君のひと言
こんにちは!
最近は書くのが楽しくなってどんどんあげちゃってますがこれからも眠り姫をよろしくお願いいたします!
それではepisode25お楽しみください。
更衣室の扉を開くと、夏の日差しが眩しく差し込んできた。
「おーい! 伊吹!」
先に着替え終わっていた陸が、大きく手を振る。
「ごめん、お待たせ!」
そう言って三人の方へ歩いていくと、陸が一瞬だけ目を丸くした。
「……。」
「え、なに?」
「いや、なんでも。」
照れくさそうに視線をそらし、頭をかく陸。
その反応が少しおかしくて、私は思わず笑ってしまった。
「似合ってるじゃん。」
玲央がさらっと言う。
「ありがとう。」
自然に褒められると、少しだけ照れくさい。
そして最後に、湊と目が合った。
「……。」
なぜか何も言わない。
「な、なに?」
思わず聞き返すと、湊は少しだけ困ったように笑った。
「……似合ってる。」
たったそれだけ。
なのに胸がどきりと鳴る。
「……ありがと。」
小さく返事をすると、湊は照れ隠しをするように海の方へ歩き出した。
「よし! 泳ぐぞー!」
陸が勢いよく走り出す。
「待って!」
四人で海へ向かう。
足元に冷たい波が押し寄せてきて、思わず声が漏れた。
「冷たっ!」
「伊吹、こっち!」
湊が笑いながら手を振る。
その瞬間。
「えいっ!」
陸が海水を思い切りかけてきた。
「きゃっ!」
「ははっ! 大成功!」
「もう、陸!」
私は両手ですくった海水を思い切り陸へかけ返す。
「うわっ!」
その様子を見て玲央まで笑い出した。
「玲央も!」
「え、ちょっ──」
気づけば四人で水を掛け合い、大笑いしていた。
子どもの頃と何も変わらない。
それなのに。
胸の中だけは、少しずつ変わっている。
ひとしきり遊んだあと、砂浜へ戻る。
「喉乾いたな。」
陸が自販機を指差した。
「飲み物買ってくる。」
「俺も行く。」
玲央も立ち上がる。
「伊吹たちは?」
「私はここで待ってる。」
そう答えると、湊も砂浜に座った。
二人きり。
波の音だけが静かに聞こえる。
「楽しい?」
湊が海を眺めたまま聞く。
「うん。すごく。」
「よかった。」
その優しい横顔に、また胸が熱くなる。
ふと風が吹き、私の麦わら帽子が砂浜を転がった。
「あっ!」
追いかけようと立ち上がる。
でも、その前に湊が走り出していた。
波打ち際で帽子を拾い、砂を払って私に差し出す。
「はい。」
「ありがとう。」
帽子を受け取る瞬間、指先が少しだけ触れた。
その一瞬だけで、心臓が大きく跳ねる。
「……顔、赤いけど大丈夫?」
「えっ!?」
思わず両手で頬を押さえる。
「もしかして日焼け?」
湊は何も気づいていないように笑った。
「そ、そうかも!」
慌てて答える私を見て、湊は小さく笑う。
「ちゃんと日焼け止め塗った?」
「……うん。」
「ならよかった。」
その優しさが、少しずつ私の心を満たしていく。
遠くから陸の声が聞こえた。
「おーい! 買ってきたぞー!」
二人が戻ってくる。
私は帽子をかぶり直し、小さく深呼吸をした。
この夏はきっと、忘れられない夏になる。
そんな予感がしていた。




