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夏祭りの約束

終業式まであと数日。


教室はすっかり夏休みムードだった。


授業中も。


休み時間も。


みんなの話題は夏休みの予定ばかり。


「海行きたい!」


「旅行行く!」


「花火大会あるよな!」


そんな声が飛び交う中。


私は窓際の席でぼんやり空を見ていた。


真っ青な空。


入道雲。


夏だ。


完全に夏が来ている。


「伊吹。」


名前を呼ばれ振り向く。


湊だった。


「なに?」


「夏祭り。」


「うん。」


「行くだろ?」


あまりにも当然みたいに言うから。


思わず笑ってしまう。


「行くと思う。」


「思うじゃなくて行く。」


「なんで決定なの。」


「毎年行ってる。」


確かに。


小さい頃から毎年一緒だった。


家族ぐるみで。


友達として。


幼なじみとして。


ずっと。


「今年も行こうぜ。」


湊が笑う。


その笑顔に。


なぜか少しだけ胸が高鳴った。


「……うん。」


私が頷いた時だった。


「勝手に決めるな。」


後ろから声がした。


陸だった。


「俺も行く。」


「誰も聞いてない。」


「聞かれなくても行く。」


「うるせぇな。」


二人が睨み合う。


いつものことだ。


なのに。


最近は少し違って見える。


「玲央は?」


私が聞く。


すると。


読んでいた本から顔を上げて玲央が言った。


「行く。」


「即答!?」


「毎年行ってるし。」


確かにその通りだった。


結局。


今年も四人で行くらしい。


放課後。


帰り道。


「浴衣着るの?」


玲央に聞かれる。


「たぶん。」


そう答えながら歩いていると。


前を歩く湊が振り返った。


「浴衣?」


「うん。」


「似合いそう。」


その一言で。


心臓が止まりそうになった。


「まだ着てないけど!?」


「でも似合うだろ。」


さらっと言う。


本当にずるい。


そういうところだ。


「顔赤い。」


隣から陸が言う。


「赤くない!」


「赤い。」


「赤くない!」


「赤い。」


「うるさい!」


恥ずかしい。


でも。


少しだけ嬉しかった。


夏祭りまであと二週間。


花火。


屋台。


浴衣。


そして。


幼なじみ四人の夏。


今年の夏は。


何かが変わる気がした。

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