17.ポーション工場の立ち上げ
伯爵邸に帰って、今日昼間に森で作ったポーションをエルザに鑑定してもらった。すると
「このポーション、害はないわ。飲んでも問題ないわ」
冷たい鑑定結果である。
エルザは冷たい。相手を喜ばすという感情はないようである。ご主人様が期待を持った目で見ているのだからもう少し何か喜ばす表現があってもいいのだけれどそのようなことは一言も言わない。
がっくりとうなだれて。
「何か改良できることはないかな」
「そうね、美肌効果のある薬草でも入れれば、美肌効果が出るかもしれない」
そう言われてマジックバッグからこれまで取った薬草を順に並べていった。すると、その中からいくつかの薬草を選んでくれた。
善は急げ。ノルトマンはすぐにそれらの薬草を用いてまたポーション作りを始めた。そして、出来たポーションを再度エルザに鑑定してもらった。すると
「そうね、美肌効果はあるようだけど、効果は限定的ね」
頭に来たので今度はそれらの材料を異空間に入れてこれでもかというほど魔力を込めた。そして出来たポーションを再度エルザに鑑定してもらうと
「美肌効果が出たようね」
合格である。しかし、
「今ノルトマン様はどこでこのポーションを作ったのですか、薬草が消えてポーションが出てきたように思ったのですが」
しまった。異空間は秘密だ。そこで
「マジックバッグの中で作った。このマジックバッグはダンジョンで出た宝物だ。こんな使い方もできる。ただし、このことは内緒だぞ」
そう言ってごまかした。
その後も美肌効果のポーションをいっぱい作った。そしてそれを母上のところに持っていった。
「これ今日僕が作ったポーション。エルザに鑑定してもらったら、美肌効果があるみたい。最初作った時は効果が小さかったので、エルザに薬草を選んでもらったら効果のある物が出来た。100本あるので、これを母上に上げる」
そう言うと母はノルトマンを抱きしめて、
「さすが私の息子。こんなすごい物を作れるなんて。これはすぐに工場を作って大々的に生産しましょう」
そう言って、執事に工場の建設を指示した。
6歳の息子が気まぐれで作ったポーションを工場まで建設して作ると言う母の息子への溺愛、大丈夫かなと思ってしまう。
それから3か月ぐらいして工場が出来た。薬草も森で作るだけでは不足するので、畑で作ることが奨励された。そして薬師を雇ってポーションの生産が開始されたが、このポーションとにかく製造には膨大な魔力が必要とされた。
不足する魔力はノルトマンが空魔石に魔力を込めて工場に届けることになった。ノルトマンの魔力量が伯爵家随一なことは母も執事も承知していた。またエルザも時々駆り出されてポーションの品質チェックをすることになった。
このポーションは最初伯爵領の商会に卸された。伯爵家が開発したポーションということで、伯爵領では人気であった。その後は王都の商会にも卸されるようになった。しかし、王都での人気はいまいちであった。しかし、このようなポーションは一度使いだすとやめられない。「やめると肌が荒れるかもしれない」と思うとやめられない。上手く女性心理を突いた商品であった。そのため王都の売れ行きも徐々に増えていった。
その後もエルザの指示のもと、加える薬草に少しずつ改良がくわえられポーションの品質も向上していった。すると最初のポーションの名前は美肌効果のあるポーションであったのが、今は美肌効果のあるポーションNO.2となった。当然販売価格も上がった。
奴隷3人娘も、今まではノルトマンと一緒に勉強しかしていなかったが、この工場の立ち上げにより、工場の仕事にも関与するようになった。
エルザは出来たポーションの品質チェック、ベルタは計算のスキルを活かして、細かい計算の補助をするようになった。クララにはこれと言った仕事はなかったが、いつも3人一緒にいるので何かしら仕事はさせられているようである。
こうして奴隷3人娘の評価が、遊んでばかりいる奴隷から有能な奴隷に変わった。
ここまでお読みいただいてありがとうございます。
続けてこの後7:20、7:30、7:40にこの作品「ダンゴムシの記憶を持つ男の物語」の18話から20話を公開したいと思います。
今後とも私の小説
(連載中)「転生者とバグでない異世界人の物語」
(連載中)「牛乳とチーズは違う味がする(顔だけ男の気ままな旅)」
(完結)「マリーの思い家族の思いそして祠がつなぐもの」
(完結)「泡沫の恋の行方と花時計の思い」
(完結)「帝国皇女の憂鬱(前世の夫の生まれ変わりを捕まえろ)」
(短編・完結)「妖精に成れなかったダンゴムシの物語」
(短編・完結)「真冬の祭りそして祠がつなぐもの」
(短編・完結)「雨の日は嫌い、雨の日はやっぱり嫌、でも雨の日もちょっぴり好きかも」
(短編・完結)「北の関を死守せよ、野望は泡沫の夢と消えて」
をよろしくお願いします。




