酒は飲んでも、飲まれ…ますよね
「異世界から来たのかい」
「異世界ってどの辺りだ」
「異世界の飯は旨いのか」
僕が異世界から来たって告白したときのそれぞれの第一声がこれだ。
どれが誰かは聞くまでもないだろう。
「神隠しっていうのは聞いたことあるけど」
「こいつは神現れとでもいえばいいのか」
「異世界肉とか異世界酒はあるか?」
「僕の死んだじいちゃんがこの世界で木の精霊トレントに生まれ変わってまして」
「トレントかよ」
「それはスゴい祖父殿だね、トレントと言えばもはや木の神様だよ」
「木は食えねえよ」
いちいちうるさい。
「この世界の神様に許しをもらって僕を召喚したそうです。神様は時々他の世界から人々を移民させているらしいから、まだまだ知られてない種族がいるかもしれませんね」
「面白いな、この世は退屈しないぜ」
「噂で聞いたことがあるよ、未知の種族の隠れ里の話とか」
「そいつらの肉は…」
「ヒトを食べるな!」
「喰うわけないだろ!そいつらの喰ってる肉が気になるだけだ」
「みんな僕の話を信じてくれるんですか」
あっさり受け入れてるし。
「長い付き合いじゃないが気心は知れた仲だろ」
「銀城の隠し事がこれだったとはね」
「話しは済んだろ。飲もうぜ」
「これからもよろしくお願いします」
「おめえは他人みたいな風にいうんじゃねえ」
「よくいったブロン、今夜はスライム駆除の打ち上げだぜ。ガンガン飲んで明日から装備の資金稼ぎするぞ」
「私の懐も寂しいから考慮して飲んでね」
「「「「乾杯~」」」」
ダニロさんの音頭で思いきり飲んで食べて途中マギさんが泣きそうになったからダニロさんと二人で割り勘になったようだ。それを知ったブロンがリミッターが外れたようにペースを上げ、つられて僕も限界を突破した。
その後のことはよく覚えてない。
胸のつかえが取れたように気持ちが軽くなって調子よく飲みまくっていたのはわかっている。
だからって朝起きたら酒場の表でブロンと抱き合うように壁にもたれてたなんて。
今が夏場でよかったよ。
そうゆう問題じゃないか。
ブロンとお互いに酔いどれの千鳥足でなんとか宿屋に帰り僕らの部屋に入ると、シングルベッドを二つくっつけて真ん中でダニロさんが高いびきをかいてた。
「銀城、マギは?」
「いない」
女だな。
「ダニロもいい身分だな」
「二人とも僕たちを置いて帰ったんだ」
「銀城はそっちまわれ」
「ブロンはこっちだな」
ズキズキする頭の痛みを堪え二手に別れて配置に着く。
「いくぞ」
「「せーの」」
ゴトン!
「ふがっ?」
ベッドを引く手にためらいもなく切り離してやった。
「なんだ、て、敵襲か」
「俺はこっちで寝るから銀城はそっちな」
「おう、お休み~」
「敵はどこだ?ブロン、銀城、何事だ?」
「ダニロうるせえ、昼まで起こすなよ」
「ダニロさんあっちの空いてるベッドで寝てください」
四人部屋だからまだ二つ空いてるベッドがありますよ。
「痛ってぇなあ、お前ら酷くねえか」
お休みなさい。
「ただいま、みんなちゃんと帰って来たんだね」
陽も高いけど三人ともベッドで熟睡している。
「私ももう一眠りしようか」
一つ残ったベッドに横になる。
「仕事は明日からでいいよね、お休み」




