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Toy ガンナー  作者: チョーゆんふぁ
第三章 ハンター編
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天亀

様子見のつもりが初日に予定以上のカラスを始末してしまった僕達はちょっとしたアクシデントで依頼された村に急いで帰ってきた。

その際、僕が出会った手乗りサイズの亀を連れてきた。

ダニロさんにはハンターは動物を、しかも亀を飼うような生活は出来ないんだと言われたけど、何故かマギさんは亀に興味津々だったからなしくずしで抱えてきちゃった。


「ジンちゃん、お腹すいてないかな?」

小さく裂いた干し肉を口元によせると顔をそむけ前ヒレでイヤイヤをした。

「ジンちゃんはお魚が良いのかな?」

今度は川魚の干物を裂いて食べさせようとしたが顔をふってイヤがる。

「コレもダメかー、マギさんこの子は何を食べるんですか?」

昨日から水以外口にしてないよ。


「喰わすんじゃなくて喰っちまおうぜ。亀の肉は旨いんだぜ」

「うちの子に指一本触れたらケツから手を突っ込んで奥歯をガタガタいわすぞ!」

「わかったから怖い顔で睨むな、冗談に決まってるだろ」

食べることに関してブロンには前科がありすぎるから冗談に聞こえないんだよ。


「この子は亀より鳥に近い習性だと思うから肉も魚も食べるとおもうんだけど、私も詳しく知らないから」

「天を泳ぐ亀で天亀(てんき)ってカッコいいですよね。しかも大きくなると全長20メートルにもなってドラゴンともガチで戦えるんなんて、この手乗り亀からは想像も出来ませんよ」

「魔獣なんざや焼いちまえばみんな同じ肉じゃ…だからその亀は喰わねえよ。いちいち睨むな」

「ブロン、この子は魔獣じゃないよ。出会うことが珍しい種族だけど獣とは違うんだよ」

「そうだ!うちのジンちゃんをそいこらの亀といっしょにするなよ」

ジンは男の子かな女の子かな、口元がハンサムに見えるけど目鼻立ちはボーイッシュな女の子な感じもするな。


「銀城、さっきからジン、ジン言ってるけどそいつの名前か?」

いいところに気づいたブロン。だけど耳をほじりながらかよ。

「その耳を右から左に貫通するまでかっぽじってよく聞け!僕のいた国では神って文字の別の読み方にジンてのがある。まさに神級の愛らしさと将来性を表すのにピッタリだ!」

どっかの巨大亀と違ってジェットで飛ぶなんてしない。きっと優雅に前ヒレを翼みたいに羽ばたかせて飛ぶんだ。


「ジン、お前は何をたべるんだい?」

いくらファンタジーな生物でもご飯を食べないと死んじゃうよ。

両手の平にジンを持ち上げ顔を覗きこむ、僕の心配をよそにジンはのんきにキューキューと鳴きながら頭を僕の手に擦り付ける。


三十路のハートにもキュンとくる。

このまま時が止まればいいのに。


「その亀を本気で飼うつもりなのか」

バンとドアを開けてダニロさんは部屋に入るなり呆れたように僕を見る。

「止めとけ止めとけ、俺たちは根無し草のハンターだぞ。ペットを飼う余裕なんざないぜ」


もう、ムシャムシャと瓜を食べながら空気をぶち壊すようなこと言わないでください。


瓜?

あの畑にあった瓜ってそのまま食べるタイプの瓜だったんだ。てっきり冬瓜みたく煮物にする系だと思ってたよ。

甘い臭いが部屋中にただよってきた。


「なんだよ、旨そうに一人で喰いやがって。俺にもくれよ」

「村の連中にいえばいくらでもくれるぞ。俺らはたった一日でカラス共を狩りまくってきたからな」

「お前らの分まで貰ってきてやるよ。待ってろよ」

食い意地ははってるけど独り占めしようとか考えないんだよなブロンて。


その時、僕の手のひらでバシュンて音と共に空気の弾ける衝撃を感じた。

「え?」

部屋を出ようとイスから立ち上がったブロンから手のひらに視線を戻すとジンの姿はなく今度はダニロさんがいるドアの方でグシャッてスイカが潰れるような音がきこえる。

その音はサバイバルゲームの仲間と森でやったスイカ割りを思い出させたからだ。


「なんだこれは」

おっと、過去の思い出にひたった僕はダニロさんの呻くような声で我にかえるが。

げっ、見るとダニロさんは身体中に瓜の身と汁をべっとりまとわせ手には欠片を握って震えて立っていた。

胸元では鳥のような脚で服にしがみつきダニロさんの身体に飛び散った瓜を懸命に食べているジンがいる。


「ペットの不始末は飼い主の責任だよな、銀城」

ダニロさんの顔は…見るのが怖いです。


「す、すみませんです」

ジンてば何やらかしてるのさ。

「俺は今回関係ないからな」

関係なくても震えが来るよねブロン。当事者の僕はガクガクだよ。


「そんなことより銀城、今の見たか?」

「そんなことじゃねえだろ、マギ。俺は生き物を飼う責任てもんについて拳で語り合いてえんだよ」

拳は勘弁してください。


「魔法だよ!その子風の魔法で飛んだんだよ」

風の魔法?スゴいけどそれどころじゃないよ。ダニロさんの拳骨がプルプルしてるんですけど。


いや、まてよ。ピキーンてきたぞ。

「それはスゴい。風の魔法か、飛ぶ以外にも魔法が使えるかも知れないですね。すみませんダニロさん緊急議案ですがうちのパーティーに風の魔法の使い手としてジンが活躍できるか調べてみないと」

「魔法の使い手?」

ダニロさんが少し食いついた。チャンス!

「はい、これから表で実験してきますのでジンを借りますよ。いくぞジン。お前の力を僕に見せてくれ、ついでに瓜も食べようね」

僕は唖然として突っ立っているダニロの胸元からジンを引き剥がし逃げるように表に走り去っていった。

ジンを引き剥がすとき食べたりないのかイヤイヤをしたけど、ごめんね。後でお腹一杯食べさせてあげるから我慢して。




「どうなってるんだ?」

「とりあえず井戸で身体洗ってきたらどうだい」

マギはニコニコしてる。

「ああ、そうだな」

まだよく分からないといった顔をしながらダニロも外に出ていった。

「あっ、俺も瓜を貰いにいくんだったぜ」

ブロンも銀城とダニロの後を追うように走り出す。



「彼らといると飽きないね」

マギは床に散乱した瓜の掃除をするため家主の村長に箒を借りにゆっくりとした足取りで部屋を出ていく。



だれもいなくなった部屋には瓜の甘い香りだけが残っていた。





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