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Toy ガンナー  作者: チョーゆんふぁ
第三章 ハンター編
29/36

駆除?討伐?その前に決闘?

部屋には柔らかい朝日が差し、外では小鳥がさえずる。

雲一つない青空、半分開いた窓から爽やかな風が吹いている。

世界はなんて美しいんだ。



「銀城、酒はもう抜けたのかい?」


はい、二日間苦しんで今朝になってやっとアルコールが抜けました。


いつもバカにしてたブロンが1日で元気になってたのがとても悔しいです。


アイツ苦しんでる僕を見下ろして大笑いするだよ。笑い声もバカみたいにでかいから頭に響くし。


夕べまでは二日酔いで気分も悪くダルいし頭がガンガンして食事ものどを通らなかった。あと僕は飲み過ぎると何故かお腹を下す。部屋とトイレを何度も往復した。

悶え苦しみながら今すぐ日本に戻って液○ャベ飲みたいと神様に懇願しましたよ。

それとしじみのお味噌汁が欲しい。

僕の場合は更に冷え○タをおでこに貼れば完璧だった。


どれも全部ないけど。


こうゆうときいつも思うんだけど僕はアルコールと相性悪いんじゃないかなって。

それでも飲むよ。

飲み会って好きなんだもん。



ともかく、なんとかやり過ごして完全復活。

仕事に行くぞ。


ぐ~~


「マギさん、下で飯食いませんか」





今更ながらだがギルドの朝は結構早い、近場での狩りでも片道半日かかる。二つ隣の村なら朝一に出て着くのは夕刻になる。

遠い所ならなおさら準備やら獣車の手配などで時間がかかるから依頼の受領は朝のうちに済ませたがる。


なのに僕とマギさんがギルドに入ったのは昼前だった。

原因は言わずと知れたアイツです。

起きるのをさんざんごねて一階の食堂に引きずり下ろしたのが泊まり客がみんな食事を終えて出ていったあとだ。

宿屋のオークの女将に頭を下げて竈に火を起こしてもらい朝飯を食べさせた。


おかげでこの時間だ。

依頼もろくなもんが残ってないだろう。


「なんだよ、ろくな依頼がねえじゃねえか」

「お前がいうな!」


「おまえら、1つ手頃なのがあったぞ」

「ああ、これは面倒だからみんな嫌がったんだよ」

ダニロさんが見つけた依頼書を手に取りマギさんが渋い顔をする。

どれどれ。


「西の村で作物をあさるカラスの魔獣か、鳥相手じゃ俺の剣も役にたたねえだろ。他はどんなんだ?」

「えー、隣町の森で大量発生した毛虫の魔獣を50人以上のハンターで一斉駆除。それにとある貴族の若様がカブトムシの魔獣を捕獲してこいってさ」

どこの世界でもカブトムシは男のヒーローだね。


「どっちも虫かよ」

お前は食えないもんな。


「近場だし私はカラスがいいと思うよ。銀城と二人で射ち落とすからダニロ達で止めをさせば楽にいけるよ」

「でも報酬がいまいちじゃん」

「カラスの肉は買い取っちゃくれんだろうけど、骨と爪を魔道具屋に売れば当座の宿代にはなるだろ」

「じゃあ、肉は俺達で喰っちまおうぜ」

「僕の聞いた話だとカラスは美味しくないって」

「不味くもないかもしれないだろ」

どうあっても食べるのか。


「カラス狩で決まりだな、俺はサマージさんと話してくる」

ダニロさんは依頼書を手にカウンターにいった。

「私は獣車の手配をしてくるよ。カラスは群れるから十数羽は積める大きめの荷車も用意するから」

マギさんも出ていった。


「俺らはどうする」

「僕は武器屋の親父さんに頼んでおいた鎧をもらいにいくよ」

コスプレじゃない本物のボディーアーマーだぜ。萌えるね、じゃなかった燃えるね。

「俺も新しい剣を打ってもらおうかな」

スライムの体液でボロボロだもんね、強引に刃だけ研いであるからカラスぐらいは斬れるだろうけど分厚い皮の魔獣を相手にしたら命がいくつあっても足りないだろう。


「じゃあ行くか」

「おう」



男二人でお買い物か…行くのは武器屋だから違和感ないが。





昼も過ぎたから僕らは途中で食堂によって昼飯を食べた。

僕のはビーフシチューとハヤシライスの中間みたいな煮物と薄焼きパン、ブロンは骨付きハムの煮込みとトマト風の赤いソースがかかったペンネと山盛りのザワークラフト。

少し味見させてもらったがこの世界の料理はかなり美味しい。

日本にいた頃の朝の納豆定食が恋しくなるときもあるけど、今のところブロンの食事当番で出されるかろうじてヒトのエサ以外は食べる物に不満はない。


三千世界には料理に不満のある異世界に呼ばれる人もいるだろうから僕はじいちゃんに感謝だね。


「旨かった、ご馳走さま」

腹も満ちたし武器屋にいくか。



店を出て数歩も歩かないうちに突然後ろから声をかけられた。

「待ちなブロン、それとおまけのガキ」

「あん?」

誰がガキだってカチンときたがブロン、振り返り様にスッゴいメンチきったな!完全にプロだよソレ。


「よう、ブロン。たいした腕もないくせにダニロさんとマギさんにくっついていい気になってんじゃねえよ」

僕も振り返るといかにもな感じのハンター風の男が四人、往来のど真ん中に立っている。

他の人の迷惑になるだろ、みんなコイツらに近寄らないように遠回りて避けていく。


「同じ村の出身だからって二人のおこぼれをちょうだいしてるお前と違って俺達なら対等にやっていけるんだぜ」

「見ろよ、このオーブの色」

胸元をはだけ首に下げられたオーブは藍色と青の中間のような色をしている。

そういえばハンターの熟練度ってオーブの色で見るんだっけ、僕も色々と戦ってきたけどオーブはまだ最初の黒のまんまだ。

ブロンのオーブは濃い藍色だ。

「誰の腕がないって?」

ブロンが怒るのも無理ないって、僕から見てもブロンの方が強そうだ。


熟練度を表すオーブの色も強さを正確に表してるわけじゃない。

ドラゴン一匹よりスライム千匹の方がオーブの変色に影響するからオーブの色は能力というより大雑把なハンターの貢献度とか名誉を示してるみたいな?


つまり


「はん、腕がないのはお前らじゃねえか。出直してきやがれ」


ブロンは一人で四人のハンターを叩きのめした。

まさに片手間だ。ぶっちゃけ四人は見せ場の一つもなくやられてしまった。


「銀城、お前にもこうゆうバカが来るだろうからかまわず魔法をぶつけろよ。実戦のこなせる魔法使いは珍しいからな、一度派手にかましてやれば寄ってくるハエは俺より減るだろ」

「魔法使っていいの?」

町中で刃傷とか魔法はハウザーさん達に捕まるんじゃない。

「さすがに殺しちまったり中級以上の魔法はヤバイが、周りに被害がでなけりゃお前の初級魔法ぐらい問題ねえ」

ホントかよ、後でマギさんかハウザーさんに確かめてからにしよう。



またトラブルに巻き込まれないうちに買い物済ませちゃおう。


「銀城、そんなに急がなくても武器屋は逃げねえよ」

わかってるよ、でもイヤな予感がするんだよ。

「武器屋は逃げなくても店がつぶれてたりとかな」

ガッハッハッて悪党面で不吉なことをいうな、そんなんじゃないんだよ。

さっさと済ませてダニロさん達のとこに戻ろう。

僕は歩くペースを速めた。


「待ちな、そこのガキ」

きたよ、きたよ、僕にもこのパターンか。

今度は正面を立ち塞がれてしまった。

素知らぬ顔でUターンだ。

「黒のガキがどうやってダニロさん達に取り入ったんだ」

黒ってオーブの事か、やっぱり僕だよね。

ガツッ

ひいっ、肩をつかまれた。怖い、日本でもこんな経験したことないよ。

「逃げんじゃねえよ。お前に言ってるんだよ」

怖い、ブロン君鼻ほじってないで助けてよ。

「おいガキ、俺と勝負して負けたらダニロさんのパーティーから出ていけ」

何いっちゃってるのこの人。

「今日会ったばかりのあんたに何でそこまで言われなきゃならないんですか」

言ったぞ、言い返してやったぜ。膝がプルプルするけど。

「ダニロさんはこの国でも指折りの実力者なんだよ、マギさんも色は藍色だが弓の腕はすげえんだ。ブロンもそれなりに強い」

この人アレだ。ダニロさん達をリスペクトしちゃってる人だ。

「出来るなら俺が入りたい。なのにお前みたいなパッとしねえ黒の新人があっさり入りやがって」

「確かに僕は新米だけど、ちゃんと役に立ってます」

「うるせえ、俺はこの目で見てるんだよ。スライムのとき俺達が汗水垂らして武器をボロボロにしながら戦ってた横で、お前だけ妙な棒で楽してただろ」

「僕だって汗かきながら頑張りましたよ。それにあんたの3倍の成果はだした」

「数の問題じゃねえ」

「それにマギさんも一緒にやってましたよ」

「マギさんは関係ない、お前が気にくわないんだよ」

もうやだ、話にならない。

ブロンもなんか言ってよ。


「こうなったら決闘しかねえな」

気軽に決闘とかいってんなよブロン、いつの間にか串焼きの肉をくわえてるし。


「ルールは何でもあり、相手を故意に殺したら殺人罪で逮捕するからな。後は本官が止めに入ったら従うこと」

なんでハウザーさんまでいるの?

「はいはい、野次馬は離れて。巻き込まれたら自己責任だよ」

そんなんでいいのか?


「どうせお互いスライムのせいでなまくらだ。そう簡単に死にやしねえよ」

そう言った難癖男の剣は確かに鈍く変色してるけど。


その目は死ぬほど痛めつけてやるって雰囲気を出してる。


「気楽にやれよ、何でもありだからな」

その手に持ってるのは酒じゃねえよな、お前は禁酒中だろ。

「あ、これはリンゴ水だから」

ならいい、でも確認するからな。


「ビビってんのか?逃げるなら今だぞ」

男は距離をとって剣をゆらゆらと振りながら挑発する。


なんかおかしいな、この状況でもイヤな予感が消えない。

それどころか鳥肌まで立ってきた、原因は前にいる男じゃない気がする。


「早く武器を構えな、無かったら他のやつから借りればいいさ」

いま僕は剣を持ってないけど真剣でやりあうのはなぁ。


「何でもありですよね、あと僕が勝ったら何かいいことあるんですか?」

負けたらパーティーを抜けろとか言って勝ったときのメリットがないのは納得いかん。

「俺が負けたら素っ裸で1日町中走り回ってやるよ」

ヒャッヒャッと笑ってるけどそれそっこうで捕まるから。

「僕は勝ってもあをたの汚いものを見せられるだけじゃん」

なんもメリットが無い。


「銀城が負けたらダニロさんのパーティーを抜けて本官の部下になる。お前が負けたら有り金全て銀城に渡してこの町を出ていく。それで決まり」


「ハウザーさん、何ですかそれ」

「負けたら俺だけ割をくうじゃねえか」


「本官が審判、審判はルールブックだ。ごちゃごちゃ言うならこの決闘は無効だ」

清々しいほど言いきったよ。


「そこの兄ちゃん、黒の新人にビビったか?」

すかさずブロンが挑発する。


「誰がそんなガキにビビるかよ」

まんまと挑発に乗せられやがって、僕としてはこのままごね合って無効に持っていきたかったのに。


「双方合意にいたったと確認、武器を構えろ」

ハウザーさん、相撲の行司みたい。


僕はまだ返事してないんだけど、仕方ない。

西部劇に出てくるようなガンベルトをアポーツして腰に巻く、ホルスターには銀色に輝くリボルバーSAA。まさしく決闘だね。


「ガキ、今何しやがった。その腰の武器はなんだ!」

「僕用の魔法の杖みたいなもんですよ」

「てめえ魔法使いかよ。そんなの聞いてねえぞ、審判こんな決闘は無効だ」

動揺した男はハウザーさんにくってかかる。

「本官は殺さない限り何でもありと言った、お前も承諾しただろ」

「ちくしょう、何でもありだな。だったらお前らこっちに来い」

「やってやるぜ」

「今度は負けねえ」

さっきブロンに叩きのめされた四人組のうち二人がヨロヨロと野次馬をかき分け男の隣に並んだ。

「三対一はダメなんて決まりはなかったよな」

嫌らしい笑みを浮かべて男はハウザーさんに言った。


「本官は構わないが助っ人はその二人までだぞ、きりがなくなるからな。あと負けた時はその二人も同様に有り金渡して出て行くんだぞ」

僕は構います。


「なら俺も銀城の助っ人に」

ニヤニヤしながらブロンが申し出てくれた。

ありがとう、禁酒5日にまけてやるからな。


「はい、ダメ。本官がさっき助っ人を打ち切りました。ブロンは参戦出来ません」

「何でですか!」

「本官のマギへの嫌がらせと、銀城を部下に欲しいから。思う存分負けてくれ。降参もありだから大怪我しないうちに負けちゃいなさい。むしろ今すぐ降参していいから」


完全アウェイだ!

下手したら中東の笛も吹かれる。


負けられない戦いがこんなとこに有ったなんて。


ちくしょう、やってやる。


「銀城、お前が抜けたら禁酒は無効でいいよな」


どアウェイだ!


「では、勝負…」


グリップの横に構えた右手が緊張でワナワナする。


「始め!」


「「「ウオォォ~!」」」

蛮声とともに剣をふりかざす男たち。


息を止め右手で銃を抜きざまに腰の位置で銃を構え、向かって左端の男にむけて引き金を引く。

パシュン

更に左手で撃鉄を起こしてもう一発。

パシュン


銃を持つ右手を目線に上げ中央の難癖男に狙いを定め左手で撃鉄を起こし。

パシュン


次に距離3メートルにまで迫っていた右端の男に銃口を向け撃鉄を起こし引き金を引く。

パシュン


僕は今すごい集中力を出してるみたい。開始の合図から三人目の男を撃つまで時間の流れがもどかしいくらいゆっくり流れて感じたよ。


だから行動の結果もわかっていた。


一人目は初弾が右の太ももに当たっていたが初めての決闘で焦っていた僕はもう一発胸に撃った。


難癖男は腹に一発、三人目の男は喉の辺りに一発だ。


ブハァ~!


数秒の出来事なのに息が苦しい。

でも僕の撃った雷の魔玉は完璧に男達を失神させていた。


ピクピクと痙攣する男達の脈をハウザーさんが確認している。


「全員生きてるな。勝者、銀城!」

やった、ダニロさん、マギさん、僕勝ちましたよ。


「「「おおぉ~~!」」」

「今のはなんだ?」

「一瞬で三人倒したぞ」

「小さな音がしたと思ったらあいつらがバシッて光ったんだよな」

「雷の魔法か?」

「ら、雷光の男だ」

「銀城って言ってたよな。雷光の銀城だ!」

「「雷光の銀城!」」


やめて~~!


これだ、僕のイヤな予感はこれだよ。

何その二つ名みたいの、鳥肌がゾワゾワして身体中が痒くなる!


こんな場所居たくない。


「ハウザー!後始末しといてよ。ブロン、逃げるぞ」

握手とかサインとかないから道開けてよ。

恥ずかしい。


僕は強引に野次馬の間を抜け出し一目散に駆け出した。




「あーあ、勝っちゃったか。部下に欲しかったんだけどな」

「悪乗りしすぎだろ。聞いたか?サマージの親父さんに続いてあんたもハウザーさんからただのハウザーだぜ」

「あの子の純粋な目でハウザー先輩って呼ばれたかっただけなんだが」

「言ったろ、悪乗りのしすぎだって。あんたは銀城に貸し一つだぞ」

「わかってるよ」

「じゃあな、金は後でマギに渡しとけよ」

「渡すときマギに何を言われるのやら」


ブロンはニヤリと笑い。

「それも含めて後始末だぜ」









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