表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRの紺碧の海、紅のガレオン~女艦長スカーレットの冒険記~(改訂版)  作者: s_stein & sutasan


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

80/97

遠洋航海の大冒険――その2

 マディラに入港し、物々交換用のワインを購入しているときにふと考えた。私は本拠地がポルトガルだから、近くのリスボンから出港して、南アメリカ大陸の南端を回って太平洋を横断し、香料諸島のどこかの港に寄港してから慣れた海路を通ってリスボンへ帰る。そうすれば世界一周を達成できるが、自動的に太平洋横断もクリアしたことになるのではないか? この一石二鳥のアイデアを思いついた私は、いったんセーブして、画面から地図を表示させて作戦を考える。


 ゲームの画面に表示される地図には、教科書に出て来るメルカトル図法の世界地図もある。これを見ながらどの航路を通るか考えるのだが、方向を決めて直線に進んでもそれが最短距離とは限らないと教わった気がする。なるべく最短距離にしないと水や食糧が減ってしまうが、そうは言っても、何を頼りにどうやって進めばいいのか見当も付かない。


「こまめに地図を見ながら、現在位置を確認しつつ、軌道修正していくしかないわね」


 きっと、風や海流に流されて、意のままに船を操れないだろう。はたから見るとジグザグというか蛇行というか、まともに進んでいないように見えるかも知れないが、とにかく前へ進むしか茫漠たる大海原を横断する方法はないのだ。


 相当時間がかかりそうなので、リスボンへ入港したところでセーブしてゲームから抜けた。



 翌日の夜、ゲームにインして、早速リスボンから西回りで世界一周のチャレンジを開始した。まずは、アフリカのヴェルデで補給をしてリオデジャネイロまで進み、そこで補給後ブエノスアイレスに到着。また補給をして南下し、南極発見で世話になった村を目指す。


 前と同じく長老と付き人が甲板に現れたので、ワインを渡そうとすると、なんと断られてしまった。


「もっと珍しい物が欲しい。持ってはおらぬのか?」


「あいにく、このお酒しか持ってきていない」


「同じ物じゃダメだ」


 そう言って長老たちは帰ってしまった。さあ、困った。どうやら、行きと帰りの2回は同じ物でも物々交換してもらえるが、3回目になると違う物を要求するらしい。こうなったら、他に村はないのかを調べるため南下を続けたが、大陸の南端に到達したものの村はなかった。この時点で水と食糧が尽きてゲームオーバー。


 まさかのオチだった。同じ村で同じ品物との物々交換は、何度も通用しないようだ。そこで、セーブしたデータをロードした後、リスボンからベネチアへ行ってガラス細工を購入した。これならきっと喜んでくれるだろう。リスボンへ戻ってもう一度セーブし、再び例の村へ向かう。すると、予想は的中。長老にガラス細工を一つ渡すと、


「おお、透き通る不思議な器じゃ!」


 大層喜んでくれて、水と食糧が満タンになった。


 さて、次はどこへ向かおうか。地図を見ると、このまま南アメリカの南端を回って西北西へ迎えばニュージーランドに到達しそうだ。でも、距離的に考えて補給なしで行くのは不可能に思われた。となれば、太平洋岸を北上して村を探すしかない。


 しかし、どこまで行っても村は見つからず、水と食糧が減っていくので気ばかり焦る。右に見える陸地の緑を見ていると、無理矢理接岸して森の中へ足を踏み入れ、食糧探しでも始めたら木の実とか鳥獣とか採れるのではないかと思えてきた。しかし、このゲームは、途中の海岸で船を下りて陸地を探検することは出来ない。


 いよいよゲームオーバーかと思えた頃、見張りのアントニオが待望の村を見つけてくれた。画面の地図で見ると、位置的にはブエノスアイレスの真西くらいだった。後日、世界地図の本で調べたら、今のバルパライソであることがわかった。


 ここで、ワイン1本と物々交換で水と食糧を補給し、セーブする。さて、いよいよ西に向けて出発だ。途中、大小の島が点在するのでそこに立ち寄りながら、村があれば補給する。それを繰り返していけば、パプアニューギニア辺りに到達するはずだ。そこからさらに西へ行けば、散々交易で通った港町にたどり着くだろう。これで、太平洋横断はクリア……かな?


 ところが、いざ西進すると、風と海流で方向が定まらない。島が見えたかと思うと、村がなくて補給が出来ず。水も食糧も尽きて4回もゲームオーバーになった時は、今日は運が向いていないと諦めてゲームを抜けた。


 バーチャルの世界からリアルの世界へ戻った私だが、まだ紺碧の海を(さま)()う感覚が残っていて、天井の一点を見つめてため息を吐く。


「明日こそは頑張ろう」


 ヘッドギアを外すと、睡魔に襲われていつの間にか眠りこけてしまった



 翌日の夜、世界地図の本をまた広げて太平洋の島々を調べたが、バルパライソから西北西へ行くと、イースター島のハンガロア、ピトケアン諸島のアダムスタウン、タヒチ島のパペーテ、サモア諸島のアピア、少し南西に行くとフィジー諸島のスバなどがある。そこから北西に進めばソロモン諸島があり、西にはデデーンと大きなパプアニューギニアがある。さらに西に行けばアンボンが見えてくるので、そこから先はマカッサル、バタビアと通ればいつものルートに乗れて、リスボンまで迷うことなく行ける。


「このルートを通ればいいはずだけど……」


 地図上の島の位置をよく覚えて、ゲームを開始する。ゲームオーバーになったら少し軌道を修正してを繰り返すと、大きめの島が見えてきた。これがイースター島だった。ここにはちゃんと村があって、ワイン1本で物資を補充できたが、小さい村だったせいか、満タンにはならなかった。


 それでもいい。まずは補給できれば。


 ここでセーブしてから、さらに西北西を目指す。なかなか島が見つからないが、諦めない。どんどん減っていく水と食糧の数値を何度も確認してヒヤヒヤしていると、チャットをつないできた仲間がいた。まりりんだったが、今それどころではないので、『もうちょっと待って』と短めに返信する。


 風に振り回されながらも進み続け、いよいよダメかと思ったとき、大きめの島が見えてきた。ピトケアン諸島だ。ここの村でもワイン1本の物々交換で補給したが、イースター島と同じく満タンにならなかった。セーブしてから、まりりんとチャットをつないでホッと一息をつく。『頑張ってください』という彼女の応援が心強かった。


 次はタヒチ島を目指す。またもや風に振り回されてうまく進めないでいると、水と食糧が減って心細くなる。いよいよ、底を尽きかけたとき、雨が激しく降ってきた。すると、水が勝手に補充される。そう。このゲームでは、航行中に雨に見舞われる際に、水の量が極端に減っているときに限り、自動で水が補充される仕掛けになっている。


 そのおかげで、食糧はゼロになったが水だけが残っている状態になった。その水も減ってきてゲームオーバーを覚悟したとき、大きめの島が見えてきた。タヒチ島だった。


 この村でもワインとの物々交換で水と食糧を半分補充。たった半分でも狂喜したくなる気分だ。なお、ワインを2本渡したら2倍になるかと思って試したが、思ったほど効果がなかったことを言い添えておく。


 そして、次はサモア諸島を目指す。まっすぐに船が進まないので地図と首っ引きに軌道をこまめに修正しながら進み、また雨で水を補充して、食糧枯渇後は水のみで頑張る。そして、サモア諸島が見えたときは、思わず万歳をしてしまった。


 いつも通り、サモア諸島の村で物々交換による補給後、セーブしてからフィジー諸島へ向かい、ここの村でも補給してセーブ後にソロモン諸島へ進路を取る。


 毎度のことながらギリギリの状態でソロモン諸島の村に到着。ついにワインが品切れになったのでガラス細工で物々交換。こうして思うと、ガラス細工を用意しておいて本当によかったと思う。


 そして、念願のパプアニューギニアに到着。ここの村は大きかったので、水も食糧も満タンに出来た。これで一安心。ガラス細工のおかげかしら?


 ただ、太平洋横断をクリアしたことになっていないらしく、レベルはアップしていなかった。


「せっかくだから日本へ寄港しよう。ユキムラさんに会えるかも知れないし」


 その後、パプアニューギニアの海岸線に沿って西へ進み、アンボンに到着。そこからは慣れた航路なので安心だ。各地の港町で補給後、大阪に入港。ここでレベルが94から95にアップした。


 念のため、大阪の広場でユキムラさんがいないか見て回った後、リスボンへ駆け足で戻る。港町ではもう交易品は購入せず、水と食糧の補給のみ。


 そして、ようやく紅のガレオン船がリスボンに到着。


 レベルは95から96にアップ! これでバルバロッサと同じレベルになった!


「やったー!!」


 ここでセーブした私は、満ち足りた気持ちでゲームを終了した。



   ◆◆◆

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ