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ダンゴムシの記憶を持つ男の物語  作者: @000ーooo


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29.寄子の貴族の生徒を招いたパーティー1

 王国には領地持ちの貴族が、公爵家3つ、侯爵家3つ、辺境伯家1つ、伯爵家15、子爵家30、男爵家70ある。さらに領地を持たない法衣貴族が、伯爵家10、子爵家20、男爵家30ある。


 シュトラリュー辺境伯家は王国では名家である。公爵家や侯爵家には及ばないものの辺境伯家は伯爵家より序列は高い。そのため、王国での序列は第7位となる。当然辺境伯家にはその寄子も多い。伯爵家が1つ、子爵家が4つ、男爵家が10ある。このため辺境伯家で働く者は誇りを持っている。


 これまで年1回、領都で辺境伯家の寄子を集めたパーティーが開かれたが、ノルトマンは過去に1度だけしか出席したことがない。


 その時は、ただ座って寄子の貴族から挨拶を受けるときには問題がなかったのだが、子供たちだけになった時は、顔面蒼白で、子供から話しかけられるだけで気絶しそうな状態になった。


 子供も親から「ノルトマ様のスキルのことは聞かないように」と明言されているので、わざとその話は避けているのだが、それでも無駄だった。


 途中で失神して退席となった。それ以来その日が近づくとお腹が痛くなるようになって、派閥のパーティーには出ていない。


 今回ノルトマンが王都に出て来るにあたって、王都の伯爵邸の執事は領主であるノルトマンの母親より王都で寄子の学院の生徒を集めてのパーティーを開くように言われていた。これが難問である。事前に言えば当日ノルトマンは腹痛を訴えるかもしれない。


「母親がやっても無駄なことを執事に押し付けるな」と思ったが、雇われている身としては命令に従うしかない。それにこのままノルトマンが寄子の貴族と関わりを持たない様ではノルトマンが領主になった時に不安である。


 急遽王都の伯爵邸にパーティーの実行委員会が作られた。当然ノルトマンには秘密である。ノルトマンに知られたら当日は腹痛という名の病気になってしまう。委員会の委員は執事、メイド長それにクララとベルタである。


「それでは学院の生徒を集めたパーティーの実行委員会を始めます」

執事の挨拶で会議が始まった。

「まず、日の決定ですが、ベルタさん、学院の状況からいつがいいですか」

「これから準備を始めるとして、来月の初めぐらいが適当かと思います。その頃だとノルトマン様も学院生活に慣れて来ますので」


 もうお客さんである寄子の学院の生徒の予定は完全に無視である。とにかくノルトマンさえ出席すればパーティーは成立するのである。「パーティーを開いた」それだけで執事としてはノルトマンの母親から言われていた「パーティーを開催する」というノルマは果たすことになるである。内容はこの際考えないことにした。


「それでは来月の最初の休日にします。案内文は………」

と言って、執事は室内を見回して

「仕方がありませんね。私が作ります。それと出席者ですが、ベルタさん、学院にいる寄子の貴族は把握していますか」

「家名くらいは分かっていますが、その生徒が学院にどれだけいるかは分かっていません」

「ベルタさん、学院の事務室で調べることは出来ますか」

「その様なことが出来るのですか」

「ノルトマン様ならできると思うのですが。ノルトマン様にはパーティーを開催することを知られるわけにいきませんし、難しいですね」

「エルザさんに相談してもいいですか」

「エルザ公爵令嬢にですか」

「他に頼れる貴族がいないので」

「わかりました。許可します。ただし、エルザ様がいやそうな顔をしたらやめてくださいよ」

「わかりました」

「次は、ベルタさん、その案内状をその生徒に持って行ってもらえますか」

「はい分かりました」


「本当にベルタさんが学院に入学してよかった。もしベルタさんが居なかったらと思うと、ぞっとします」

「役に立ててうれしいです。奴隷だった私に家庭教師までつけて勉強させてくれたのですから、その御恩に報いるよう、今後も伯爵家のために尽くしていきます」

「ありがとうございます」


「次はパーティーの内容ですが、出来るだけノルトマン様に負担がかからないようにしたいと思います。そうしないと気絶してしまいますから。奇絶ならいいのですが、泣き出したりしたら困りますしね」


「ノルトマン様には最初の開会の挨拶だけにしてはどうですか」

「そうですね、それならノルトマン様でもできるでしょう」


「普通パーティーの主催者は入り口でパーティーの参加者を迎えるのですが」

「ノルトマン様には無理でしょうね」

「そうですね、それなら出席者名簿を作って、パーティーに来たら、そのまま席に付いてもらって、開会の挨拶の後順番に自己紹介をしてもらう。それでいいですか」

「そうなりますね、その後に自由に歓談、頃合いを見て閉会」

「これでいいですか」


「司会の進行は誰がします」

「執事しかないでしょうね。そうでなとノルトマン様が何かしでかしたときに対応できませんから」

「メイド長、料理と菓子の内容については適当なものを準備願います」

「それから、ベルタさんとクララは絶えずノルトマン様の様子に気を配ってください」

「今日はこれくらいで、あとまた何かありましたら協議しましょう」


 こうしてノルトマンの知らない所でパーティーの開催が計画されたのであった。

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