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政の継承~戦国リーダーズ~  作者: 葵 悠政
第五章『それぞれの歩み』

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第六十八幕 『勝利のその先』

第六十八幕『勝利のその先』


「なんで我々に何も言わずに勝手なことを‼」

勝家の怒鳴り声が本部に響き渡る。


「何を考えているんだ!」 恒興が身を乗り出す。

彼の口調は普段より鋭い。


「そんな危ない橋を渡るなんて、正気の沙汰じゃないわ!」

帰蝶が睨むように視線を向ける。


「もし失敗していたらどうするつもりだった!」

長秀の言葉は冷静だが、その奥にある怒りは隠しきれない。


「なぜ一言の相談もなく、独断で決めたんだ!」

林秀貞は深いため息をつきながら問い詰める。


座る信長は、珍しく肩をすくめ、視線をそらす。

「……こうして無事終わったんだからいいじゃんか。」


しかし、場の空気がさらに熱を帯びる。


「何が『いいじゃんか』だ!」 勝家の語気が強まる。


「お前の無茶に振り回されてるのが分からないのか!」 恒興が拳を握る。


「次はどうするつもりなのか、ぜひ聞かせてもらおう!」 長秀が冷たく笑う。


静かに様子を見ていた佐久間は、すでに善照寺事務所で事の顛末を確認していたため、特に口を挟もうとはしない。


だが、横で腕を組んでいた男がふと肩をすくめる。

「いやぁ、さすがに軽率すぎるんじゃないか?」


「お前が言うな!」 恒興が即座に指をさす。


「そうよ、現場にいたじゃない!」 帰蝶の目が細まる。


「むしろ、巻き込んだ側だろうが!」 長秀が皮肉げに笑う。


利家はバツの悪そうな顔をして、「あ、いや…まぁ、そうなんだけどさ…」と引っ込む。


信長はその様子を見て、困ったように笑いながらつぶやいた。

「ほら、こうやって無事に騒げるんだから、結果オーライだろ?」


「開き直るなァ‼」

新政党の面々が、声を揃えて一斉に突っ込んだ。


佐久間信盛は湯呑を口に運びながら、心の中でぽつりと思った。

(……俺の時、こんなに揃ったことないんだけど。)


口撃の嵐はまだまだ続く。

勝家の怒鳴り声も、恒興の皮肉も、森の煽りも—— それぞれの色を持ちながら、見事に揃った一撃だった。


場は騒がしく、だがどこか心地よかった。 この空気が、新政党だった。


その熱気の中で、扉が静かに開く。

入室したのは、尾張警察の毛利新介、服部小平太、そして新政党党員の梁田政綱。 その後ろには、信長の密命を受けて動いていた男——藤吉郎(木下秀吉)の姿もあった。


場の空気が一瞬変わる。

彼らの姿を見た新政党の面々は、口撃を止め、自然と視線を向ける。

毛利新介の腕には、がっちりとギブスが巻かれていた。 その痛々しい姿に、すぐさま見舞いの言葉が飛ぶ。


「……大丈夫か?」

恒興が眉をひそめながら問いかける。


「骨折とは……無茶をしたな。」

長秀が腕を組みながら、少し苦笑する。


「だが、お前の奮闘がなければ、義元を捕らえることはできなかった。」

勝家が静かに言葉を添えると、毛利は軽く肩をすくめた。


「まぁ……やるべきことをやっただけですよ。」

その言葉に、場の空気が少し和らぐ。


一方で、藤吉郎は裏で情報操作を行い、今川方の慢心を誘導する役割を担っていた。

信長の密命を受け、義元の警戒を緩めるために動いていたのだ。 彼の働きがなければ、義元の防衛線はもっと強固なものになっていたかもしれない。


そして、最もその活躍を評価されたのは梁田政綱だった。

「義元の居場所を特定した情報を掴んだのは、お前だな。」 信長が静かに梁田を見据える。


「……ええ。確証を得るまで時間はかかりましたが、結果として役立てたなら何よりです。」

梁田は淡々と答えるが、その言葉には確かな自信が宿っていた。


「お前の働きがなければ、義元逮捕は実現しなかった。」

信長の言葉に、梁田は深く頭を下げる。


こうして、功労者たちへの感謝と労いの言葉が交わされる場となった。

怒りと称賛が交錯する中、新政党は次なる局面へと向かっていく——。


勝利の熱が冷めきらぬまま、笑いと叱責が入り混じる新政党の空気が広がりました。

だが、その喧騒の奥では、義元を追い詰めた者たちの静かな働きが確かに息づいています。

ここから先、尾張と三河の景色はさらに大きく変わっていきます。

次の幕で、その変化の兆しを静かに追っていただけたら嬉しいです。

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