逆上がり
「遅いやんか。」と手招きで先輩が急かす。その横の少年も一緒になって急かす。「逆上がり、逆上がり。」
はいはいと生返事をし足早にベンチへ向かう。
そこにはやはりニヤついた先輩が居た。とりあえず駆け付け一服と煙草を取り出すと鋭い眼光に釘付けにされた。「まだ、子供には刺激が強いやろ。」
茶化しつつもやんわりと子供を気遣う辺りが先輩らしい。
「君はなんで逆上がりをやりたいの。」そう言って切り出し、幾らかの問いかけで背景が見えてきた。どうやらこの少年は逆上がりが出来ないことで疎外感を感じている様だ。別に虐められている訳でも友達が居ない訳でもない。
子供だからと舐めていたが、この多感な時期に感じる周りの子供たちが創る世界の縁に立っている感覚。そこから一歩踏み出そうという感情。誰しもが成長するにつれ、個性として容認することを覚え、挑戦する感情を忘れることが往々にしてある。しかし、挑むことを忘れれば成長もまた忘れてしまう。だからこれはすごく大切だ。我ながら応援したい。
「ソウタ、やるか。」そう声を掛けるとソウタはえらく気合いの入った鋭い目で「お願いします。」と頭を下げた。
タイトルが長いものが読まれる傾向にあるという持論より長めの意味不明なタイトルにしましたが、ササクレストだけにしようかと悩んでいます。とてつもなく格好がつかないタイトルなので。そのうち予告なしでササクレストだけになるかもしれません。




