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ダンゴムシの記憶を持つ男の物語  作者: @000ーooo


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2/22

2.ダンゴムシの記憶

 ノルトマンの誕生日は10月1日である。ノルトマンは今日4歳になった。そして、いつもの様に庭で虫たちと遊んだ。この頃になるともうノルトマンが庭で虫たちと戯れていても誰も気に留めなくなった。不思議な子、そして面倒な子、さらには軟弱で、体を鍛えようとしない子、それがこの家でのノルトマンの評価だった。


 ノルトマンが体を鍛えようとしないので、父は興味を無くしたようで、あまりノルトマンに構わなくなった。しかし、母はその分ノルトマンを溺愛し、ノルトマンのしたいことは好きにさせていた。そしてメイドや執事がノルトマンを悪く言おうものなら、強い口調でメイドや執事を叱った。


 冬の間は外に出ることも少なく、家の中で過ごすことが多くなった。もうこの頃には家庭教師がつけられ読み書きや算術を習うようになった。ノルトマンはおとなしい性格で教師に反抗することもなく教師の言うことをよく聞いた。また、冬で外に出られないこともあって、勉強は順調に進んだ。家庭教師の評価は貴族の子弟としては少し優秀というものであった。この家庭教師が伯爵家に雇われているということを考えると、少し優秀ということは、普通の成績ということである。


 春になるとまた、ノルトマンは庭で遊ぶようになった。そして、転んで頭を打った。驚いたメイドが近寄ると

「大丈夫、転んだだけ」

と言って、また庭で遊びを続けた。


 しかし、その夜ノルトマンは熱を出した。医者が呼ばれて診察したが「小さい子によくあることなので明日になれば熱も下がるだろう」とのことであった。そこで一晩様子を見ることになった。


 その夜ノルトマンは夢を見た。自分がダンゴムシになっている。そして暗い石の下で葉っぱを食べている。しかし、背中に羽がある。ダンゴムシとも少し違う自分がいる。


 その夢は突然場面が切り替わり、ノルトマンは空を飛んでいる。背中の羽を大きく広げ自由に空を飛んでいる。時々襲ってくる鳥や昆虫は「風よ、吹け」と唱えると、風が吹いて鳥や昆虫は飛んで行ってしまう。


 今度は、ノルトマンは暗い世界の中にいる。その世界はノルトマンの自由にできる世界で、そこには花が植えられていて、ノルトマンの魔力でいつでも花は満開である。それで何時でも花の蜜が吸える。この空間はノルトマンが作り出した異空間である。なぜかそのことをノルトマンは理解している。しかし、唱える言葉は人間の物とは少し違っていた。「ダンゴムシの言葉だ」漠然とそう思った。


 そう思った時、頭の中に急にダンゴムシの言葉が流れてきた。愛をささやく言葉、花に語りかける言葉、魔法を使う言葉、その言葉を使うとノルトマンは無敵だった。大きな魔獣も、空を飛ぶ魔獣もノルトマンの放つ氷の矢に貫かれて倒れていく。そして倒した魔獣はノルトマンの異空間に入れてどこへでも持っていける。


 不思議な夢だ。自分がふわふわ浮いている。そして急に場面が切り替わる。そのような場面をいくつか経験した後、ノルトマンは目が覚めた。


 部屋の中を見るとメイドが椅子に座ってうつらうつらしている。

「マリー、どうしたの」

メイドの名を呼ぶと、メイドが急に起きて

「ノルトマン様、気が付いたのですね」

そう言って近づいてきた。


 メイドはノルトマンの額に手を当てると

「熱は下がったみたいですね。今奥様を呼んできます」

そう言って出て行った。


 しばらくすると、母親であるエヴィが駆け込んできて

「ノルトマン、体は何ともない」

そう言って、ノルトマンの額に手を当てて

「熱は下がったみたいね」

そう言って、ほっとして椅子に腰かけた。


 その後、医者がやって来た。医者はノルトマンを診察して「熱も下がったみたいですし、大丈夫です。もう心配ありません」と言った。


 こうしてノルトマンの発熱騒ぎは収まった。しかし、ノルトマンは言わなかったが、ノルトマンは前世の記憶を思い出したのである。そうダンゴムシだった自分を思い出したのである。そして、このダンゴムシは普通のダンゴムシと少し違っていた。背中に羽があり自由に空を飛べるし、魔法まで使える。この魔法は最強の魔獣を簡単に倒すことが出来るし、異空間魔法まで使えるのである。


 そこで、ノルトマンは「このダンゴムシと同じことが出来たらいいな」と思った。元気になったら、夢の中の最強のダンゴムシと同じ魔法が使えるか試してみたいと思った。

 ここまでお読みいただいてありがとうございます。

 続けてこの後7:30、7:40にこの作品「ダンゴムシの記憶を持つ男の物語」の3話と4話を公開したいと思います。

 今後とも私の小説

(連載中)「転生者とバグでない異世界人の物語」

(連載中)「牛乳とチーズは違う味がする(顔だけ男の気ままな旅)」

(完結)「マリーの思い家族の思いそして祠がつなぐもの」

(完結)「泡沫の恋の行方と花時計の思い」

(完結)「帝国皇女の憂鬱(前世の夫の生まれ変わりを捕まえろ)」

(短編・完結)「妖精に成れなかったダンゴムシの物語」

(短編・完結)「真冬の祭りそして祠がつなぐもの」

(短編・完結)「雨の日は嫌い、雨の日はやっぱり嫌、でも雨の日もちょっぴり好きかも」

(短編・完結)「北の関を死守せよ、野望は泡沫の夢と消えて」

をよろしくお願いします。

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