3.密かな魔法の練習
ノルトマンは夢の中で見た最強のダンゴムシに憧れた。そして、夢の中の最強のダンゴムシと同じ魔法が使えるか試してみたいと思った。そこで、夜みんなが寝静まった後、夢で見た異空間魔法を試してみることにした。
心の中でダンゴムシが使っていたダンゴムシ語を試してみた。ダンゴムシ語で「異空間収納」と唱えたが、何も変化がなかった。「失敗かな」と思ったが、確か夢の中のダンゴムシは「自分を収納」と言っていたはずと思って、ダンゴムシ語で「自分を収納」と唱えると、次の瞬間、自分が暗い空間にいた。そして、その空間から部屋の中を見ていた。そこで今度は「外へ出たい」と唱えると元のベッドの上にいた。
要領が分かったので、次からは手に持った物や目に見える物を対象にして「収納」と唱えるとそれらの物が自分の異空間に入ることが分かった。
次に自分の異空間に入った物を、異空間の中で動かしてみることにした。紙と鉛筆を異空間に入れて、紙に鉛筆で字を書いたら字が書けた。ダンゴムシがやっていたように、字を書いた紙を「コピー」と唱えたら、字を書いた紙がもう1枚できた。そこで、今度は。棚の本を異空間に入れて「コピー」と唱えると本が異空間の中でもう1冊できた。
そうやっていたら、頭が痛くなってきて、そのまま眠ってしまった。次の日は朝から家庭教師の勉強である。ノルトマンは家庭教師の声を聞きながら異空間の中で「この声コピー」と唱えると、なぜか家庭教師の声が異空間の中で何かに記憶されていくような感覚を憶えた。
その日の夜、ノルトマンは昼間憶えた感覚を調べるため「声の再生」と唱えてみた。すると異空間の間で教師の声が再び聞こえてきた。
声が出来たということは映像もできるのかなと思い、「今の部屋の様子をコピー」と唱えた。すると昼間憶えたような感覚を憶えた。そこで、「映像の再生」と唱えると、異空間の中に今自分が見ている部屋の様子が映し出された。
それからノルトマンは部屋の中にある物を自分の異空間に入れて、ここで「コピー」と唱えて部屋の中の物を異空間にもう1つ作った。そして、元の物を元の部屋に戻した。こうして、ノルトマンは自分の異空間に自分の部屋をもう1つ作った。
このようなことをしていたらまた頭が痛くなってそのまま眠ってしまった。次の日はまた朝から家庭教師の勉強である。もう今度は教師の声と映像を同時にコピーしていった。これで聞き漏らしがあっても後で聞き直せる。
次はダンゴムシが使っていた最強魔法を使ってみたかったが、これは部屋では試せない。庭に出ても近くにはメイドがいる。自分が変な人間だと思われるのはよくわかっている。この上ダンゴムシの言葉までしゃべれば「おかしなことを始めた」と話が母上のところまでいく。どうしたものか悩んだ。
そこで導き出した結論が、夜寝静まってから自分の異空間の中に入って、そこで魔法を試せばいいということだった。そこで、夜異空間の中に入って、ダンゴムシが唱えていたように、ダンゴムシ語で「風よ、吹け」と唱えた。すると、辺りに風が吹いた。
そこで、ノルトマンは考えた。もしこのまま魔法を使ってその間まま眠ってしまうと、朝ノルトマンを起こしに来たメイドがノルトマンがいなくて騒ぎになる。そこで、異空間から出て「異空間の中で、風よ、吹け」とダンゴムシ語で唱えた。すると異空間の中に風が吹いた。
その後ノルトマンは夜ベッドの上で、異空間の中で魔法の練習をして過ごすようになった。夜ベッドに横になって、目を閉じて異空間の中で魔法を使うのである。そして疲れるとそのまま眠っている。朝メイドが起こしに来ると元気に目覚める。その繰り返しである。そうすると密かに魔法の練習をしていることは、家の中の者には気づかれることはなかった。こうしてノルトマンは夢の中のダンゴムシに少しずつ近づいていった。
ここまでお読みいただいてありがとうございます。
続けてこの後7:40にこの作品「ダンゴムシの記憶を持つ男の物語」の4話を公開したいと思います。
今後とも私の小説
(連載中)「転生者とバグでない異世界人の物語」
(連載中)「牛乳とチーズは違う味がする(顔だけ男の気ままな旅)」
(完結)「マリーの思い家族の思いそして祠がつなぐもの」
(完結)「泡沫の恋の行方と花時計の思い」
(完結)「帝国皇女の憂鬱(前世の夫の生まれ変わりを捕まえろ)」
(短編・完結)「妖精に成れなかったダンゴムシの物語」
(短編・完結)「真冬の祭りそして祠がつなぐもの」
(短編・完結)「雨の日は嫌い、雨の日はやっぱり嫌、でも雨の日もちょっぴり好きかも」
(短編・完結)「北の関を死守せよ、野望は泡沫の夢と消えて」
をよろしくお願いします。




