雨上がって
宿の窓ガラスをたたく雨の音。
隙間から吹き込む風は湿気を帯びた土の匂いがする。
もう20日も太陽は姿を現してくれない。
最近はやたらと故郷をおもいだすんだ。
きっと長雨が日本にいた頃の梅雨のようだからだ。
向こうの世界に置いてきた友人たちが恋しくなる。
「うがぁー、飽きたよー」
ずっと仕事もなく部屋にこもりっぱなしだ。
ここにもトランプに似たカードはあるしチェスみたいのもあるけど慣れてないから勝てないし、面子が同じだからマンネリだよ。
銃の手入れも一通りしたし、狭い室内じゃ剣も振れない。
僕の少ない魔力じゃ魔玉の魔法チャージも1日30個が限度。
ダニロさんとブロンは酒とカードがあれば平気だ。
マギさんは気がつくと何処かにいなくなってる。
きっとイケメンだから女性のところだな。
手慰みに布切れで作ったてるてる坊主を窓に吊るしてみました。
早く晴れないかな。
なんて思った翌日。
出てくれましたよお天道様、てるてる坊主様やるじゃない。
ダニロさんは朝早くから食事もそこそこに意気揚々とギルドに出ていった。
通りは長雨でぬかるんでるのに足取りは軽そうだ。
オーガみたいな体格でスキップはないでしょ。
なんだかんだでダニロも退屈してたんだろうね。
「よう、おはよー」
頭をかきながらブロンが食堂におりてきた。まだ眠そうな顔してるけど、こっちはとっくにご馳走さまだよ。
「やあ、おはよう」
寝坊助あいてにマギさんは朝からイケメンしてるな。
「ブロン、もう朝飯は無いぞ」
厨房も火を消しちゃったし。
「ダニロがギルドに行ってるから、あっちで食べてきなよ」
「ダニロさんスキップしながら出ていったからゴチになれるんじゃない?」
あの姿をブロンにも見せてあげたかったな。USBでソーラー充電してあるからケータイで録画しとけばよかったよ。
あれを記録して映像をダニロさんに見せたらいくらでもたかれるぞ。
下手をしたら殺されるかもしれないけどね。
「雨季に依頼人なんか来ねえだろ。ギルドに行っても手ぶらで帰ってくんじゃねえの?」
そういってブロンはテーブルにつき酒とツマミを注文する。
それを聞いて苦笑しながらマギさんはいった。
「まあ、普段の依頼は無いだろうけど恒例の仕事は決まってるから手ぶらじゃないさ」
「げえ、アレかよ」
ブロンのやつ不味いもんでも喰っちゃったって顔してる。
恒例というと武器屋の親父さんが言ってたスライムさんのことだな。
「それってスライム駆除のことですよね。初めてなんですけど、どんな風に倒すんですか」
弱いとも聞いたけど。
「銀城は初めてなのかい?」
「お前貴族のボンボンかよ、そこいらのガキだってちっこいスライムの始末はやらされるぞ」
国民総出のスライム駆除?想像がつかない。
うわ、マギさんと目があった。
じっと僕の見てるよ。なんか見透かされている気分になるけど僕は異世界から来たけど別に後ろ暗いことはしてないし平気だよ。
スマイルのイケメンさんなのに目は笑ってないから思わず目をそらしちゃったけど、やましい事はないぞ。
しっかりしろ、魔獣退治に必要な情報はきちんと聞くべし。
「あのー、スライムの倒し方なんですが」
上目遣いなのは先達への敬意です。
「スライムなんざザコだぜ、ビシャッって体液がかからないようにバシャッバシャッって払ってベタンて核を潰せばおしまいだ」
胸を張ってブロンは言い放ったが、こうゆう時とことん役に立たないな。
「マギさん、何とかして」
良識ある理論派に頼るしかない。
「」
なにも言わずに目をそらされた。
「何でですか」
マギさんは気まずそうに頬を掻いて。
「ブロンが正解だったりするから」
マジ?
「要約すると、スライムは形のない強い酸の液体の塊でね。それを浴びないように武器で塊を散らして中心の核を潰すんだ」
ちゃんと理論整然と言えるじゃないですか。
でもイメージ的にはブロンの言う通りなのが悔しい。
ブロンは更にふんぞり返り。
「ほれ見ろ、俺の言ったままじゃねえか」
うるせえ、スライム喰ったら捨てて帰ってやるからな。
そうして昼を過ぎた頃、ダニロさんが満面の笑みで宿屋に帰ってきた。
「おーい、仕事とってきたぞ」
文書の量が一定に出来ません。
読み辛かったらごめんなさい。




