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ダンゴムシの記憶を持つ男の物語  作者: @000ーooo


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15/26

15.ダンゴムシ語の魔法の効果

 それから何日かはおとなしくいつもの超安全な森で薬草採取に勤しんでいたが、だんだん飽きてきた。とにかくこの森には魔獣が1匹もいない。ホーンラビットさえもいない。いるのはネズミと小さな兎それに鳥ぐらいだ。


 そこで、この日は少し遠出をすることにした。領都の門を出て

「今日はいつもの森でなく、少し遠いところの森に行く」

そう言うと、護衛の奴隷たちが

「大丈夫なのですか、いつもの森は安全ですか、今度行く森はどうなのですか」

「今度行く森は領都の西の森だ」

「あそこは何回か行ったことがありますが、ゴブリンがいますよ」

「大丈夫だ。俺はダンジョンで鍛えた。ゴブリンやオークぐらいなら余裕で倒せる」

「そうなのですか、それぐらいなら問題ありませんね。私たちもゴブリンやオークなら余裕で倒せます」


 何とか奴隷の了解が得られたようである。それにしても奴隷の割にはかなり粘る。相当母上から言われているようである。こんなことなら奴隷を買うときに「俺の所有にしてもらえばよかった」と思った。


 1時間ほど歩くと西の森に着いた。この森はこれまで来ていた森より大きい。何といってもゴブリンだが魔獣がいる。薬草採取をしている冒険者も少ない。近くに冒険者が居なければダンゴムシ語の魔法も試してみることが出来る。


 まずは薬草採取、これをしないと後で母上のところに報告が行く。薬草採取をしながら、近くのダンゴムシにこのあたりに魔獣がいないか聞いてみる。小声で喋っているので護衛には聞こえていない。


 すると、この森にはゴブリンがいるそうだ。それとゴブリンの親玉みたいなものもいるそうだ。ゴブリンの親玉と聞いて詳しく聞きたかったが、さすがダンゴムシ。それ以上のことは知らないというか、分からないようである。ただ命令しているゴブリンと命令されているゴブリンがいるとしか言わない。どうしたものか迷ってしまう。


 この森は初めてということで、あまり深くには行かない方がいいようである。もしここで危険なことをするともうこの森には行かしてもらえなくなる。


 森の浅いところで薬草採取をしていると

「キャー」

森の奥から悲鳴が聞こえてきた。


 すると護衛達が俺の側に駆け寄って、周りを警戒し始めた。そして、

「坊っちゃん、すぐにここを離れましょう。何かあったのかもしれません」

確かにこの判断は正しい。俺はFランクの冒険者、悲鳴を聞いて助けに行っても足手まといになるだけだ。それに奴隷は俺の護衛であって、冒険者ではない。正確には元冒険者である。今は冒険者登録もしていない。


 俺は護衛の言葉に従って、森を離れた。森を出て草原まで来た時、後ろから女の人が走って逃げてきた。それを追ってゴブリンたちが走って来る。


「ダンゴムシ語の魔法を試すときは今だ」と思って、俺は振り返ることなくダンゴムシ語で「追ってくるゴブリンたちを貫け、氷の矢10本」と詠唱した。すると、氷の矢が10本真っ直ぐゴブリンに向って行った。そして、そのままゴブリンを貫いた。


 すると今度は森の奥から炎の矢が飛んできた。ノルトマンはとっさに炎の矢を避けると、森の奥の炎の矢が飛んできた方向に、これでもかというぐらいの魔力を込めてダンゴムシ語で「先ほどの魔法を放ったものを切り裂け、風の刃」と唱えた。すると、ものすごい勢いで風の刃が飛んで行った。その風の刃は途中の草や木を避けながら森の奥に向って行った。そして、森の奥から「ギャー」というゴブリンの声が聞こえてきた。


 しばらくすると逃げてきた女の人がノルトマンたちのところまで駆けよってきた。そして後ろを振り返って、ゴブリンたちが追ってこないことを確認すると、

「助けていただいてありがとうございます。でもあの奥には私の仲間がいるのですが、助けてくれませんか」

と言い出した。そこで俺は冒険者の登録証を見せた。Fランクの登録証である。

「私はFランク、行けば足手まといになる。他を当たってくれ」

「Fランク、でも先ほどの魔法はあなたが放ったのではないのですか」

「魔法?分からない」

俺はとぼけた。面倒ごとは御免である。魔法を放つときも後ろは見ていない。それに俺はダンゴムシ語で詠唱しているので、護衛達にも分からないはずである。


 するとその女の人は護衛達に聞きだしたが、「誰も魔法は放っていない」と言われてがっくりしていた。しかし、1人で行くのは嫌そうで、俺たちに来てほしそうにしていたので、俺は再度冒険者を見せた。すると、がっくりうなだれていた。


 こうしてノルトマンのダンゴムシ語による魔法の行使は十分な成果を上げた。人間の言葉で詠唱した時の何倍もの効果がある。それに、ノルトマンの異空間でしている魔法とも遜色のないことが確かめられた。つまりノルトマンの場合、人間の言葉で詠唱するよりもダンゴムシ語で詠唱した方が魔法の威力が大きいことか確かめられたのである。そしてそれは異空間でも確かめられるということである。

 ここまでお読みいただいてありがとうございます。

 続けてこの後7:40にこの作品「ダンゴムシの記憶を持つ男の物語」の16話を公開したいと思います。

 今後とも私の小説

(連載中)「転生者とバグでない異世界人の物語」

(連載中)「牛乳とチーズは違う味がする(顔だけ男の気ままな旅)」

(完結)「マリーの思い家族の思いそして祠がつなぐもの」

(完結)「泡沫の恋の行方と花時計の思い」

(完結)「帝国皇女の憂鬱(前世の夫の生まれ変わりを捕まえろ)」

(短編・完結)「妖精に成れなかったダンゴムシの物語」

(短編・完結)「真冬の祭りそして祠がつなぐもの」

(短編・完結)「雨の日は嫌い、雨の日はやっぱり嫌、でも雨の日もちょっぴり好きかも」

(短編・完結)「北の関を死守せよ、野望は泡沫の夢と消えて」

をよろしくお願いします。

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