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VRの紺碧の海、紅のガレオン~女艦長スカーレットの冒険記~(改訂版)  作者: s_stein & sutasan


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やっと開かれた東アジア航路

 海上でセーブの後、目的の海賊を探しにクイックモードで今いるボルネオ島の西からさらに北を目指す。すると、数秒後に海賊が南下してきた。ジーベック5隻の船団を率いるレベル60のヘンドリクセンだった。


「あれ? レベル68の海賊じゃないわね」


 そのレベル68と戦うことを目標に今までレベルアップを続けてきたのに、まだ他の海賊がいたのかしらと思っていると、その後ろからもう一つの船団が現れた。画面上で相手を確認するとそちらがレベル68だった。ガレオン6隻を率いるヤンセン。


「えっ? CPUの海賊が、まさか共闘するの? それとも、レベル60の方はさっきのベラスケスと同じなりすまし?」


 こちらはレベル71だから、一騎打ちでないかぎり、クイックモードの海戦で100%勝利するはず。ただ、連続で攻撃されると船の耐久度が下がっているところを攻撃されるので、最悪は船の損失を覚悟しないといけない。数秒前に海上でセーブしているからいざとなれば戻せばいいが、勝利によってレベルアップしても元に戻ってしまう。


 相手の出方を(うかが)っていると、ヘンドリクセンがチャットをつないできた。


『ここから北は俺の縄張りだ。さっさと帰れ』


『そこを通しなさい』


『通さねえ』


 ちゃんと言葉を返してくる。次に会ったとき、違う言葉をかけたらなんて答えるのか興味が湧いてきた。でも、もう会うことはないだろうけど。


『なら強引に通るわよ』


『面白れえ。やってみな』


 すると、ヘンドリクセンが西へ針路を向け、ヤンセンが南下してきた。


『待って! まさか、挟み撃ち!?』


 そのまさかだった。ヘンドリクセンは、素速く反時計回りに舵を取り、私の背後へ回った。ジーベックは追尾と逃走を得意とする動きの速い船なので、あれよあれよと挟み撃ちになってしまった。


 今まで2つの船団を同時に相手をしたことがない。100%勝利とは、1つの船団相手の場合だ。風は北から吹いているのでヤンセンのガレオン船団が砲撃に有利。ここは委任するか、クイックモードを解除してこまめに指示するか。


 迷っているうちに、ヤンセンの砲撃が始まった。さらに、南からヘンドリクセンも砲撃を開始し、あれよあれよと自船が沈んでいく。味方が轟沈する姿を呆然と見つめていると、私は海上に落下し、丸太にしがみついて海を漂った。


 レベルの数値的には楽勝のはず。だが、共闘となると話は違う。それをイヤというほど思い知らされた。



 セーブデータをロードして、再び北上。作戦を立てるのはヘンドリクセンが現れるまでの数秒間。その間に腹は決まった。


「よし! こちらからぶつかってみる!」


 果たして、ヘンドリクセンが北からやって来た。私は相手がチャットをつないできたのを無視して接近し、初めて自分の方から攻撃を仕掛けた。画面で相手の船をタップし、「チャット」ではなく「攻撃」を選択。まさに先制攻撃だ。


 自動で戦闘が開始され、逃げ惑うジーベックを味方のガレオンが追尾して次々と撃破する。その間、南下してきたヤンセンが援護に入ったが、ヘンドリクセンが壊滅すると、味方はヤンセンへの攻撃に移行。この戦闘で、味方のガレオンが4隻大破。しかし、最後に残ったヤンセンの旗艦を追い回して一斉砲撃を加えると、燃えさかる旗艦は海中に没した。


 レベルは72に上昇。


 これで東アジアへの航路に立ち塞がっていた海賊を掃討したはずだが、油断は出来ない。こんな難敵が現れるなら、どこかでボス的存在が待ち受けていてもおかしくないだろう。


 私は北東へ進路を取り、ボルネオ島の港町ブルネイに入港し、造船所で修理を依頼する。7日かかると言われたが、1日8秒なので1分も待たないから、クイックモードで勝利を味わいつつ待つ。修理の完了後、いったんセーブした。


 ブルネイの町では、宝箱に入っていたのは海神の船首像だった。姿はポセイドンを連想させるが、こちらを睨んで口を開けているのがちょっと怖い。これを旗艦に装着すると、怖れを成した敵が逃げるのだという。でも、敵が後ろから攻撃してきたらどうなるのか気にならないでもないが、効果があるなら飾っておこう。


 今回の戦闘で思ったことは、私と同じように初めてこの航路を通るプレーヤーがいて、一斉に北上したらどうなるのだろうということ。試しに地方艦隊のみんなを呼んで、せーので出港してもよかったかな。きっと、全員が同じ経験をするだろうから、海賊がわらわらと集まってくるのだろう。そうなると、ボルネオ島沖合で帆船の一大海戦が始まったことだろう。


 そんな空想をするのも、このVRゲームの楽しさの一つである。



   ◆◆◆


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