30.寄子の貴族の生徒を招いたパーティー2
先日開かれた寄子の貴族の生徒を招いたパーティーの実行委員会で決まったことは次のような内容である。
1.ノルトマン様には絶対に知られないようにする。
2.開催日は来月の最初の休日。
3.案内状は執事が書く。
4.寄子の貴族の生徒の名前はベルタが調べて名簿を作成する。その際エルザの協力を仰ぐ。
5.作成された案内状はベルタがノルトマン様に知られないように渡す。
6.ノルトマンのすることは最初の開会の挨拶だけとする。
7.パーティーの参加者は入り口で名簿をもらって決められた席に付く。
8.パーティーの参加者は開会の挨拶の後順番に自己紹介をする。
9.司会は執事がする。
10.料理と菓子の手配はメイド長がする。
11.ベルタとクララは絶えずノルトマンの様子に気を配る。
以上である。
執事は、内容を書き留めた後、漏れがないか確認してみた。そこでふと気が付いた。もしパーティーの参加者が土産などを持ってきてノルトマン様に渡したら、ノルトマン様は舞い上がってしまって気絶するかもしれない。
そこで執事は案内状に、内輪のパーティーなので土産は絶対に不要、服装も気楽な服装にすることと記載することにした。
そして、案内状の最後には「パーティーの開催はくれぐれもノルトマン様に知られないように、そして当日はノルトマン様を刺激するようなことは絶対にしないで下さいと」書き添えることにした。
ベルタは会議の次の日、エルザに「手伝ってほしいことがある」と打ち明けた。ノルトマンと一緒になるとパーティーの開催がばれるので、密かに紙に要件を記載して渡した。
すると次の休み時間にエルザがベルタのところにやって来た。Aクラスの公爵令嬢がCクラスに来るのである。ちょっとした騒ぎになったが、気にせずベルタはエルザの手を取って廊下へ連れだした。
そして
「この学院にいる寄子の生徒の名簿を作りたいのだけど、どうしたらいいと思う」
敢えてパーティーのことは言わない。若しエルザがしゃべると大変である。
すると、
「事務室に行くと生徒の名簿があるから、寄り親の貴族の生徒だと閲覧できる。私はそうやって、生徒を調べた。そして私に反抗的な寄子の生徒には制裁を加えてきた」
何とも過激な発言である。
「あなたもノルトマン様と一緒だったら調べられるわ」
「ノルトマン様が事務室に行くと思う」
「行かないでしょうね。それに何かするのでしょう。たぶんそれをノルトマン様は勘づくでしょうね。彼は引っ込み思案だけど、頭はいい。それに勘もいい」
「私が行ってあげる。放課後でいい。伯爵邸へは私の馬車で送ってあげる」
「ありがとうございます」
「いいわよ。昔一緒にいた仲だからね」
そうやってエルザの協力を取り付けると、ベルタは「夕方は用事があるので先に帰ってほしい。帰りは友達に送ってもらう」とノルトマンに伝えた。
ノルトマンが何か勘づかないか、ひやひやだったが、ノルトマンは別に気にした様子がないのでほっとした。
そして放課後ベルタはエルザと一緒に事務室に行った。事務室に行くと、事務官は最初ベルタの顔を見て横柄な態度をとったが、後ろにエルザがいるのを知ると、急に丁寧な態度になった。そして「名簿は閲覧終了後返してもらえばいい」と事務的な言葉になった。
名簿は派閥のパーティー用に作られた物でクラスの生徒の名前が学年ごとAクラスから順に名前が記載されていた。ベルタは名簿を見ながら、寄子の貴族の生徒の学年とクラスと名前を書き写していった。
ベルタは寄子の貴族の生徒の名前を書き写し作業が終わると、その名簿を事務官に返した。帰りは公爵家の馬車で伯爵邸まで送ってもらった。帰りの馬車で
「辺境伯でも寄子の生徒を集めたパーティーをするのでしょう」
「はい。でもノルトマン様には内緒ですよ」
「分かっているわ。でも彼、勘がいいから、多分気づくと思うわよ。その時はどうするの」
「分かりません。その時はひっぱたいてでもパーティーに出席させます」
「面白そうだから私も行っていい」
「執事に聞いてみます。たぶん断らないと思うけど、パーティーをぶち壊さないでくださいよ」
「分かっている。ノルトマン様の優柔不断は私も分かっているつもりだから協力はするわ」
こうしてパーティーにはエルザ公爵令嬢の出席も決まったのであった。




