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レベル上げにも犠牲が必要

「レミさんいい調子ですよ〜! この調子でどんどんレベル上げましょうー!」


 レミは1人でゴブリン討伐のクエストを受けてゴブリンのアジトの洞窟に来ていた。

 ゴブリンは群れで行動するのでレベル上げをするのにもってこいの魔物のためすぐにレベルが上がる。

 本来は複数人で行く方がいいのだが今回レミは1人でクエストを受けざるをえなかったので仕方なく1人でクエストを受けたのだ。




 クエスト前。

「レミさんクエスト行きましょうよ〜最近クロネさんたちとクエストに行くせいで私の活躍が少なくて退屈なんですけど〜!それに3人で行くせいで経験値も分割されちゃいますしー!」


 ハクム村のカフェでのんびりと過ごそうとするレミにノイズが文句を言う。

 確かに魔剣の言う通りほとんどソロでクエストをやることがないので反転を使うことが少なくなってはいるがレミには関係のない話だ。


「関係ないとか酷くないですかー! そもそもレミさんのMPが少ないから1クエストにつき1回ぐらいしか使えないんですよ〜! もっとレベル上げてMP増やしてくださいよー!」


 営業妨害になりそうなほどうるさい魔剣の声だがもう慣れたのか店員たちは気にする様子もない。

 ハクム村にいる時はほとんどこのカフェにいるので店員たちもレミの苦労がわかるようになっていた。


「お嬢ちゃんいつも大変そうだね……これサービス」


 カフェの主人ももう何度もこのやり取りを見ているせいかレミに同情してプリンサービスしてくれるようになってしまった。

 流石にこのままではそのうち店を出禁になってしまうと思ったレミは仕方なくクエストに出かけるのだった。


「1人で行けてレベル上げに丁度いいクエストですか? それならこのゴブリン討伐クエストとかどうでしょう? レミちゃんのレベルなら1人でも行けますよ!」

「レミさんこれいいじゃないですかー! たくさん倒してレベル上げまくりましょうー!」




 ここまで20体近くのゴブリンを倒したが一向にクエスト完了の知らせが出ないので渋々洞窟の奥に足を進めるレミ。


「どうやらこのクエストゴブリンの群れのリーダーを倒さないとクエストクリアにならないみたいですねー」


 クエストの内容を再確認していた魔剣が嬉しそうに言う。

 魔剣によるとゴブリンのリーダーは大抵洞窟の1番奥にいるらしく奥に行くまでには多くのゴブリンを倒す必要があるらしい。

 まだまだ先の長いクエストにため息を漏らしつつレミは洞窟の奥に進む。


「ちなみにゴブリンは音に敏感らしいので私の効果でどんどん寄ってきますからもう2、3レベルぐらい上げられますよー!」


 最悪の情報を追加してくる魔剣を投げたくなる気持ちを抑えながらレミは洞窟の奥から向かってくるゴブリンを倒す。

 正直早く帰って寝たいレミだがクエスト中はゲームからログアウトすることができない。

 ハルにもっと詳しく聞いておけばよかったと後悔しながら足を進めていると大きな空洞にたどり着いた。


「どうやらここが洞窟の奥みたいですね〜でもリーダーが見当たらないですねー? もしかして気づかないうちに倒してたんですかね〜?」


 そんなわかりやすいフラグを立てる魔剣を止めようとすると上から糸が飛んできた。

 ギリギリで糸を避け上を見るとそこにはクモの巣が張られ大きなクモが上から狙いを定めていた。


「なんですかー!? ゴブリンのリーダーじゃなくてクモ!? 私クモ苦手なんですけど〜! 早く逃げましょうよー!」


 なんで剣が虫を怖がるのか新たな疑問が生まれるがとりあえずそのことを頭から払ってレミは剣を構える。


「レミさんー!? あのクモを切るとか言わないでくださいよね! 私本当に無理なんですからー!」


 そんな魔剣に不敵な笑みを浮かべるとレミは思いっきりクモに切りかかった。


「イヤーーーーーーーー!」


 魔剣の悲鳴が洞窟に響き渡るのだった。





「なんかいつもより静かねその魔剣……何かあったの?」

「何も聞かないでください……」

「そ、そう? なら聞かないでおく」


レミによる復讐をくらった魔剣はレミの恐ろしさを感じるのだった。

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