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進む道と見合い話

 私は魔法の勉強に力を入れると断言して、それなりに授業で大量の課題を出されつつも頑張っていた。

 どうも元もとのエマは知らないが、私は勉強が全般的に苦手なのだ。


 もちろん、普通の勉強で、その中には家庭科的なものもある。淑女のたしなみらしいのだが。

 針を持たせたらうねうねうねるし、刺繍をさせたら前衛的。

 そんな私に根気強く指導してくれたのは誰あろうベシー嬢だった。

 そのおかげで何とか赤点を脱出したという経緯がある。


 あのとき、なんて優しくてうまい教えかたなんだろう、こんなかわいい先生が教えてくれたら前世の私の家庭科の成績はもっとよかったはず、と思って。たぶん、素直に感動を伝えた。それだけなのだが。


「エマ様に褒めていただいて。私、学園祭でもやってきた子供たちが刺繍に感動してくれて、子供たちに教えたいって思いはじめたんです」

「すてき」

「本当に、ベシー様ならいい先生になられますわ」

 ロザリンもアンもベシーの変化に驚きつつも喜んでいる。

 もちろん、私もうれしいが。


「ベシー様、バーナード様は大丈夫ですか?」

 この場に3人のお相手は来ていないがつい小声になる。

 きょとん顔のベシーだが、アンもロザリンも何だか妙に納得顔なのはなぜ?


「大丈夫ですわよ、ねえ。最近は男性たるもの理解が深くないと」

 ロザリンの言葉にアンもうんうんとうなづいている。

 まじかあ。これはお相手に強く言っているのかも。


 ベシーは笑顔になると、

「エマ様、大丈夫ですわ。バーナードとは婚約中ですから」

 キラキラした笑顔は、恋する女性の強さを感じて。

 うーん、まぶしい。

 恋を知らない私でもわかるわ。あの笑顔でバーナードもやられちゃってるんだろうなあ。


 学園を卒業すると、仕事に就くか、自分で仕事を始めるってパターンもある。成績がいい学生は魔法部門や法律関係の部門、財務の部門等々、国のための機関に就職ってことが多いらしい。

 だが、女性は依然、結婚することが多い。今はこの世界でも女性が仕事に就くことが少しずつ増えてきているようだけど、それでも結婚することのほうがまだまだ多いようだ。

 つまり、就職する男性陣、結婚を控えた女性陣が多くを占める。


 就職と言ってもほとんどが既に決まっていることがほとんど。結婚も早くからの婚約関係ってことも多々あるのだが。相手がまだいないものも多い。

 てことは、恋のラストスパート。

 学園内は恋愛漫画さながらの様相を呈するわけで。


「カシュー様、これ」

「え? 自分に?」

「フランシア嬢、受け取っていただけますか」

「まあ」

 と、あちこちで囁かれる恋の応酬。


「はあ、すごいわねえ」

 嫌われまくりの私にはまったく縁のない話で、学園内に乱れ飛ぶハートを見ている日々。

 中庭で追試のテスト勉強中の私は、飛んでいるハートを手でぶんぶんと払っていた


「エマ様、お勉強は進んでます?」

 見ると、後ろのベンチにベシーとロザリンが座った。

「あはは、まあ何とか」

 ふたりとも、さすが生徒会役員だけあって、成績は良くてもうテストも無事終わり、今は次期生徒会メンバーの選出に忙しそうだ。


「何かお手伝いできることがあったら言ってくださいね」

「ありがとうございます」

 情けないかな、私もそうだが、私になる前のエマも勉強は苦手だったらしい。せっかく転生したのに、なかなかうまくいかないものだ。


「エマ様、卒業されたらお仕事されますの?」

「え? あー、そうですねえ」

「噂を聞いたんですけど、もしかしてご結婚が決まってるとか」

「は?」

 聞いてくるベシーの横でロザリンが目を丸くする。

「嘘でしょう!?」


 ロザリンの目が丸から三角になるし、やってきたアンが「本当ですか!?」と声を荒げる。

「エマ様、どうなんです?」

 3人が後ろから雪崩のように顔と身体を突き出してくる。

「あ、いえ、決まってはいませんよ」

 両手で遮りつつも3人は目を血走らせいて怖いんですけど。


「本当ですか?」

「はあ、何でかお見合いはやらされてますけど、これが全然」

 頭に手をやりにへらとする私に、3人が、

「見合い!?」

 と目を剥いた。


「どういうことですの?」

「お相手は?」

「どこの誰ですの」

 完全に詰問口調で、母様より怖い。


「どこのって、確か、何て名前だったかしら。あ、でもひとつもまとまってませんから」

 へへへと苦笑していると、

「エマ様、ここにいらしたんですのね。お見合いのお話聞きましてよ」

 いきなりカテリーナが現れた。


「カテリーナ様まで」

「レイバン・ゴーラム様、ザカライア・ヒッキー様、シャイ・ボエット様、ですわよね」

「ああ、確かそんな名前だったような……」

 さすがカロリーナには筒抜けのようだ。


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