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VRの紺碧の海、紅のガレオン~女艦長スカーレットの冒険記~(改訂版)  作者: s_stein & sutasan


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仲間を募集してみた

 (もん)(もん)とする私は、チャットでシャルロットにこのゲームで飲酒ができるのかを聞いてみた。もちろん、自分は飲酒しないことを添えて。すると、彼女は『酒場じゃ出来ないよ』とラファエルさんと同じことを言うので、さらに詳しく聞いてみると『それ以外は知らない』との返事。でも、彼女も気になったのか、チャットでユキムラさんに聞いてくれた。ちょっとしたことでも質問できる仲なんだ。とても、(うらや)ましい。


 しばらくして、回答が来た。


『どうやら、キプロスに隠し部屋があって、そこで酒が飲めるんだって』


『ホントに!?』


『登録したときの年齢で二十歳以上なら、ある特定のイベントをクリアすれば、そこに入れるらしい』


『ほうほう』


『ところが、実年齢を偽って登録した未成年が入れてしまう』


『ユキムラさんは入ったのかしら?』


『入ったことないって。知り合いの成人プレーヤーからのたれ込みでは、未成年で入っている(やから)がいるらしい』


 それは、運営に通報した方がいいと思うが。


『そこでお酒を飲むとどうなるの?』


『VRゲームだから、アルコールが体内に入るのではなく、五感を忠実に再現して酔った気分にさせるだけ。でも、未成年がへべれけになれるから、気分だけとは言っても問題ありだね』


 なるほど。それでラファエルさんが私を未成年で飲酒に興味があるプレーヤーだとみなしたから、一方的に接続を拒否しているんだ。でも、今でも友達関係が解除されていないところをみると、ヤバい奴とは思われていないようだ。その点が救われる。ほとぼりが冷めるまで待った方が得策だ。


『ところで、もう一つ聞いていい?』


『隠し部屋?』


『じゃなくて、仲間ってメニューのこと』


『ああ、それ?』


『友達のメニューと何が違うの?』


『チュート読んで』


『けち』


『スカーレットくん。少しは勉強したまえ』


『聞いた方が早いじゃん』


『お問い合わせの手数料は、1件につきリアルの世界でアイス1個となっております』


『はいはい、おごるから』


『契約成立』


『で?』


『仲間とは、早い話、地方艦隊募集のメニューなのさ』


『おおお。地方艦隊って響きが格好いい』


『もちろん、仲間同士でチャットも出来るよ』


『友達でも出来るじゃない?』


『そうだけど、違いは、友達は居場所がわからないけど、仲間なら居場所もわかるところ』


『なるほど。居場所がわかるかわからないかなんだ。その差は大きいね』


『まだ便利なことがあるけどね』


『何、教えて?』


 それからシャルロットが詳しく教えてくれた内容によると、地方艦隊は自分がリーダーになった視点から見た相手の船団のこと。あくまで、RPGのパーティーの仲間みたいなもので、船がごちゃ混ぜになって編成替えされ、相手が艦長から船長に格下げされることはない。


 地方艦隊の所持金はリーダの持ち分と合算されず、それぞれが別管理。もちろん、交易品も食糧から弾薬まで別管理。獲得したアイテムも別管理。これは、都合により地方艦隊から抜け出る際に、()めないようにするため。合算して1つにまとめると「貢献していたのは私よ」と配分に()めて喧嘩になるから。


 これで、何が得かというと、戦いになった時に参戦してくれる。戦いに勝利して自分がレベルアップすると、戦いに参加してくれた仲間もレベルアップするし、戦利品も分配できる。ただし、傍観していた仲間のレベルはそのままで、おこぼれにもあずかれない。


 さらに、イベントが発生してそのイベントをクリアすると、賞金を分配できるし、アイテムは同じ数だけ振る舞われる。人数が多いほど有利なイベントが多いので、単独行動よりかは仲間がいる方がよい。なお、海戦と違ってイベントは強制参加なので、傍観は出来ない。


 さっそく、「コミュニティ」のメニューから「仲間」を選択する。表示された画面から「仲間募集」をタップしてみると、何度もスワイプしないと全部が見られないほどたくさんの募集があった。表示されているのは、プレーヤー名、アバターの顔、職業、レベル、所持金、簡単なコメント。ほとんどがレベル2桁で、やっとレベル5になった私はため息が出る。


 私は知り合いの名前を探す。シャルロットという名前があったが、アバターが違うし、レベル25だ。ラファエルもあったが、これまたアバターが違うし、レベル30。


 ユキムラさんがいた。レベル78。どこまでやりこんだのだろう。どういう技を使えばここまで行くのだろう。恐ろしいレベルだ。ちなみに、このゲームはレベル99がMAXである。


 コメントには「こちらから声をかけます」と書いてあった。レベルまで遙か遠くにいるうえにこのコメントでは、応募しようという気持ちが湧かない。


 でも、この恐ろしいレベルに到達したユキムラさんに憧れる。会ってみたい。友達になりたい。


「……やっぱり、ユキムラさんを捜そう」


 一時は諦めた私だったが、再び会いたいという思いに火が付いた。


 もちろん、私と同じレベルの人も、中にはレベル1という人までいる。その人の「友達募集」というコメントが微笑ましい。「○○高校バレー部集まれ」なんて学校名をさらしていいのかと思うのもあるし、「ガテン系歓迎」なんて意味不明なのもある。


(私も募集しようかしら……)


 自由でほのぼのとしたコメントを眺めながら、私は仲間募集に心が傾いた。コメントは何にしよう? 「経験者募集」は変だし「イケメン歓迎」もちょっとね。結局、「よろしくお願いします」と、何人かのコメントを真似して募集を行った。



   ◆◆◆


友達のチャットでは居場所がわからないが、仲間――地方艦隊のチャットでは居場所がわかることを会話で明確にしました。説明書きには書いていましたが、見過ごしてしまいますので。


また、ユキムラさんに会いたい思いが再燃したことを明確にしました。

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