き締め、答える。
「はい」
「そうか。大変だなぁ~」
「・・・へっ?」
何か軽い?
「右肩の傷痛むか?」
男性はしゃがみ、私に尋ねる。
か、顔が近い!!!
「だ、だ、大丈夫ですぅ!!!!」
あぁ~絶対私顔赤い!!!恥ずかしい!!!!
「それなら良いが、顔赤いぞ?もしかして風邪でも引いてんじゃねぇーのか?無理して出兵とか大変だな?」
・・・鈍感?
いや、会ったばかりなのだから仕方無い。これは普通の対応。
「大丈夫です!!!」
でもやっぱり顔近い!!!
「離れろ。男」
いつの間にかキャサティアが男性のこめかみに銃口を当てている。
「キャサティア!!」
私が名を呼んでも、キャサティアは返事をしない。
いや、出来ないのだ。
キャサティアの額から大量の汗が流れる。
「・・・銃か。此方の銃は初めて見るな。・・・で、俺に銃口を向けてどうする?」
男性の声に殺気が篭められている。
先程までの雰囲気と全然違う。
私は再度気を引き締める。
「下手に動けばぶち抜く。脳みそばらまいてエンドだよ」
キャサティアは笑みを浮かべてはいるが、その笑みは余裕の笑みではない。
「そうか。・・・・死ぬ覚悟は十分か?」
「「なっ!?」」
私とキャサティアは男性が放った殺気に畏縮する。
桁が違う。
こんな・・・・こんな殺気を放つ人間がいるの?
「・・・危害は加えない。女性を殺る趣味趣向は持ち合わせてねぇーんだわ。まぁ、敵とかだったら遠慮無く殺るけどさ。アンタ等敵じゃないし」
男性は静かに立ち上げる。
キャサティアは引き金を引く事を出来ずにいた。だが、睨み尋ねる。
「では、何故お前は此所に居る?戦場に敵がいない者が何故此所に?」
その問いに、男性は静かに笑みを浮かべる。
「・・・自己紹介の時間だ」
そう言った瞬間、先程砂塵に消えた二輪の乗り物がもの凄い速さで来て、男性はそれに一瞬で飛び乗る。
「「なっ!?」」
私とキャサティアはそれをただたあ眺めるだけだった。
気付けば、いつの間にか砂塵は消えていた。
辺りを見渡して唖然とした。
・・・殆どの兵が倒されている。
これは・・一体?
「良いか!?テメェー等全員よ~く聞け!!!!!」
空から叫び声が響く。
私が其方を見ると、先程の男性が二輪の乗り物に跨りながら叫んでいる。
・・・宙に浮いている。飛行魔法?
「俺は『無道』のサヤだ!!テメェー等の戦争に身勝手ながら参戦させてもらった!!」
『無道』・・・サヤ・・・それが彼の組織の名。それが彼の名。
「んでもって、身勝手ながらもう帰らせてもらう!!じゃぁ~ねぇ~」
「「はっ?」」
私とキャサティアが目を丸くして驚く。
すると、彼は本当に戦場から遠ざかって行く。
私はそれをただただ唖然と見つめていた。
「アイツは一体?」
キャサティアが呟く。
解らない。けれども、彼の名は後々直ぐにでももう一度聞くような、そんな気がする。
・・・サヤ。
私は静かに胸を押さえた。
Side=キュキュシュ∥Out




