結成-4
「結構、血痕があるな」
屋上の床には、点々と大小色んな血痕が残されていた。
「飛び降りたわりには気になるな・・・・・・・・」
その発言を聞いた燐は長四郎を連れてきて良かったと思う。
「それでね。眉間に穴が空いていたって話なんだけど」
「おう」
「銃で撃たれたんじゃないかな」
「銃。銃ね」長四郎は目で血痕を一つずつ確認していく。
「ねぇ、サイレンサー付きの銃で殺したんじゃないかな」
「お前様の妄想は面白いな。探偵にでもなったら?」
そう言うと同時に燐の蹴りがお尻にお見舞いされる。
「ガッデム!!!」
長四郎は地面に倒れた。
痛む尻を抑えながら、学校に残って捜査を続けるという燐と別れて長四郎は学校を後にした。
「長さん」
少し歩いたところで、声をかけられた。
昔、その名で呼ばれていたことを思い出し振り返ると、懐かしい顔の人物が立っていた。
「一川さん!」
「お久しぶりやね。元気しとった?」
そう話し掛けるのは高校生探偵時代、共に事件を解決した一川巡査部長であった。
「ええ、まぁ。でも、どうしたんですか?」
「それは、こっちの台詞ばい。何しとったと?」
「ちょっと、まぁ」
長四郎は愛想笑いを浮かべる。
「芸春高校の事件を調べとるやなかと?」
「え? まぁ」とごもごもする長四郎に一川は名刺を差し出す。
長四郎は名刺を受け取ると、書かれている内容を見る。
警視庁捜査一課 命捜班 班長 という肩書と共に階級が警部になっていた。
「警部ですか。昇進したんですね」
「そうなの。あたし、新設部署の班長を任されたと。初めての事件で長さんと再会できたのも何か縁があるみたいやね」
「はぁ」
一川警部の言うことに要領を得ず、長四郎は戸惑う。
「折角の再会やけん。飲みに行くばい」
時計を見ると、13時と微妙な時間を示していた。
「これからですか?」
「これから」
「まぁ良いですけど」
一川警部に連れられ、新橋にある昼飲みができる居酒屋へと来た長四郎。
「生ビール」
「あたしも」
「生ビール二つですね。お待ちください」
店員は注文を通しに行った。
「それで、なんであの事件を追う事になったと?」
「守秘義務ってことで。一応、探偵なんで」
「知っとうよ。あの一緒に居った女子高生が依頼人やろ?」
「見てたんですか?」
「まぁ」
「生ビール二つでぇ~す」
店員がジョッキをテーブルに置く。
「じゃあ、乾杯」
「乾杯」
男二人、再会を祝して盃を交わす。
「あの事件、所轄では事故で処理しようとしとるったい」
「眉間に穴が開いてるのに?」
「そこまで知っとうなら、話が早い。どうやら、拳銃でバァン! とやられて落ちたみたい」
「それが一川さんの見解ですか?」
「というか、誰が見てもそう思う」
「ですよね」
「明後日、時間ある?」
「ありますけど」
「あの女子高生の依頼を受けるついでに手伝ってよ。お願い」
光り輝く頭を下げる一川警部。
昔は少し髪の毛が残っていたが10年の月日が毛根を死滅させたのかと長四郎は思う。
「分かりました。一川さん、協力させていただきます」
「ありがとう! よろしく!!」
長四郎のジョッキを再度、鳴らす一川警部であった。




