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VRの紺碧の海、紅のガレオン~女艦長スカーレットの冒険記~(改訂版)  作者: s_stein & sutasan


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哨戒をかいくぐる裏技があった

 スティーブさんは画面上ではマカオに停泊しているようだが、チャットに出ないのでモードが違うようだ。まゆりんさんたちへの報告を急いだので船の修理もセーブもしていないことに気づいた私は、クイックモードに移行し、造船所で修理を依頼した後で再トライするとスティーブさんにつながった。


『こんにちは、スティーブさん! 長崎にレベル99のプレーヤーが哨戒中って噂、聞いていますか!?』


『こんにちは! スカーレットさん! いきなり何かと思えば!』


『ごめんなさい!』


『聞いてません! ずっとクイックモードでレベル上げしてましたから!』


 攻略サイトを執筆している彼ならそういう情報も早いと思ったが、知らないというのは意外だった。


『ここのゲームで最高のレベルは誰か、知ってますか!?』


『アルジェが本拠地のバルバロッサがレベル96というのは知ってます!』


 ということは、長崎にいるレベル99のプレーヤーは突然現れたことにならないだろうか?


『それだけのレベルになると、プレーヤーの間で知れ渡りますよね!? それなのに、スティーブさんですらレベル96より上のプレーヤーを知らないって、突然現れたのではないでしょうか!?』


 スティーブさんが少し沈黙した。なんて返事が来るだろうと待っていると、修理が完了した旨のメッセージがポップアップで表示されたので、それを消してセーブすると彼が書き込んできた。


『なるほど! 言いたいことはわかりました!』


『わかってもらえますよね!?』


『チートツールのことですよね!?』


『そうです!』


 それから、私は運営側に調べてもらうことをスティーブさんに提案したが、噂レベルでは相手にされないとの返事だった。さらに、迷惑行為を働いていないのならば、運営側は動かないのだそうだ。


 ならば、レベルMAXのプレーヤーがずっと長崎で哨戒して他のプレーヤーが近づけないのは迷惑行為ではないのかと主張したが、そうとも言い切れないと彼は言う。


『でも、港にいるレベルの低いプレーヤーは出港出来ませんよ! 閉じ込められるのですよ!』


『出来ますよ、出港も入港も!』


 何ですとー!!


『マジですか!?』


『攻略サイト、読みましたか!?』


 うっ、痛いところ突かれた。


 出来るんだったら、今までの私の血が滲むような努力は何だったのか……。まあ、レベルが上がったからいいけど。


『読まないでごめんなさい! どうやるか、教えてもらえますか!?』


『誰かが(おとり)になって哨戒中の相手に船を近づけます! すると、相手はその船しか攻撃しません!』


『戦っている隙に横を通るのですか!?』


『そうです! 相手が哨戒中の状態でログアウトしていてもしていなくても、同じです!』


『なるほど!』


『ただし、相手がログインしていて、戦闘開始と同時に哨戒モードを解除したら、自由に船を操作できるので、他の船も攻撃されます!』


 それを先に聞いておけばよかった……。私が戦っている隙に、まりりんさんたちを逃がすことが出来たのだ。


『なら、レベル99のプレーヤーが長崎をずっと哨戒していても、誰かが戦っている最中に港へ出入りできるのですか!?』


『そうです! だから、迷惑行為ではないのです!』


 でも、何だかモヤモヤする。チートツールが実在したとして、何の苦労もなくレベルMAXに達したということ自体が不正行為ではないか? それはあってはならないし、許せない。運営側は、噂レベルでは相手にしないらしいが、どうしても訴えたい気持ちに駆られる。



 その後、ポルトガルとオランダ船との敵対関係は解消し、失ったガレオン船の補充のために杭州とリスボンを行き来する作業を繰り返した。もう海賊は出てこないし、敵対国もないので、レベル上げは日本の開国しかなさそうだ。


 疲れたのでゲームから抜けた私は、お問い合わせのフォームを使って、チートツールの噂について調査をお願いする旨を訴えた。


 翌日の夜、運営側から回答があった。


『噂ではなく、迷惑行為を実際に見かけましたら、相手のプレーヤー名とその迷惑行為を具体的にお知らせください』


 まあ、予想通りの回答だった。チートツールのチの字もない。


 こうなると、相手と一騎打ちをして直接聞き出すしかないようだ。でも、正直に答えるだろうか? 不正行為と認識している相手なら、当然答えないだろう。


 レベル80の自分ではレベル99の相手と一騎打ちしても勝てるとは思えない。となれば、レベル96のバルバロッサを仲間に引き入れて、彼に一騎打ちをお願いして聞きだしてもらうおうか?


 彼は仲間募集をしていないので、直接会うしかない。


 私は、リスボンへ行ったついでに、アルジェを本拠地としているバルバロッサに会うため、まずは地中海を回って彼を捜してみることにした。

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