表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRの紺碧の海、紅のガレオン~女艦長スカーレットの冒険記~(改訂版)  作者: s_stein & sutasan


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/97

地中海で兵糧攻め

 次にレベル上げのため、海賊を探しに地中海へ向かった。まずは言葉の響きが素敵なバレンシアの港町を目指す。ここまではリスボンから1,000キロメートル以上あるので、もちろんクイックモードで航行する。


 ガレオン船は大型の船で力強くスイスイと海の上を走るように思うが、実際は重量があるので意外に遅い。8ノット程度しか出ないので、時速にすると毎時14.8キロメートル。1,000キロメートルはおよそ2日と20時間かかる計算だ。幸いにして、レベルアップによりクイックモードで1日を10秒で進むようになったので、28秒でバレンシアに到着する。


 寄港予定のバレンシアが近づいてきた。ところが、東からガレー船が3隻接近してくる。画面を表示して船をタップすると、ペドロという海賊のようだ。レベルは35である。


 私はまだ勝利の酔いから覚めていないので、大胆にもペドロの船団に接近した。すると、いつものごとく、海賊の方からチャットをつないできた。


『やいやい、ここは俺様の海域だぞ』


『何言ってるの? みんなの海域じゃない』


『口が減らない奴だ。相手になってやる』


 私の反論にちゃんと反応してくるところはさすが。早速クイックモードを解除して、画面から指で全船に指示を出し、風上の位置を確保しに行く。風は北東から南西に向かって吹いているので、バレンシアから北東へ向かって陸地を左に見ながら進む感じで時計回りに旋回する。


 ところが、ペドロも器用に大型ガレー船を操って風上へ回ろうとする。大型ガレー船って、オールがめっちゃたくさんあってそれが一斉にエッサエッサと統率が取れた動きをするので見とれてしまう。いや、見とれている場合ではない。早く風上へ回り込まないと。


 しかし、ポジション争いが続き、地中海のど真ん中で食糧が減ってきた。こんなところで枯渇して漂流を始めると間違いなくゲームオーバーだ。なので、戦線を離脱してからクイックモードに移行して、風に乗って南西方向へ逃走する。この時、最寄りの港はバレンシアなのだが、そこに入港すると必ずペドロが沖合で待ち受けているだろうから、バレンシアには寄らず、さらに南西へ海岸線に沿って移動し、マラガへ向かう。これで、海賊の居場所がわかったので、マラガで補給を満杯にしてからいったんセーブし、再度バレンシア方面へ向かう。


 バレンシアの港町が近づくと、予想通り、東から大型ガレー船の船団がやって来た。


『やいやい、ここは俺様の海域だぞ』


 ここで黙ってみる。


『おい、こら。なんとか言いやがれ』


『あっかんべえ』


『口が減らない奴だ。相手になってやる』


 ペドロとのチャットを楽しんだ後、今度も風上ポジションの奪い合いが始まるが、決着が付かない。しかも、うっかり相手の船に近づくと、風向きに関係なく果敢に砲撃を仕掛けてくる。これはまずい。水も食糧も減ってきた。もう一度仕切り直しのため、一目散にマラガへ逃げる。


 さてどうしよう。風上ポジ確保&T字攻撃の形に持っていきたいのだが、相手がそれをさせてくれないのだ。スティーブさんたちにチャットで聞いてみようか。


 でも、人に頼ってばかりでは、自分で考えなくなってしまう。頼られる方も、仕舞いには「自分でやんなよ」と匙を投げるかも知れない。


 私は、マラガの町でアイテムを探しつつ、作戦を立てた。でも良いアイデアが浮かばないので、今度は水と食糧を少しでも節約する方法を考えた。すると、至極当たり前のことに気づいて思わず笑ってしまった。


「なーんだ、当たり前じゃない。食糧が減るのは、船員が必要以上に多すぎるからよ」


 私は海賊との戦闘のために、万全を期すため、船員を1隻当たりMAX三百人乗せていた。だから、海上で時間がかかればかかるほど、水も食糧もすぐに枯渇する。これをガレオン操船の最低限である六十人に減らす。もちろん、水と食糧は三百人分にする。これで、枯渇までの時間は5倍に延びる。すると、風上ポジションの争いの時間に十分な余裕が出来て、今度は相手が食糧不足になるはずだ。


 つまり、海上で兵糧攻めにするわけである。


 私は食糧調達の時間と費用をかけないため、セーブデータからロードし直す。これで、補給が満杯の状態に戻るから、ここで船員を最低限の人数まで減らし、残りは解雇した。大量解雇のリストラみたいで大変申し訳ないが。


 さあ、後は、海上でペドロと我慢比べだ。勇んでバレンシアへ向かうと、やっぱり、東から大型ガレー船が出現した。


『やいやい、ここは俺様の海域だぞ』


『何度同じことを言うのよ。耳にたこができたわよ』


『口が減らない奴だ。相手になってやる』


 なんか違う気もするが、気にしないでおこう。ここからは長時間かかるから、クイックモードのまま逃げ回る。その逃げ方は、相手に追いつかれそうで追いつかれないようにするやり方だ。こうして広い地中海の中を追いかけっこが始まった。


 果てしない追いかけっこが続くが、クイックモードなので体感は1日が10秒程度。昔は30秒くらいだったなぁとレベルが低かった頃を懐かしんでいると、7日目になってペドロが北東方向へ逃走を始めた。補給のためにイタリアの最寄りの港へ向かったのだ。


 ついにチャンス到来である。食糧が枯渇し始めると、このVRゲームはうまく出来ていて、船員の士気も下がる。下がると船の速度も落ちていく。


 ここでクイックモードを解除し、北東から吹く風の風上に回り込んで、相手の進行方向を塞ぐT字攻撃の陣形が出来た。ここで一斉射撃を指示する。


「全船、砲撃開始!」


 8隻のダブルカノン砲が咆哮する。3隻に全ての砲弾が着弾し、燃えさかり、グググッと船体が傾いていった。一撃で全滅とは、上出来である。ただ、このVRゲームは、船が沈むところに少々リアルな描写があって、相手のことを思うと心が痛む。異世界物で魔物が光の粒となって消えていく描写を見るが、その方が良いかも知れない。


 さて、戦利品は、金貨100万枚とガラス細工と金細工だった。レベルは52から53にアップ!


 この調子、この調子。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ