14.冒険者活動開始
今日は念願の冒険者活動初日である。伯爵邸を出て冒険者ギルドに行く。従うはこの間買った奴隷4人である。名前は男がマイクとミッシェル、女がルナとレムである。冒険者ギルドは伯爵邸から近い。町の中心部にある。歩いて5分もかからない。すぐについた。
マイクに連れられて受付のところへ行った。すると受付嬢が
「マイクさん奴隷落ちしたと聞いたけど、この子が新しいご主人ですか」
「そうだ、この地の領主の息子のノルトマン様だ」
領主の息子と聞いて、周りの者が驚いている。「貴族とは関わりたくない」と、席を離れる者もいるが、貴族が気になるようで目線は受付に固定されている。
「僕はノルトマン6歳、冒険者登録をしたい」
そう言うと受付嬢が1枚の用紙を出してきて
「これに名前と住所、それに得意なことを書いてくれるかな、書きたくないことは書かなくていいから」
「わかりました」
そして受け取った用紙に必要な事を書いていった。スキルの欄はもちろん空欄である。そして受付嬢に提出した。ノルトマンが出した用紙を受け取った受付嬢は
「これで登録は完了です。最初はFランクです。これがタグなので無くさないように」
と言って、黒い札をくれた。
受付嬢が
「冒険者の説明を聞きますか」
「いや要らない。説明はマイクから聞いた」
Fランクでできる依頼は薬草採取か町中の掃除くらいだ。掲示板は見ずに町の外へ出ることにした。町の城門のところで先ほどもらった冒険者のタグを見せると、門番が
「坊っちゃん、今日から冒険者活動ですか」
「そうだ、冒険者1日目だ」
門番も伯爵家の家来、さすがに領主の息子の顔ぐらいは知っているようだ。
「門は夕方閉まりますので、それまでに戻ってきてくださいよ」
「わかった」
門を出て橋を渡ってしばらく行くと小さな湖があった。その湖の西側にこんもりした森が広がっている。初心者定番の薬草の採取場所だそうだ。さすがにこんな小さな森では強い魔獣はいない。辺りには初心者の冒険者が大勢いる。これではダンゴムシ語の魔法を試してみるわけにはいかない。母と執事がすんなりノルトマンが伯爵邸を出るのを許してくれたはずだ。
愚痴を言っても仕方がないし、奴隷のマイクやミッシェルそれにルナとレムが主人である母の言いつけにそむけるはずもない。
ノルトマンは今日はここで薬草採取をすることにした。薬草はよくわからない。しかし、草の影にいるダンゴムシに聞くと野草のありかを教えてくれる。
さすが森の住人、どこに薬草があるかよく知っている。若し薬草によく似た雑草を取ろうとすると「それは雑草」と教えてくれる。「ダンゴムシ語理解」も悪くないなと思った。
ノルトマンが素早く薬草を採取していくので護衛のマイクたちは驚いた。冒険者活動は「貴族のお遊び」だと思っていたのが、的確に薬草だけ採取していく。たいしたものだと思った。
奴隷に落ちた時はどうなるかと思ったが、いいご主人に買われたと思った。伯爵邸では衣食住は保証される。仕事はご主人様の息子のお守り、正直言って楽な仕事である。
それにこの息子、割と優しい。「あれをしろ、これをしろ」とは言わない。さすがに「そのダンゴムシを踏まないで」と言われた時は「この軟弱者が」と思ったが、虫も殺さない御主人というのもいいものである。
その日は夕方まで薬草採取をして冒険者ギルドに戻った、受付で今日取ってきた薬草を出すと、あまりの量の多さに驚かれた。受付嬢が
「マイクさんたちにも手伝ってもらったのですか」
「いや、僕が採取した分、マイクさんたちは僕の護衛、手を出さないでと言った」
これには受付嬢があきれていた。
その日の収穫は銀貨5枚、これがノルトマンが最初の冒険者活動で稼いだお金であった。
ここまでお読みいただいてありがとうございます。
続けてこの後7:30、7:40にこの作品「ダンゴムシの記憶を持つ男の物語」の15話と16話を公開したいと思います。
今後とも私の小説
(連載中)「転生者とバグでない異世界人の物語」
(連載中)「牛乳とチーズは違う味がする(顔だけ男の気ままな旅)」
(完結)「マリーの思い家族の思いそして祠がつなぐもの」
(完結)「泡沫の恋の行方と花時計の思い」
(完結)「帝国皇女の憂鬱(前世の夫の生まれ変わりを捕まえろ)」
(短編・完結)「妖精に成れなかったダンゴムシの物語」
(短編・完結)「真冬の祭りそして祠がつなぐもの」
(短編・完結)「雨の日は嫌い、雨の日はやっぱり嫌、でも雨の日もちょっぴり好きかも」
(短編・完結)「北の関を死守せよ、野望は泡沫の夢と消えて」
をよろしくお願いします。




