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ダンゴムシの記憶を持つ男の物語  作者: @000ーooo


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19/21

19.エルザの生まれ

 ノルトマンとクララとベルタとエルザが家庭教師から授業を受けている時に、メイドが教室に呼びに来た。理由は「伯爵邸にフライスデン公爵家から一人の使いがやって来て、エルザを見たいと言う。理由は言ってくれない。母はエルザを隠す理由もないと言うことでエルザを紹介することにした」とのことであった。


 気になるので、みんなで一緒に行った。部屋に入ると、公爵家の使いはエルザの顔を見ると驚いたような顔をした。


 そして

「エルザのお父さんのことを聞きたい」

すると、エルザは母の顔を見た。


 母は

「別にエルザのお父さんがどんな人でも私たちには関係がないので、喋ればいい。ただ言いたくないのであれば言わなくてもいい。私たちに聞かれて都合が悪いのなら席を外す」


 するとエルザは

「伯爵家の皆さんも席を外さなくてもいい。私は父と2人暮らしだった。母は私が小さい時に亡くなった。父は冒険者をしていた。父はハンスと名乗っていた。時々間違えることもあったので本名でないかもしれない。自分の生まれを言わなかったので父の生まれは知らない。ただよく母のことをしゃべっていた。父と母はここよりずっと南の地方の生まれだと言っていた。それ以上のことは知らない」

「文字の読み書きは誰に習ったのですか」

「文字の読み書きは父に教わった。父は難しい文字も読めた。ただ、私が小さかったのであまり難しいことは教わっていない。貴族の教養などの難しいことはこの伯爵邸にきてから教わっている」

「何か父の持ち物はありますか」

「父が持っていたペンダントがあります」

「ほかには」

「父が死んで私が奴隷に売られるときにすべて取りあげられたのでペンダント以外にはない」

「そのペンダントを見せてもらえますか」


 するとエルザは首にかけていたペンダントを外してその使いの人に渡した。そのペンダントを見て

「間違いない、これは旦那様がアインハルト坊っちゃんに渡したペンダントだ。エルザさんあなたはフライスデン公爵の孫です」


 衝撃の事実発覚、奴隷だと思っていたエルザは貴族、それも公爵令嬢である。皆があっけに取られた。


 その使いは

「すぐにエルザ様を公爵家へ連れて帰りたい」

と言い出したが母が待ったをかけた。

「エルザさんを連れて帰りたいとおっしゃっても、エルザさんの父親が家を出た経緯もあるでしょう。それを聞かないうちはエルザさんを伯爵家から出すわけにはいきません」

すると、その使いは顔を真っ赤にして

「公爵家にたてつくのか」

と言い出した。威嚇である。


 ノルトマンはそっと、エルザの耳元で

「あの男に鑑定をかけてみて、何かわかるかもしれない」

するとエルザはその男に鑑定をかけた。そして、

「あなたが、公爵家の使いだと言う証拠を見せてください。それに、お祖父さんが私を引き取りたいと言うなら、まずお祖父さんが父に謝罪してからにして下さい」

これにはその男もびっくりしたようである。

「証拠は、」

と言って黙り込んでしまった。


 結局、その使いは伯爵邸から追い返された。


 男が帰ってからエルザが

「あの男は公爵家の親戚の者です。私を引き取ってその後見人として公爵家に乗り込もうとしたようです」

と言い出した。

「鑑定ではそのようなことまでわかるの」

「はい分かりました。これだけ正確に分かるとは思いませんでした」


 すぐに、フライスデン公爵家に使いが送られた。


 その後1か月ぐらいして、フライスデン公爵とその夫人が伯爵邸にやって来た。そしてエルザを交えて話し合いが持たれた。話し合いの結果、エルザは公爵家に引き取られることになった。そして、エルザの案内でフライスデン公爵とその夫人はエルザの父と母が眠っている墓地を訪れた。そして墓標の前で涙を流した。


 今日フライスデン公爵とその夫人に連れられて、エルザは伯爵邸を出て行く。ノルトマンはダンジョンの宝箱から出てきたマジックバッグを餞別だと言ってエルザに渡した。


 玄関で見送ると、エルザは

「この伯爵邸ではよくしてもらった。私の第2の故郷です。皆さんお元気で、それからノルトマン様、あまり泣かないように。ノルトマン様が泣くと『私たちが泣かした』と言われて、私たちが怒られます」

と言われた。


 今まで一緒にいた人がいなくなるというのはさみしいものだ。しばらくはぽっかり穴が開いたようだった。

 ここまでお読みいただいてありがとうございます。

 続けてこの後7:40にこの作品「ダンゴムシの記憶を持つ男の物語」の20話を公開したいと思います。

 今後とも私の小説

(連載中)「転生者とバグでない異世界人の物語」

(連載中)「牛乳とチーズは違う味がする(顔だけ男の気ままな旅)」

(完結)「マリーの思い家族の思いそして祠がつなぐもの」

(完結)「泡沫の恋の行方と花時計の思い」

(完結)「帝国皇女の憂鬱(前世の夫の生まれ変わりを捕まえろ)」

(短編・完結)「妖精に成れなかったダンゴムシの物語」

(短編・完結)「真冬の祭りそして祠がつなぐもの」

(短編・完結)「雨の日は嫌い、雨の日はやっぱり嫌、でも雨の日もちょっぴり好きかも」

(短編・完結)「北の関を死守せよ、野望は泡沫の夢と消えて」

をよろしくお願いします。

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