募金
僕は今、外国人や観光客が行き交う京都駅で先輩を待っている。曇天にも関わらずひとが
これだけ人が多いといくら独特のオーラを放つ先輩と言えど見つけられるか不安だ。
「あ、センパイや。」余裕だった。先輩は何時ものように暗い服を身にゆっくりと此方に近づいてきた。
「やあおはようコージ殿。やってるかね。」と意味不明な挨拶をかました先輩とタクシーにて清水寺を目指す。
車内にて先輩が「見てたで。」と笑いかけてきた。いったい何を見ていたのか分からない。
「いや、カツアゲされてたやろ。」カツアゲとは物騒な言葉を使うもんだ。
事実、先輩との待ち合わせ中、僕は恵まれない貧しい国の子供に募金をした。僕が京都駅を降りるとすかさず海外の方が話しかけてきた。道を訪ねられたのかとイヤホンを取り対応してみるとその実、募金だったという話だ。確かに募金を集める側からすれば弱そうな僕に狙いをつけ撃ち落としたつもりかもしれないが、それでも此方としては悪い気はしていない。
だから僕は満足げに「募金ならしましたよ。」と胸を張る。
先輩は「アイツあの金でゴリゴリ君食べとったで。」と知りたくなかった情報をリークした。アンタにはウィキリークスも敵わないよ。気落ちすると同時、隣の先輩はケタケタと笑う。
「いや、嘘やで。」
「コージの後に私も募金したし。」 「それも千円。」心のモヤが晴れ、呼応するように窓からは太陽が差し込まれた。




