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VRの紺碧の海、紅のガレオン~女艦長スカーレットの冒険記~(改訂版)  作者: s_stein & sutasan


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レベル90越えの道

 バルバロッサから一通り教わったレベル81から90までアップするイベントは、交易でも海戦でもない、探検だった。それは、以下の通り。ただし、順不同である。


 1.バチカンを発見すること。

 2.アクロポリスの神殿を発見すること。

 3.カッパドキアを発見すること。

 4.エジプトのピラミッドを発見すること。

 5.ストーンヘンジを発見すること。

 6.アステカの神殿を発見すること。

 7.タージマハルを発見すること。

 8.アンコールワットを発見すること。

 9.シュエダゴン・パゴダを発見すること。

 10.万里の長城を発見すること。


 まず、探検をするにはレベル80になると新たに追加される「探検」のメニューを、遺跡の近くにある港町の噴水の所へ行ってクリックする。すると、自分にしか見えない扉が空中に現れて、そこを開けて中へ入る。それをやると、周りにいるプレーヤーには、人が空中に吸い込まれて消えたように見えるらしいが。


 扉の向こうには、賢者の姿をした小人がいる。この小人が、歴史の問題を5問出す。これに全て答えると、奥に扉が現れて、そこをくぐると目的の遺跡が発見出来る。VRゲームならではのリアルな描写なので、目の前に現れたときは感動するとはバルバロッサの話。ちなみに、建物の途中までなら入って見物出来るらしい。さすがに万里の長城を端から端まで歩けるなんて演出を用意しても、誰も挑戦する人はいないと思うから、途中までで十分だと思う。


 ここまででレベル90になるが、90になって初めて日本を開国できるようになるとのこと。ただし、そのやり方まではバルバロッサは教えてくれなかった。


「つまり、カルト問題を30問解く必要があるのね。いちいちゲームから抜けてネットで調べるよりは、カエサルさんに聞いた方がいいかしら……。あ、それじゃ、カエサルさんの楽しみがなくなるわね」


 結局、自分で頑張るしかないようです。



 次に、レベル91から96までアップするイベントは、以下の通り。これも順不同。


 1.日本を開国させること。

 2.太平洋を横断すること。

 3.北極海を一周すること。

 4.南極へ行くこと。これは、どこかにたどり着ければ良い。

 5.オーストラリアとニュージーランドを発見すること。

 6.本拠地からスタートして世界一周を1回行うこと。


 これでレベル96だが、バルバロッサは、ここから先がどうしても進まないのだと言う。


『おそらく、聖剣を手にすればアップできるはず』


 彼がそう書き込んだ時、心臓の鼓動が高まった。私は聖剣の地図を持っているからだ。


 でも、そのことは言わなかった。彼を信用していないのではない。人に地図を見せても自分以外は見えないし、一緒について来てもらっても自分しか所有できないからだ。それなのに、自慢げに地図のことを言うのは私には出来ない。


「聖剣がレベルアップのイベントになるとして、99になるには、あと2つ」


 考えようかとも思ったけど、私の地理や歴史の知識では、さっぱり見当が付かない。まずは、レベル96を目指した方が良さそうだ。


 それにしても、どれだけ時間がかかることやら……。



 リスボンで改造済みの最後の1隻をドックから取り出して編成し、これで目標達成。近間にいるからバチカンかストーンヘンジを探そうかと思ったが、私の関心はそちらではなく長崎の方へ向いた。


 あの長崎で哨戒中の相手の名前が知りたいのだ。


 私は一路杭州へ戻り、セーブしてから長崎に向けて出港した。もちろん、クイックモードでサッと近づいてサッと逃げるつもりでいたが。


 長崎が近づくにつれて心臓がドクンドクンと音を立てる。刑事が悪者に接近する時もこうなるのかしら。画面が長崎の港で哨戒中の船を表示したとき、恐る恐る詳細情報を確認する。


 名前はヨシツネ。本拠地はオランダ。レベル99。戦列艦7隻。


 おそらく、水と食糧の補充用に1隻寄港しているはずだが、それも戦列艦だろう。オール戦列艦のプレーヤーはラファエルさん以来だ。見とれてしまってボーッとしていたら、突如としてその戦列艦が私の方へ近づいてきた。


「ヤバいヤバい!」


 私は方向転換の指示をしたが、あっという間に追いつかれて戦闘状態になった。あれよあれよと味方のガレオン船が沈んでいく。頭が真っ白になり、呆然と戦況を見ているだけで、為す術もなく8隻の艦隊が壊滅。私は海面に落下して、丸太にしがみつき海を漂う。


「これにどうやって勝てばいいのよ!!」


 GAME OVERの文字が溶けて流れる映像を見ながら、私は歯がみする。


「こうなったら、少なくともレベル96、出来ればその上の97を目指して再戦よ! ヨシツネ! 見てらっしゃい!」


 私は右手の拳を振り上げて、決意を新たにした。

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