新学期
こんばんは!
千早くんが転校してきて新学期が始まります!
これからもどうぞよろしくお願いします!
第三十話 新学期
長かった夏休みも終わり、今日から新学期が始まる。
「眠い……。」
私は小さくあくびをしながら制服に袖を通した。
久しぶりの早起き。
まだ夏の暑さは残っているけれど、どこか風は秋に近づいている気がした。
「行ってきます!」
「行ってらっしゃい。」
家を出ると、待ち合わせ場所には湊が立っていた。
「おはよう。」
「おはよう。」
海へ行った日から、湊を見るたびに少しだけ胸が高鳴る。
だけど、その気持ちはまだ誰にも言えない。
「おーい!」
陸と玲央もやって来て、四人で学校へ向かった。
⸻
始業式が終わり、教室へ戻る。
「夏休み、あっという間だったね。」
「宿題終わった?」
そんな会話があちこちから聞こえてくる。
ガラッ。
教室の扉が開いた。
「おはようございます。」
先生の後ろには、千早が立っていた。
「今日から本格的にみんなと学校生活を送ることになります。仲良くしてあげてください。」
「よろしくお願いします。」
教室から拍手が起こる。
千早は軽く頭を下げると、先生に案内された席へ向かった。
偶然にも、その席は湊の斜め後ろだった。
「近いじゃん。」
陸が小さく笑う。
「よろしく。」
湊が振り返ると、千早も穏やかに笑った。
「こちらこそ。」
休み時間になると、陸が真っ先に千早の席へ向かう。
「千早! サッカー好き?」
「見るのもやるのも好きだよ。」
「マジ!?」
「今度一緒にやろうぜ!」
「いいよ。」
あっという間に打ち解ける二人を見て、伊吹は思わず笑った。
「陸って、本当に誰とでも仲良くなれるよね。」
「それが陸のいいところ。」
玲央も笑う。
そんな四人のやり取りを見ながら、千早はどこか嬉しそうだった。
「伊吹。」
「ん?」
「学校でも、ちゃんと笑ってるんだね。」
その言葉に、伊吹は少し首をかしげる。
「どういうこと?」
「昔と変わってなくて安心した。」
そう言って笑う千早。
その何気ない会話を、湊は静かに聞いていた。
知らない伊吹。
知らない思い出。
でも、それを羨ましいと思う自分がいる。
「湊?」
「……え?」
「次、移動教室だよ。」
伊吹に声をかけられ、慌てて立ち上がる。
「悪い。」
「珍しいね。ぼーっとしてるなんて。」
そう言って笑う伊吹。
その笑顔を見つめながら、湊は心の中で小さくつぶやいた。
――俺は、もっと伊吹のことを知りたい。
その想いは、少しずつ確かなものへと変わり始めていた。




