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ダンゴムシの記憶を持つ男の物語  作者: @000ーooo


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16/22

16.ポーション作り

 ダンゴムシ語による魔法はノルトマンの場合、人間語の詠唱よりも何倍も効果があることが分かった。その後はこれまで通り夜に自分の異空間で魔法の練習をすることにした。


 なお、あれからはゴブリンの出た領都の西の森には行かせてもらっていない。護衛達があそこは危険だと言ってきかない。仕方がないので、領都のすぐ近くの超安全な森で薬草採取をしている。ここには魔獣は1匹もいない。薬草採取しかすることがないのである。


 朝から1日中薬草採取をしているとそのうち飽きてくる。暇である。ダンゴムシ語の魔法を試すにも相手がいないと張り合いがない。それにここは初心者の冒険者がたくさんいて魔法など放とうものなら誰かに当たってしまう。


 暇なので、採取した薬草でポーションを作ってみることにした。ポーションの作り方は伯爵邸の図書館にあった本に書いてあった。


 採取した薬草を刻んで鍋にかけて、魔力を込めながらかき回す。入れる薬草の種類によっても効果が違うと書いてあった。適当に取った薬草を刻んで鍋に入れた。ノルトマンは火魔法も水魔法も使えるので、水は魔法で出した。火も魔法で出している。とにかく魔力はほぼ無尽蔵にある、こんな所で出し惜しみする必要はない。


 すると奴隷のルナとレムが近寄ってきて

「ノルトマン様は、火魔法も水魔法を使えるのですね、それにこれだけ連続して魔法を使って魔力はもつのですか」

と聞いてきた。

「これくらいは余裕だ。ちゃぽんとも言わない」

と答えた。


 そしてやっとポーションが出来た。出来たポーションの効果を試してみたい。家に帰れば鑑定の出来るエルザがいるが、エルザの鑑定は秘密である。


 鑑定が出来る人間がいると分かると攫われる恐れが出てくる。だからこのことを知っているのは母と執事とノルトマンそれに一緒にスキル授け儀式を受けた奴隷3人組だけである。彼女たちにはこのスキルは口外厳禁と命じてある。


 そこで、おれはマイクを見た。すると危機感を覚えたのかマイクが目をそむけた。そんなマイクの態度には構わず

「おいマイク、このポーションの効果を試してみろ」

「今坊っちゃんが作ったポーションは何に効くのですか」

「わからん。ここで採取した薬草を適当にポーションにした。何に効くか分からないからお前で試してみることにした。お前、何か具合の悪いところはないか」

「具合ですか、足に水虫が出来てかゆいです」

「そうか、それはよかった。おい靴を脱いで足を出せ。このポーションをかけるぞ、水虫に効くかもしれない」


 主人に命令されてマイクはしぶしぶ靴を脱いで足を出した。そこに今作ったポーションをかけた。するとマイクが

「しみる」

と言い出した。

「こら、感想はそれだけか、ほかにないのか、足のかゆみが治まったとかはないのか」

「そんなにすぐ効くようなポーションなんてありませんよ。それに坊っちゃんも言っていたじゃありませんか。何に効くか分からないと」

「使えないやつだな」


 そこで今度はほかの3人を見た。3人にも目をそらされた。頭に来たので

「そこの3人、今からこのポーションを1本ずつ飲んで、明日変わったことがないか報告しろ」

もう暴君である。こんな時奴隷はかわいそうである。主人に命令されればそれに従うしかない。

「このポーション、毒じゃありませんよね」

「当たり前だ。入れたのは薬草だけだ。毒のある物は入れていない。害はないはずだ。たぶん」

「たぶんですか。絶対安全とは言わないのですね」

「たぶんだ。俺も初めて作るのでそれ以上は分からない」

3人はずいぶん躊躇していたが、最終的にはそのポーションを1本ずつ飲んだ。


 俺は気をよくして、それから夕方までポーション作りに明け暮れた。夕方になったのでギルドに戻って、いつもは薬草だけ納品するのだが、今日はポーションも納品した。


 ギルドの受付嬢が

「これは誰が作ったのですか」

「俺が作った。薬草採取だけでは物足らない。森で採取した薬草で作った」


 すると「鑑定の出来る者を連れてくる」と言って席を外した。しばらくして年を取ったおっさんが出てきた。そして俺の作ったポーションをしきりに見ている。

「このポーションは、傷に効きます。効果は小さいですが、小さな傷やかゆみには効くと思います。それから害になる物は入っていませんから健康にもいいと思いますよ。ただこれは気休め程度ですがね。値段は初級ポーションの低級ということで小銀貨5枚ぐらいですかね。それからノルトマン様は薬師の資格は持っていますか」

「もっていない。それがどうかしたか」

「薬師の資格がないとポーションを販売することはできません、自分や家族で用いるのは構いませんが、販売となるとできません」

「何か方法はないのか」

「ギルドを通してもらえれば、販売できます。しかし、1本、1本ギルドで鑑定をして効果を調べるのでその費用が購入価格から引かれます」

「鑑定料はいくらだ」

「1本小銀貨1枚です」

「わかった、それでいい」


 結局ポーションは100本だけ納品して、残りは俺の異空間に入れた。しかし、鑑定費用を引くと小銀貨5枚が小銀貨4枚になる。そして、金貨4枚もらった。この金は薬草代と一緒にギルドの口座に入れてもらった。


 ギルドを出ると、ミッシェルとルナとレムから

「よかった。あのポーション、害がなくて」

と言われた。俺の言葉は信用していなかったようだ。

ここまでお読みいただいてありがとうございます。

 今日はここまでです。明日は、今日と同じ時間7:10、7:20、7:30、7:40にこの作品「ダンゴムシの記憶を持つ男の物語」の17話から20話を公開したいと思います。

 今後とも私の小説

(連載中)「転生者とバグでない異世界人の物語」

(連載中)「牛乳とチーズは違う味がする(顔だけ男の気ままな旅)」

(完結)「マリーの思い家族の思いそして祠がつなぐもの」

(完結)「泡沫の恋の行方と花時計の思い」

(完結)「帝国皇女の憂鬱(前世の夫の生まれ変わりを捕まえろ)」

(短編・完結)「妖精に成れなかったダンゴムシの物語」

(短編・完結)「真冬の祭りそして祠がつなぐもの」

(短編・完結)「雨の日は嫌い、雨の日はやっぱり嫌、でも雨の日もちょっぴり好きかも」

(短編・完結)「北の関を死守せよ、野望は泡沫の夢と消えて」

をよろしくお願いします。

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