13.奴隷の少女の扱い
奴隷商のところで購入した奴隷の少女3人をどうするか。この扱いはノルトマンに任された。母と執事は忙しいようである。ノルトマンには専属メイドはいなかったので、とりあえずこの3人を専属メイドにすることになった。
伯爵邸に帰って、メイドに3人を風呂に入れてもらって適当なメイド服を着せてもらった。風呂に入って体を清潔にしてメイド服を着ると3人ともそれなりに見える。
クララは色は黒いが利発そうな顔をしている。ベルタは奴隷商の話では不器用ということだったが文字の読み書きができるのだから頭はいいはずである。エルザはよくわからない。3人の中では顔は一番いいが、とにかく何を聞いても、ほとんど答えない。いつも無表情である。
そして驚いたことに3人ともスキル授けの儀式を受けていないので、どんなスキルがあるか知らないというのである。これを母親に言うと
「あの神父には貸しがあるから、すぐに教会へ行ってスキル授けの儀式をしてもらう」
と言い出した。
いまだに母は本来公にしてはならないノルトマンのスキルを「あの神父がみんなの前でばらしたこと」を根に持っているようである。
「神父へのお布施など不要」
と言っている始末である。
そのあとすぐに教会へ行った。神父もすぐに対応してくれた。教会にはノルトマンたち以外に人はいない。もうVIP待遇である。どれだけ神父が母を恐れているか分かる。
「クララのスキルは生活魔法です」
「ベルタのスキルは計算です」
「エルザのスキルは鑑定です」
神父の「鑑定」と言う言葉に、母と執事は絶句している。すごく有能なスキルである。こんな人間が伯爵家に居れば将来伯爵家が騙されておかしなものをつかまされることがない。また、ベルタの「計算」も有用である。
母は満足したのか最初は「払わない」と言っていたお布施を神父に払っている。そして
「わかっているでしょうね、今度、このスキルを他にばらしたら、この教会がどうなるかを」
「分かっています。今度は絶対にばらしません。神に誓います」
「今の言葉、うそじゃないわね、神に誓ったのだから、ばらせば、あなた、神にも見放されるわよ」
「よく知っております。絶対にばらしません。今日のことは忘れます」
中々母の神父への詰問が終わらない。いまだに根に持っているようである。神父は母が何か言うたびに背中がピクンと波うち、額から冷や汗を流している。
こうして奴隷の少女3人のスキル授けの儀式は終わった。3人とも有能なスキルを持っているということで、3人ともノルトマンの専属メイドとなった。
ノルトマンに3人の専属メイドが出来たのであるが、今まで自分のスキルが「ダンゴムシ語理解」ということで他との触れ合いを極力避けてきたノルトマンは、自分のことは自分でできる。
差し当たってすることもないので、3人にはノルトマンと一緒に家庭教師の勉強をしてもらうことにした。これはノルトマンが希望したことである。家庭教師とマンツーマンでは息が詰まる。隣に同じくらいの子がいると気が休まるというのである。
こうして同じように家庭教師の授業を受け出したのであるが、ノルトマンの授業はずいぶん先に進んでいる。いきなり途中から参加したのでは付いていけない。そこで席は隣でも内容は初歩からとなった。そしてノルトマンが午後騎士団に交じって剣術や魔術の訓練を受けている時にも彼女たちの講義が行われることになった。
これには伯爵家で働く者が不思議に思う節があったが、「ノルトマンの専属メイドにはそれなりの教養が要る」と言って、伯爵家で働く者には説明した。ノルトマンが変わっていて専属メイドがつけられなかったこともあって、この説明は伯爵家の者にも受け入れられた。
ここまでお読みいただいてありがとうございます。
続けてこの後7:20、7:30、7:40にこの作品「ダンゴムシの記憶を持つ男の物語」の14話から16話を公開したいと思います。
今後とも私の小説
(連載中)「転生者とバグでない異世界人の物語」
(連載中)「牛乳とチーズは違う味がする(顔だけ男の気ままな旅)」
(完結)「マリーの思い家族の思いそして祠がつなぐもの」
(完結)「泡沫の恋の行方と花時計の思い」
(完結)「帝国皇女の憂鬱(前世の夫の生まれ変わりを捕まえろ)」
(短編・完結)「妖精に成れなかったダンゴムシの物語」
(短編・完結)「真冬の祭りそして祠がつなぐもの」
(短編・完結)「雨の日は嫌い、雨の日はやっぱり嫌、でも雨の日もちょっぴり好きかも」
(短編・完結)「北の関を死守せよ、野望は泡沫の夢と消えて」
をよろしくお願いします。




