幕開け
「流石に人数が多すぎますね……」
混沌とした戦場を城壁から見下ろすR。
各地点ではそれぞれの幹部たちによる戦いや軍隊同士の戦いが繰り広げられていた。
「レミ!左側だにゃ!」
ミケと共に雑魚敵を蹴散らしながら防衛ラインをキープするレミ。
レミ達の戦ってる場所は崖の近くに広がる荒野。
崖上のどこかからか飛んでくるクロネの攻撃を避けつつ雑魚敵の処理をする。
クロネの弓は当たれば相手を即座に眠りに落とす為なんとしてでも避けないといけない。
「今の弓矢全く気配を感じられなかったんですけど〜!?もしかしてベルさんのハンマーで気配を消す能力が付けられてましたかあれー!」
「そうみたいだにゃ!なんとか目視できたから気付けたけど避けつづけるのは無理だにゃ!」
クロネの弓ではなく矢にベルがハンマーで能力を付加しての攻撃。
クロネの居場所がわからないのもあるがベルのハンマーによるランダムで付加される能力もかなり厄介だ。
「惜しかったわね……ベル!この調子でいくわよ!あいつらに一泡吹かせてやるわ!」
「は、はい……ご、ごめんなさい!わ、私も負けられないのです!」
友達を攻撃するのに罪悪感を感じるベルとは対照的に日頃のを恨みを晴らすかの如く容姿なく弓を放つクロネ。
時々レミ達以外の兵士も撃ちながら確実に戦力を削られていくのもあるが何より魔物の数が多すぎる為時間をかけるほどレミ達の方が不利になる。
「なんとかしてクロネの隠れてる場所を見つけないとキツイにゃ!」
「そうですね〜このままだと普通に押し負けますー!反転使っちゃいますかーレミさん?」
反転によって弓矢の時間を反転させればクロネの位置を割り出すことはできるが残りの戦いで反転を使えなくなってしまう。
クロネの位置が分かっても反転が使えないと正直勝てる気がしないレミ。
「レミさん達はお困りのようですね〜」
「やっと通信に出ましたね胡散臭い指揮官さん!その精霊型のサポート魔法でこっちのこと見えてるんですから少しは手伝ってくださいよ〜!」
戦争が始まる少し前にRが幹部たちとレミに一体ずつつけた精霊型の魔法からRの声が聞こえる。
Rによると通信用の小型ドローンのようなものらしく映像と音声によるやり取りや簡単なサポート魔法を受けることができる召喚魔法のようなものらしい。
「申し訳ありませんが私は指揮官なので自陣から出る気ないですから〜ですがレミさん達には何とかしてクロネさん達を止めてもらわないと困りますから手助けはしますよ!」
指揮官の立場を言い訳に使うほどRは城壁から出たくないようだ。
「別にあなたが城壁にいる必要ないじゃないですかー!あのスナイパーライフルみたいなデザイアウェポン持ってる人もいるんですし直接来て手伝ってくださいよ〜!」
城壁の防衛はRともう1人の幹部そして弓兵によって守られている。
空から攻撃を仕掛ける魔物もいるがほとんどもう1人の幹部によって打ち落とされている。
「いえいえ指揮官が倒れては勝てるものも勝てませんし〜それに私がわざわざ出向かなくても敵は向こうから来ますから私は出ませんよ!まぁそういうことなんでクロネさんの位置情報をそちらの画面に映しますね!」
「クロネの位置がわかるのかにゃ!?」
「この魔法を戦場に無差別に放ってますからね。上から見れば敵の位置ぐらい分かりますよ!ではあとはよろしくお願いしますね!」
画面がマップに切り替わると赤い点が二つ表示された。
常に乗り物か何かに乗って移動しているのか赤い点が動き続けている。
「位置がわかればこっちのものだにゃ!一気に攻め込むにゃ!」
「今までのお返しをたっぷりとしてやりましょうー!あのボッチとポンコツ悪魔をフルボッコにしてやりましょうー!」
やる気満々な2人の全く躊躇う気のない様子を見て呆れたようにため息をつくレミはクロネ達の元に向かうミケについていくのだった。
一方その頃。
「これで魔王軍の幹部?弱すぎて話にならないわ!」
「グハァ……くっ魔王様さえいればこの戦争などすぐに終結するのに……」
圧倒的な速さで次々とやってくる魔物を蹴散らしRに抑えるよう言われていた魔王軍幹部を倒すF。
「これで私の担当終わったしあとは自由にしてもいいわよね?」
「……どうせ他の指示を出すって言ったら怒るんでしょあなた?まぁ敵に回る事はないでしょうしどうぞご勝手に」
Rは諦めたようにため息をつきながら言うとFはその答えを待っていたようにすぐさま移動し始める。
「じゃあ私はトーカのところに行くわね!ここの敵はあらかた倒したからあとはよろしく!」
「は!了解しました!」
兵士長に指示を出し全速力でトーカの元に向かうF。
トーカは空中から攻撃を仕掛けていたためその位置はすぐに分かった。
「待ってなさいよ!今度こそリベンジしてやる!」
王国ではなく自分のための戦いを始めようとするFは戦場を駆け抜けてく。
「全く勝手なことばかりしますねあの剣士……まぁ別に問題ありませんがね〜……さて私の相手もようやく来ましたか……」
高速で接近してくる悪魔を見ながらRは狙撃の指示を出す。
しかしスナイパーによる攻撃が不自然な軌道を描き逸れていく。
そして悪魔は城壁に降り立った。
「見つけたぜー!参謀さんよー!」
「あなたの相手ほどしんどい事はないんですけどねー……まぁここであなたを倒せばこちらの方が圧倒的に有利になりますからね!相手をしてあげますよ!役者は揃いました!はじめましょう我々の命運を決める戦いを!」
数多の欲望がぶつかり合う戦争が幕を開ける。
……しかしこのときはまだ誰も気付いていなかった……本当は気付くはずなのだが戦争が始まり忘れてしまっていたと言う方が正しいのかもしれない。
「ん〜よく寝た〜……今何時だろうな〜……!?やばい!戦争始まってるのじゃ!」




